野菜&果物をおいしく長持ちさせる保存法を達人が伝授
強い日差しをいっぱい浴びた野菜は色鮮やかで、栄養満点! 農家、オーガニックレストラン、フルーツ専門店の3達人に直撃取材!
夏はおいしい野菜や果物がたくさん出回る季節。なのに、せっかく旬のものを買ってきても、暑さですぐに傷んでしまいがち。おいしさをキープできる保存法はないの~? そこで、野菜と果物に日々、携わっている3人の達人から、自宅で実践している保存法を聞いてきました。
新鮮なはずの店頭に並ぶ野菜ですら、ぐったりしていることもあるのが、この季節。
「私たちは野菜をずっと見ているのでよくわかるのですが、1週間経つと鮮度はものすごく落ちるので、毎日買って、買ったものはその日のうちに食べる。これが理想です」
そうアドバイスするのは、市岡由衣さん。
「野菜のおいしさは鮮度と水分で決まります。新聞紙や野菜専用のビニール袋を使って、それぞれの野菜に適した水分環境と温度を保ち、夏場は、せめて2日以内には食べ切ってほしいんです」(市岡さん・以下同)
暖かすぎても、寒すぎても野菜の鮮度は落ちていく一方。
「すぐに使わない野菜は野菜室に入れて、適性の温度で保存することが大切です」
野菜別冷蔵庫野菜室での保存法
「購入後の夏野菜は、できるだけ2日以内に食べ切るようにしています」と言う市岡由衣さんに、冷蔵庫の野菜室での保存法を聞きました。
【1】小松菜など葉物
葉物は完全に密封された状態では、袋内に野菜から出た水分がこもってしまい傷む原因に。袋の上角を少し切り、空気穴を作り、立てて保存しよう。
【2】オクラ
ネットに入れて売られているのは通気性を好むため。キャベツなどと違って、野菜室内の涼しい風が当たる場所にネットのまま保存を。
【3】なす
とてもデリケートな野菜。触れるだけでもダメージを受けるので、ペーパータオルなどで仕切りを作って1本ずつに分けて保存を。
【4】きゅうり
意外にも、ものすごく繊細なため、水分がついていると腐るのが早い。ペーパータオルなどで水分をしっかり取ってから、野菜専用のビニール袋などに入れて収穫前と同じ状態で、立てて保存を。
【5】キャベツやレタス
冷蔵庫内は冷気を循環させて庫内を冷やしている。その冷気が当たらないよう新聞紙に包んで野菜室へ。キャベツに直接冷気が当たると、そこだけ変色してしまう。変色部分は取り除いて使おう。
キャベツやレタスは、切り口から悪くなっていくため、葉に包丁を入れると傷みやすい。
食べる際には、葉の根元に切り込みを入れ、使う分だけ外側から順に葉をはがしていく。これで使わない部分の持ちがよくなる。
【6】カリフラワー
畑に生えている時と同じように、花を上に、茎を下にして保存する。茶色くなってしまった部分はおいしくないので取り除いて調理する。
【7】とうもろこし
皮つきのものを買い、そのまま1本ずつ新聞紙に包んで野菜室へ。皮2~3枚をつけたままで魚焼きグリルなどで焼くと、香りや甘みがぐっと引き立つ。
【8】にら
夏場はすぐに傷んでベチャッとなってしまうので、買ってきたらすぐに束をほどいて確認。傷んだ部分は取り除き、ビニール袋に入れて野菜室へ。
【9】トマト
移動でこすれるだけでも傷むため、パックや袋から一度全部出して確認。傷んでいたら保存場所を別にする。すぐに使うものは常温でおき、使わないものは1つずつラップに包んでからビニール袋に入れて野菜室へ。
すぐ食べない場合は冷凍庫をフル活用!
夏の野菜は「買ってきてすぐに食べるか、刻んで冷凍庫に入れてしまうのがいちばん」と言うのは三ツ矢優子さん。
「レタスやキャベツなどの葉物や、トマト、きゅうり以外は、刻んでしまえば冷凍可能な野菜が多い。冷凍したピーマンは、そのまま青椒肉絲(チンジャオロースー)などの中華料理に、ほうれん草や小松菜、焼きなすの皮をむいて凍らせたものは、みそ汁や炒めものにしてもいいですね」(三ツ矢さん・以下同)
さらに夏の習慣にしたいのが、買い物から帰ったら、野菜が傷んでいないか、一つひとつ確認しておくことだ。
「にらやレタスなどの葉物野菜は一部分でも傷んでいると、あっという間に全体が傷んでしまうので、ほかの野菜は近づけないように保存しましょう」
夏野菜はカットして冷凍保存を!
