「成年後見制度」見直し後の意思決定支援 「新事業」創設へ 厚労省検討会
厚生労働省は「地域共生社会の在り方検討会」において、成年後見制度の見直し後に必要となる支援体制について議論を進めている。これにより、判断能力が不十分な人々を地域で支えるための新たな支援事業が創設される見込みだ。今回の見直しは、後見人だけでなく、地域全体で支援する新たな枠組みを強化するためのものであり、司法と福祉の連携が重要視されている。
高齢化が進むことで、求められる成年後見制度の変革
日本では高齢化が急速に進み、特に単身で生活する高齢者の増加が目立っている。これに伴い、成年後見制度に対するニーズが増加し、多様化している。現行の成年後見制度では、後見人が本人の財産管理や生活支援を行うが、制度にかかる時間的・コスト的なデメリットもあり、制度の見直しが不可避となっている。 見直し後は、後見人の役割だけでなく、地域全体で支える体制の構築が目指されている。例えば、判断能力が低下した高齢者が日常生活を送る上で必要な支援を提供する「日常生活自立支援事業」の強化もその一環だ。後見人が退任したり、途中交代する場合でも地域で支援を継続できる仕組みが求められている。
司法と福祉の連携で生まれる「新事業」
成年後見制度の見直しに伴い、厚労省は司法と福祉の連携を深めるための新たな事業を創設する予定だ。この「新事業」は、中核機関として地域社会における意思決定支援を担い、本人が地域の中で尊厳を持って生活できるようサポートすることを目的としている。 中核機関の役割は、成年後見人だけでなく、福祉関係者や法的支援者など、さまざまな機関が協力して本人の意思を尊重するための体制を整えることにある。後見制度が見直される中で、どのように地域で支援を実現していくか、その具体的な方法論が検討されている。
今後の課題と地域社会での支援体制
新事業の創設により地域での支援体制が強化される一方、後見人と新たな支援者との役割分担や、中核機関の具体的な機能についての検討が今後の課題として挙げられる。特に、地域ごとの特性に応じた柔軟な対応が求められる中で、成年後見制度を補完するための支援体制がどのように構築されるかが鍵となる。 この新たな支援体制は、単に法的な保護にとどまらず、地域全体で本人の意思を尊重しながら生活全般を支える仕組みを目指している。厚労省の検討会での議論が進むにつれ、地域社会で支える新しい支援モデルが社会に浸透していくことが期待されている。
構成・文/介護ポストセブン編集部