介護事業所のマイナカードリーダー 導入に財政支援 厚労省
厚生労働省は、介護保険被保険者証のペーパーレス化を推進するため、介護事業所や施設に対し、マイナンバーカードの読み取り機導入に対する財政支援を発表した。これは介護現場の業務効率化や職員の負担軽減を目的としている。補助金は早ければ来年度から提供される見込みで、9月19日に行われた社会保障審議会・介護保険部会でこの方針が明らかになった。
介護保険被保険者証の現状
65歳到達時に被保険者に一斉送付される介護保険被保険者証。被保険者証は、被保険者、保険者、事業所などの間でやりとりされている。現在、医療保険分野において健康保険証に関する議論が進んでおり、介護保険分野においても自治体・利用者・介護事業者・医療機関などが利用者に関する介護情報などを電子的に閲覧できる情報基盤を整備することとされている。
こうしたことを踏まえ、マイナンバーカードの活用を含め被保険者証の電子化については、必要な情報を情報基盤から取得することで資格確認などを可能とし必要なサービスを受けられるようにする方向で検討されている。
情報基盤整備と事業所への支援
厚労省は、要介護認定やケアプランなどの情報を迅速に共有できる「介護情報基盤」を整備し、紙ベースのやり取りを効率化する。この基盤にはマイナンバーカードの読み取り機やセキュリティ対策も含まれ、それらの導入費用が支援される予定だ。なお、ペーパーレス化は介護保険証の「完全廃止」は意味しておらず、現状しばらくは紙の介護保険証も引き続き使用される前提としている。
「介護情報基盤」の整備で期待できること
国のインフラとして「介護情報基盤」を整備することで期待されるのは、事業所・施設、医療機関、自治体、利用者など関係者が、それぞれ必要な情報をオンラインでいつでも閲覧・確認できる環境が整うこと。例えば要介護認定、請求・給付、ケアプランなどの情報が迅速に共有されることを目指している。
今後の展開
介護保険部会の委員からは、事業所・施設への補助を十分な内容とするよう求める意見が相次いだ。2026年度を目標に「介護情報基盤」の運用を開始するが、現場の状況を見ながら慎重に進める予定だ。今年末には支援の詳細が明らかになると予想されており、これによって現場の負担軽減とサービスの質向上が期待される。
構成・文/介護ポストセブン編集部