シニア世代の家事をラクにする”やめ家事” 調理が安全でラクになる便利アイテムとテクニック
家事のなかで「やめてもいい」ことを見直す“やめ家事”を提案する家事・節約アドバイザーの矢野きくのさん。キッチンや調理にまつわる家事の中で、やめることで家事が安全でラクになる5つの便利アイテムとテクニックを教えてくれた。
キッチン調理の“やめ家事”とは?
今まで当たり前のようにやってきた家事。シニア世代にとってはとくにキッチンでの家事は、人と比べる機会も少なく、自己流で何十年とやってきていることでしょう。
しかし、気づかないうちに筋力が落ちてきていたり、家事がラクになる最新のアイテムが発売されていたりして、家事のやり方を変えてみることで、より安全に楽に家事ができるようになります。
キッチンの家事の中で、“やめてもいい”ことを見直してみませんか?
【1】土鍋をやめる
冬の食卓にあがることが多い鍋料理。鍋料理は土鍋で作ることが多いですが、土鍋は重たく、割れたりヒビが入ったりしやすいものです。
また、持ち手の部分に指が入らないデザインのものは、安定して持ち上げられないという点もあるので、いっそのこと土鍋を使うのをやめるのも家事がラクになるひとつの手です。
土鍋と同じように熱が均一に食材に入っていく鍋には、鋳物ホーローがあります。
鋳物ホーロー鍋も重たいものですが、最近では、軽い鋳物ホーローも発売されています。
例えば新潟の燕三条で作られているUNILLOY(ユニロイ)の『キャセロール』は、他社のものと比べて軽く、人間工学に基づいてデザインされた安定して握りやすい取っ手でシニア世代におすすめです。
【2】小皿・小鉢に盛り付けるのをやめる
お料理を一品ごとに盛り付けるとその分、洗う手間、片付ける手間も増えてしまいます。そこでおすすめなのが仕切りプレートです。すべての料理でなくても、いくつかを仕切りプレートに盛り付けることで使う食器の数を減らすことができ、前後の家事がラクになります。
【3】掃除や洗濯が面倒なキッチンマットをやめる
汚れやすいシンクやコンロ前は床を守るためにもキッチンマットを敷いている家庭が多いのではないでしょうか。
しかし、キッチンマット自体にシミがついたら洗濯をしたり、掃除機をかけないとホコリが取れないなど、手間がかかるのも事実です。いっそのことキッチンマットをやめてみてはいかがでしょうか。
最近は透明のPVC(塩化ビニル樹脂)素材でできたフロアマットもあります。汚れればサッと水拭きで落ち、ホコリもペーパーモップで取ることができるので家事が一気にラクになります。
【4】生鮮野菜にこだわるのをやめる
筆者がテレビ番組のロケなど取材で一般のお宅に伺うと、シニア世代のご家庭で多いのが買った野菜を食べきれずに廃棄してしまうというお悩みです。そこで提案したいのが冷凍野菜です。
シニア世代の方は、冷凍食品というと抵抗がある方が多いのですが、野菜こそ冷凍食品を積極的に使ってみてはいかがでしょうか。
冷凍野菜は旬の時期に収穫し、急速冷凍するため、生鮮野菜を収穫してから数日間、冷蔵庫に放置してしまうよりも、栄養価が高いものが多くあります。冷凍野菜は賞味期限が長いので、少量ずつ使うことも可能なのでシニア世代にこそおすすめです。
【5】火を使う調理をやめる・減らす
近年のガスコンロは安全装置がついているなど、昔に比べると安全に使うことができますが、それでも火を使うという点で心配な部分もあります。
ガスコンロからIHコンロに取り替えるのがおすすめですが、それができない場合はガス火を使う回数を減らすという意味でも電気調理鍋の導入がおすすめです。
食材を入れて番号を選ぶだけで調理ができる電気調理鍋もありますし、そのような作業が億劫に感じるシニア世代には、逆に手動で「加熱◯分」と設定する方法だけ覚えてもらうのも一つの手です。
***
長年やってきたことを変えるというのは、どの世代にも抵抗があることかもしれませんが、シニア世代こそ安全で、安心して、そしてラクに家事をするために「やめ家事」を検討してみてはいかがでしょうか。
執筆
家事・節約アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/