全国自治体へのアンケートで判明 「介護情報基盤」目標の2025年度末までの移行は困難 半数以上が難航中
厚生労働省が進める「介護情報基盤」のシステム移行に関する調査で、全国の市町村の半数以上が2025年度末までの移行が困難であると回答した。介護業界におけるデジタル化は一筋縄ではいかないようだ。
介護情報基盤とは?
介護情報基盤は、介護に関する情報をデジタル化し、収集・管理・共有するためのシステムだ。この基盤を活用することで、自治体や介護事業所、医療機関が利用者の要介護認定やケアプランを一元的に管理し、より効率的なケアが提供できるようになる。さらに、このシステムはマイナンバーとの連携により、利用者本人の認証が簡便化され、複数の機関が情報を迅速に共有することが可能だ。これにより、情報の重複や遅延を防ぎ、介護サービスの質が向上すると期待されている。
調査の結果、自治体の多くが課題を感じている
厚生労働省が2024年7月末から8月上旬にかけて行った調査は、全国1741の市町村を対象に、介護情報基盤への対応状況について問われた。1055団体からの回答のうち、56%が「2025年度末までのシステム移行が困難でと答えた。特に、人口の多い政令市や中核市では移行の難しさが際立っており、政令市・23区では92%、中核市では79%が困難と回答している。 一方で、このシステムの導入に対して7割の自治体が「良い取り組み」と評価している。要介護認定の電子化やケアプランの迅速な共有が可能になることは、業務効率化に大きく寄与すると見られているが、現時点では技術的・人的リソースの不足が大きな課題だ。
今後の課題と対応
今後、厚労省は2026年4月の稼働を目指してシステムの整備を進めていく予定だが、自治体の支援体制や人材育成も同時に強化する必要がある。特に、小規模自治体においては予算や技術の面でのサポートが急務だ。介護業界全体のデジタル化が進むことで、より質の高いサービス提供が可能となるが、そのためには関係機関が一体となり、迅速かつ確実な対応が求められる。
構成・文/介護ポストセブン編集部