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父の葬儀後も仏壇選び・お墓探しとバタバタ。でも何より心配なのは、1人になった母のこれからです【実家は老々介護中 Vol.44】最終回

 がん・認知症・統合失調症と診断された81才の父を母が在宅で介護をし、美容ライターの私と3歳上の兄は、実家に通いながら母を手伝ってきました。自宅で最期を迎えるのが両親の希望でしたが、結局父の体調が急降下して、入院。その後、ターミナルケアの病院に移りそこで亡くなりました。葬儀を終えてホッとしたのも束の間、今度は母の衰えが気になってきました。この先も遠距離の見守り介護が続きそうです。

→前回第43回を読む

父を見送った母は、この先人生を充実させるものが見つかるのか?

 葬儀が終わり、母は父がお世話になった病院に支払いを済ませ、介護ベッドや車椅子などを返却。実家の寝室がガラーンと広くなりました。

「お仏壇を探しに行こうか。どこに置こうかねえ」と母。変に明るく振る舞う母が心配です。私は、「ものすごく高いのはやめてよね」と言いながら、母に付き添って仏壇を見に行きました。

 お店の人に聞くと、畳にドーンとありがたく置いて拝むタイプの仏壇は最近人気がなく、タンスの上などにちょこんと置ける、卓上タイプが売れ筋なのだそう。遺された人がいずれ施設に入っても、施設の居室に持ち込めるからだそうです。10万円以内、1万円以内など、イメージよりもお安めのものがずらりと並んでいました。

「不要になったら、こちらで引き取りもしますから安心してお選びください」と言われた母は、「そうねえ。若い人ならいいけど、うちは小さいのじゃダメだから」と、30万円するどっしり大きな仏壇を選びました。母の心の拠り所になってくれればお値段は関係ないですが、勢いですごく高額のものを選ばなくて良かった。

 もうひとつ、四十九日に納骨できるようお墓探しを急ぎたい、という問題は、実家のご近所さんに聞いて、選択肢を3つに絞ってから吟味しました。

【1】 母がパッとお参りできる、実家から車で5分の屋外型墓地
【2】親戚が来るのに交通の便がいい、快速の停まる大きな駅が近い公園墓地
【3】交通の便はまあまあだけど、気候に関係なくお参りしやすいマンションタイプの納骨堂

 3つ見に行って、母は【3】のマンションタイプに即決でした。施設内に法事の会場があり、トイレへ行くにもすべて移動距離が短く、掃除の手間もないのが魅力的。

「みんな年を取るんだから、ここが便利だね」と母。

 ありがたいのが、おひとりさまの兄が将来ここのお墓に入ったら、自動的に永代供養に切り替わるという無料オプション付きなのです。今どきは、墓じまいの心配がないシステムなのですね。

 お値段で言うと、屋外型の場合、お墓の土地+墓石代で安くても150万超えだったのですが、マンションタイプは墓石込みでおよそ100万、加えて管理費が毎年1万5000円くらいです。都心から少し離れた衛星都市のお値段なので、エリアによって違うでしょうが、お値ごろだと思いました。

 お墓が決まってひと安心。父が亡くなって1か月の間、忙しかったなあと思っていると。四十九日の前に、今度は母に認知症の兆しがあるんじゃないか?と兄が心配し始めました。

「ここのところ、お母さん怪しくない?いつもソワソワ探し物している。物忘れの自覚があるんじゃないかなあ」

 それはどうだろう?ただ、母は毎日やることがなく、一日中テレビの前に座っているのが気になります。3日に1回くらい食材を買いに行く以外、家に閉じこもっているようです。ひとり暮らしなのに脚の筋力が落ちてしまったら、エレベーターのないマンションの最上階に籠城したまま、身動きが取れなくなってしまいます。

 父の四十九日の前に新しい生活のルーティンを作ろう。実家から近い公民館で週2回、ワンコインの介護予防教室があると知り、母を引っ張って連れていきました。

「暇つぶしに行ってもいいけど、合わなかったらやめるからね」と言う母のお出かけ気分を高めるために、部分ウィッグをプレゼントしました。すると、頭頂の薄毛をカバーして若々しく見えるのが嬉しいらしく、介護予防教室にも薄くお化粧して出かけるようになりました。このまま機嫌よく通い続けてくれますように。

 目下の心配は、父の四十九日、新盆、一周忌、三回忌と気を張る用事が済んでしまったら、母がガクッと気落ちしてしまうのではないかということ。10年間にわたった父の介護をするうちに友だちとの交流も途絶えてしまい、特に趣味もないままの母。「一緒に行こうよ」と近所の編み物教室やボランティア活動などに誘ってみましたが気乗りしないみたいです。

 今後、80才の母のひとり暮らしを遠くから見守る必要はあると思うのですが、どうなっていくのかと考えると不安です。

 先が見えないことばかりですが、ケセラセラ、と笑って過ごせますように。少し身ぎれいにすると明るい気分で過ごせる、身だしなみの力を借りて、母を元気にしたい。遠距離サポートではあるけれど無理せず母を見守っていきたいと思います。

文/タレイカ

都心で夫、子どもと暮らすアラフィフ美容ライター。がん、認知症、統合失調症を患う父(81才)を母が老々在宅介護中のため、実家にたびたび手伝いに帰っている。

イラスト/富圭愛

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