「玄米」が驚くほどおいしく進化した理由　食べやすい”もちもち”の品種、手軽な炊き方をプロが伝授

「身体にいいのはわかっているけど、食べにくいし手間がかかる」というイメージの玄米。でも、近年は白米と同じくらい手軽に炊けるものも増えています。玄米にまつわる豆知識や最新情報をお届けします。

玄米ご飯と野菜の味噌汁 — 玄米はびっくりするほどおいしく、食べやすくなっている

教えてくれた人

料理研究家・金丸絵里加さん／管理栄養士。おいしくて、健康になれるレシピが好評。著書に『新装版スープジャーで作るヘルシーランチ』（東京書店）などがある。

『スズノブ』店主・西島豊造さん／こだわりの米専門店『スズノブ』代表取締役。五ツ星お米マイスター。多くの生産地をまわり、お米ソムリエ、お米博士として活躍する。

『結わえる』代表取締役・荻野芳隆さん／もちもちでおいしい「寝かせ玄米R」を開発し、おいしくストレスのない「一日一膳、玄米生活」を提案する、“玄米社長”。

玄米って何？

　玄米は稲の果実である「もみ」から、「もみ殻」だけを取り除いた状態のお米。「ぬかや胚芽を取り除き精米することで白米になりますが、除かれるぬかや胚芽には、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養がたっぷり含まれているんです」（荻野芳隆さん）

お米のもみから玄米、胚芽米、白米になるまでのイラスト — ビタミンやミネラル、食物繊維など栄養がたっぷり

残留農薬は気にしすぎなくてもOK

「いまは多くの生産者が安全な米を作るという考え方にシフトしています。また、JAでは残留農薬検査にクリアした米のみを扱っているので心配しすぎなくて大丈夫。気になる場合は購入前に問い合わせを」（西島豊造さん）

玄米はビタミン・ミネラルがたっぷり！

　玄米と白米はほぼ同じカロリーだが、摂取できる栄養素には大きな差が。

「食物繊維が白米の6倍も含まれるほか、ビタミンB1、B6、E、ナイアシン、マグネシウムなど代謝をサポートするビタミンやミネラルをしっかり摂取することができます。また、玄米に含まれるγオリザノールは消化の過程でフェルラ酸に転換され、認知症予防や自律神経を調整する作用が。GABAにはストレス緩和や高血圧予防が期待できます」（金丸絵里加さん）

白米と比較した玄米の栄養量（％）

ビタミンE…1200
食物繊維…600
ビタミンB1…512
マグネシウム…478
ビタミンB6…375
ナイアシン…307

白米を100としたときの玄米の栄養量。八訂食品成分表をもとに編集部で作成

もちもち系の品種を選べば食べやすい

　玄米も品種によって、味や食感が変わる。

「『ゆめぴりか』などのもちもち系の低アミロース米の品種なら玄米でも食べやすいですよ。秋田の新品種『サキホコレ』も玄米がおいしいと評判。まずは少量ずつ購入して好みの玄米を見つけましょう」（西島さん）

浸水時間短縮！やわらかく炊ける加工玄米も便利

　玄米は長時間の浸水や炊き方に手間がかかるので、続かないという人も多い。

「土鍋で炊くと浸水時間や火加減が難しく失敗しやすいので、炊飯器の玄米モードを使うのがおすすめ。浸水時間から蒸らしまでプログラムされていて、大抵は2時間以内で炊飯できます。また、玄米表面の硬い繊維質を筋切りするなど、白米モードで炊ける加工玄米も増えていて、より手軽に始められるように進化しています」（西島さん）

・北海道産の玄米でぼそぼそ感を解消