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暮らし

2050年<介護の未来予測>高齢単身世帯が増える世界でAIやロボットはどんな存在になるのか?

「2050年には、医療は“完成期”に入ります。人間が病気で簡単に死ぬことはなくなるでしょう」と語るのは、『未来の医療年表』の著者で、医師の奥真也さんだ。医療の進歩やテクノロジーの進化とともに、「介護」の未来は一体どうなっているのだろう? 四半世紀後、介護を取り巻く環境について、専門家達はどんな未来予測を立てているのだろうか?

教えてくれた人

奥真也さん/医師。『未来の医療年表』の著者

三上洋さん/ITジャーナリスト

小野江理子さん/電通ソリューションクリエーションセンター未来予測支援ラボ所属

大澤正彦さん/日本大学文理学部准教授でAI研究者

矢野貴久子さん/Beauty Tech .jp編集長

2050年「介護」の未来を専門家が予測

「2050年には『ソサエティ5.0』と呼ばれる、ロボットやAIなどが主力になる時代がやって来ます」

 そう話すのはITジャーナリストの三上洋さん。ソサエティ5.0とは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く「5番目の新たな社会」のこと。

 スマートフォンすらなかった四半世紀前に比べると、2024年現在でも充分にハイテク社会だが、ここからさらにテクノロジーは飛躍的に進化していく見通しだ。テクノロジーの進化によって、介護はどのように変化するだろうか。

65才以上が人口に占める割合は37.7%に

 病気や老化をテクノロジーの力でシャットアウトできる社会の到来は、超高齢化をも意味する。国立社会保障・人口問題研究所が発表する「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によると、日本の2050年の総人口は約1億468万人で、65才以上が人口に占める割合は37.7%に達する。

 健康寿命の延びが期待できる一方、介護の需要が高まることも予測されている。電通ソリューションクリエーションセンター未来予測支援ラボの小野江理子さんが指摘する。

「日本総研のデータによると要介護認定者数は2040年頃ピークを迎え、988万人に達し、2019年比で69万人の介護職員が追加で必要になると推計されています」

 国立社会保障・人口問題研究所が公表するデータによると、2050年には65才以上の高齢単身世帯が1084万世帯に達し、5軒に1軒が高齢者のひとり暮らし世帯となる。つまり、四半世紀後には介護を必要とするシニア層の多くが「おひとりさま」として生活することになるのだ。

頼りになるのはAIとロボットの力

「そうしたとき、頼りになるのはやはりAIとロボットの力。すでに家事を行うロボットがいくつか登場していますが、さらに人と共存し、人と同じような仕事をすることで人の役に立つ『人共存ロボット』の開発を進めている企業もあります。

 テクノロジーの進化により20年後には、自宅でお手伝いロボットと暮らすのが当たり前になるでしょう。とりわけ介護の分野においては配膳や入浴などのサポートに加え、簡単な会話ができ、要介護者の気持ちの面までサポートしてくれるロボットが登場することが待望されています」(小野さん)

 日本大学文理学部准教授で、『じぶんの話をしよう。成功を引き寄せる自己紹介の教科書』(PHP研究所)を上梓するAI研究者の大澤正彦さんも「人に寄り添うロボット」の重要性をこう話す。

「のび太に寄り添い、幸せにすることができるドラえもんのようなロボットを作ることができる技術を生み出せれば、未来はもっと豊かになる。介護分野はもちろん、保育士や看護師、教員など対人の仕事で役に立ち、かつ周囲からもかわいがられるような、相手に寄り添ってくれるAIやロボットの誕生が期待されます」

美容の世界もAIが人間に寄り添う未来に

 AIが人間に寄り添ってくれることで未来が開けるのは美容の世界も同様だ。

 現在、スマホで自撮りした画像をAIが解析し、皮膚科医や美容部員の意見などと組み合わせ、最適な化粧品をすすめるサービスがあるが、2050年にはさらに進化したAIが“オーダーメードの美容家”として私たちに寄り添ってくれる未来が待っている。Beauty Tech .jp編集長の矢野貴久子さんが話す。

「AIがデータを解析して似合うメイクやヘアカラーをピンポイントで推奨し、それを手元の3Dプリンターで組み立てられ、瞬時に試してみることができるようになると思います。

 また、AIが搭載されたロボットアームが爪の形を認識してプロのネイルアーティストのようにネイルを仕上げるツールがすでに開発されていますが、著名なメイクアップアーティストの技を習得したロボットがメイクを担い、寝ている間にスキンケアもしてくれるような、さらに技術が進化した未来が来ると考えています」

文/池田道大 取材/小山内麗香、戸田梨恵、平田淳、伏見友里、三好洋輝

※女性セブン2024年5月9・16日号
https://josei7.com/

●認知症介護×AIの最前線をレポート!人工知能と共生する未来「介護難民」問題に希望の光

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