予備軍は2000万人!糖尿病を引き起こす血糖値上昇から身を守る食品Best15|15人の食&健康の専門家が判定
糖尿病はもちろん、肥満から血管病まであらゆる不調や病気を引き起こす血糖値の上昇。病院や薬に頼らず、毎日の食事や生活習慣から改善できることを少しずつ実践していきたい。専門家によると食事の内容を見直すことで血糖値の数値をコントロール可能だという。今回は食と健康の専門家が推奨する最強の「血糖値を下げる食品」を紹介する。
ランキング作成/教えてくれた人
※以下15名の「食と健康の専門家」におすすめの食品を挙げてもらい、1位を10点、2位を9点、3位を8点、4位を7点、5位を6点として集計。10点以上を獲得した回答を掲載した。
秋津壽男さん/秋津医院院長、麻生れいみさん/管理栄養士、石黒成治さん/消化器外科医、磯村優貴恵さん/管理栄養士、小倉朋子さん/トータルフードプロデューサー、片山隆司さん/かたやま内科クリニック院長、金子あきこさん/管理栄養士、工藤孝文さん/工藤内科院長、左藤桂子さん/内科医、伊達友美さん/ダイエットカウンセラー、中沢るみさん/管理栄養士、福田千晶さん/医学博士、三島渉さん/横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長、水野雅登さん/医師、望月理恵子さん/健康検定協会・管理栄養士
血糖値をコントロールするいちばんの近道は、薬や注射ではなく生活習慣の改善
運動をしても食事制限をしても、一向に二の腕からもお腹からも脂肪が落ちない―それは「血糖値」のせいかもしれない。
糖尿病治療に詳しい医師の水野雅登さんが解説する。
「食事によって糖質が体内に取り込まれると血糖値が上がり、それを下げるために人間の体は糖を脂肪に変換して吸収しようと働きかけます。つまり血糖値が上がることで肥満のリスクが上がる。それが恒常化すれば糖尿病を引き起こす可能性が生じるのです」
糖尿病患者はまだ症状に気がついていない“予備軍”も含めると国内に2000万人いるといわれており、心筋梗塞や脳出血などの血管病に神経障害、果てには失明や足が壊死する危険性まである恐ろしい病気だ。
「予防や治療のためには血糖値をコントロールすることが解決策であることは確かですが、その方法は服薬から食事制限まで多岐にわたります。しかし、いままで多くの糖尿病患者の治療にあたってきて得た結論は、『血糖値をコントロールするいちばんの近道は、薬や注射ではなく生活習慣の改善』というもの。具体的には食事内容を見直すことで血糖値の上昇を抑える“守り”と、運動によって血糖値を下げる“攻め”の両輪からアプローチすることが肝要だといえます」(水野さん)
何をどう食べたら、肥満や糖尿病の魔の手から逃れることができるのか。15人の専門家たちが出した「ベストアンサー」を発表する。
血糖値を下げる「最強の食品」ランキング(1~14位)
※順位/食品/得点/主な理由
【1位】きのこ/48点
「食物繊維が豊富で低カロリー。血糖値上昇を抑えるのに最適な食材」(中沢さん)、「糖の吸収を緩やかにする水溶性食物繊維と排便をスムーズにする不溶性食物繊維をバランスよく含有する」(磯村さん)、「血糖値のコントロールはもちろん、『β-グルカン』と呼ばれる炎症を抑えて免疫機能を高めてくれる成分がたっぷり」(石黒さん)
【2位】納豆/47点
「豊富に含有する水溶性食物繊維が、糖の吸収を緩やかにしてくれる」(磯村さん)、「原料の大豆と比較しても水溶性食物繊維の含有量は1.5倍。さらに、そこに含まれるペクチンには血糖値の上昇を抑制する効果がある」(水野さん)、「腸内環境の乱れも血糖値を上げ、糖尿病を招く大きなリスクファクター。納豆をはじめとする発酵食品は積極的に摂るべし」(金子さん)
【3位】オクラ/38点
「オクラのネバネバ成分には血圧を下げ、腸を包み込んで糖の吸収を抑える働きがある」(小倉さん)、「水溶性・不溶性ともに食物繊維がたっぷり。旬のいまこそ、たっぷり摂ってほしい」(中沢さん)、「水溶性食物繊維の含有量が多い」(磯村さん)
【4位】ヨーグルト/33点
「多く含有するホエイプロテインは、インスリンの分泌を働きかけるホルモン『インクレチン』を増やす」(小倉さん)、「砂糖が添加された甘いヨーグルトは血糖値を上げるため、無糖のものを選んでほしい」(福田さん)
【4位】海藻類全般/33点
「豊富に含有する水溶性食物繊維がゆっくりと消化管を移動し、糖の吸収を緩やかにする」(工藤さん)、「同じく血糖値を下げる作用のある酢と合わせ、酢の物として食べるのがおすすめ」(左藤さん)
【6位】酢/30点
「お酢の主成分である『酢酸』は腸に作用して糖の吸収を遅らせる働きを持つ」(秋津さん)、「料理に取り入れるのはもちろん、食前に飲むことでも血糖値を抑える強い効果を発揮する」(石黒さん)
【7位】こんにゃく/24点
「こんにゃくが含有する食物繊維『グルコマンナン』は人間の消化酵素では分解できずに体外に排出されるため、食べた後ほとんど血糖値を上げない」(水野さん)、「低カロリーながら食べ応えがあり、料理に加えると満腹感が得やすい」(福田さん)
【8位】菊芋/23点
「菊芋特有の『イヌリン』という食物繊維には、糖質の吸収を阻害する強い効果がある」(三島さん)、「『イヌリン』には大腸がんのリスク低減や血中脂質改善などの効果もある。ただし継続的に数週間摂らなければ意味がない」(水野さん)
【8位】玉ねぎ/23点
「豊富に含有するミネラルには、インスリンの糖代謝作用をサポートする働きがある」(工藤さん)、「ポリフェノールの一種であるケルセチンには血糖値の上昇を抑える効果があるとされている」(福田さん)
【10位】野菜全般/20点
「生野菜でも温野菜でも効果は同じ。糖質を摂る前に食べることで、グルコーススパイクが抑えられる」(片山さん)、「野菜の『ポリフェノール』が血糖値の上昇を抑えてくれる。旬のものをしっかり摂るべし」(石黒さん)
【10位】もずく/20点
「不溶性、水溶性食物繊維の両方をたっぷり含む。暑い夏はお酢と一緒にもずく酢として食べてほしい」(中沢さん)、「食前に食べると満腹感が得られ、過食を防ぐことができる」(麻生さん)
【10位】雑穀米/18点
「白米よりも噛み応えがあり、満腹感が得やすく食事量を抑えられる」(秋津さん)
【13位】わかめ/17点
「日常的に摂取しやすい点もポイント。おすすめは乾燥わかめの常備」(金子さん)
【14位】トマト/15点
「ポリフェノールの一種であるリコピンが、インスリン分泌を促す」(麻生さん)
【14位】玄米/15点
「白米と比較して食物繊維が多いため、血糖値を上げにくい」(望月さん)