「夏野菜は、生のままや軽くゆでるか、炒めて冷凍保存。1か月以内には食べ切ります」と言う三ツ矢さんの保存法はこちら。
【10】小松菜
さっと洗って水気を切り、3~4㎝にカットし、生のまま、または軽くゆでて水気を軽く絞り、ジッパー付き保存袋に入れて保存する。
【11】もやし
洗って、少量の熱湯でさっと蒸しゆでしてから冷凍保存するのがベスト。「面倒な時は、買ってきた袋のまま冷凍することもあります」(三ツ矢さん)。
【12】オクラ
生でも食べられるので、板ずりしてさっと洗って水気をふき、細かく刻んで冷凍庫か野菜室へ。野菜室に入れた場合は、すぐにしぼんでくるので早めに食べる。
【13】しょうがの皮やねぎの青い部分
1回の使用分を100円ショップなどで売られているお茶のパックに入れ、さらにジッパー付き保存袋に入れて冷凍しておくと、肉や魚を煮る時の香味野菜になるので便利。
【14】ピーマン
千切りやみじん切りにして、生のまま、または軽くゆでたものをジッパー付き保存袋に入れる。
【15】枝豆
硬めにゆでて中身の豆を出し、薄皮をとって保存容器かジッパー付き保存袋に入れて保存。
【16】なす
グリルで皮に焦げ目がつくまで焼き、皮をむいて身を細長く裂いたものをジッパー付き保存袋に入れておけば、1か月くらいは持つ。
フルーツは食べごろを聞いてこまめに追熟をチェック
夏の暑さや熱中症対策には果物の摂取が大いに役立つ。夏こそ積極的に摂りたいものだが、おいしいものはどう選べばいいのか?
3世代続くフルーツ店店長の今野喜彦さんは、「お客様に『おたくの果物はおいしいね』とほめていただくのですが、それはきちんと“食べごろ”を伝えているから」と言う。
気温の高い夏は、追熟の管理をしっかり行うと、おいしい状態で食べることができる。
「追熟度合いの確認は、こまめに行うことが大切です。追熟したら冷蔵庫に入れて2~3日は持ちますが、追熟前に冷蔵庫に入れてしまうと、そこで追熟が止まってしまうので、避けましょう」(今野さん)
店員さんに食べごろを聞いておき、下記の方法で食べ時を逃さないことだ。
果物の保存法は、購入後に常温で追熟させるものと、すぐに冷蔵庫に入れて、なるべく早く食べるものに分かれる。食べごろの確認方法もあわせて、今野さんに聞きました。
●常温で追熟させるもの
・メロン・プラム・キウイフルーツ・もも・マンゴー・ぶどう・アボカドなど
「果物は息をしていて日々状態が変わるため、こまめに確認を。熟したら冷蔵庫で1~2時間冷やし、少し冷えたくらいで食べましょう」(今野さん・以下同)
●冷蔵庫に入れて保存を!
・すいか・さくらんぼ・グレープフルーツ・オレンジ・いちご・りんごなど
すいかはそのまま、さくらんぼやいちごはパックのまま冷蔵庫へ入れてなるべく早く食べる。
「柑橘類やりんごは保存がききますが、乾燥を防ぐためにビニール袋に入れたり、1個ずつラップにくるんで冷蔵庫へ入れましょう」。
果物の食べごろチェック方法
果物の食べごろは、軽く叩いてみたり、さわってみると感じられるものが多い。ここでは夏の代表的な果物の、熟し度チェック法を紹介しよう。
●メロンは、カンカンからポンポンに
指の横側で優しく叩いた時に“カンカン”という音が、熟してくると“ポンポン”という音に。すいかは追熟させる果物ではないので、叩くことでは食べごろはわからない。買ってきたらすぐに冷やして食べるのがベスト。
●キウイフルーツは上下を軽く押す
横の面を指で挟んで押している人がいるが、あとがついてしまうため、これはNG。ヘタと先端部分を指で挟んで押して、弾力があったら食べごろだ。
●ぶどうはしわっぽくなるのがサイン
皮がピンと張った状態がおいしそうに見えるぶどう。だが、実はちょっとしわっぽくなってきたり、枝が枯れてきた時が、甘さが増して食べごろだ。
フルーツの新常識クイズ
Q:ぶどうの農薬の量が多いのは? 1:日本産 2:外国産
答え:1の日本産
「日本産の方が手もかけているので形も粒もそろっていてきれいですが、そのための農薬を使っていることが多いのです。一方、外国産の皮ごと食べるぶどうは、粒の大きさもまちまちで、多少傷みがあったり、汚れがあるのですが、これは最小限の農薬しか使っていないからです」(今野さん)。
教えてくれた人
■オーガニック『WE ARE THE FARM目黒』店長 市岡由衣さん
自社農場で育てた「固定種無農薬無化学肥料」野菜を自社レストランで提供している。千葉県佐倉市から配送される野菜は新鮮そのもの。旬の採れたて野菜をその日のうちに提供している。
■『湘南お野菜便』主宰 三ツ矢優子さん
神奈川県横須賀市で、新鮮でおいしく色鮮やかな「湘南野菜」を育てている。毎月第2土・日に玉川髙島屋(東京・世田谷)で開かれる『タマガワグリーンマーケット』に出店中。Facebook:湘南お野菜便
■『イマノフルーツファクトリー』店長 今野喜彦さん
昭和27年創業。東京・日本橋茅場町に店を構えるフルーツ店。老舗ならではのマンゴーやメロンを使った贅沢なフルーツサンドが人気で、百貨店からの催事依頼も絶えない。
イラスト/あさいかなえ
※女性セブン2019年7月18日号