高齢者の検診、事故や検査内容・リスクにも注意を
よく耳にする「健康のために1年に1度は検診をしましょう」という言葉。しかし、「検診」と言っても薬局などで簡単にできる血液検査から人間ドックまで、検査の種類は膨大。しかも、やみくもに検診を受ければよいというわけでもないようだ。高齢者が検診で気をつけることはなんだろうか。
自宅でできる検診キットは要注意
医療機関で受ける検診以外にも、自分で血液や組織を採取して返送する検診キットが話題を集めている。病院に行く時間のない人が手軽に検診できるとあって人気を博しているが、専門家の評価は厳しい。
国立がん研究センター検診研究部の中山富雄先生が話す。
「子宮頸がんの患者さんに綿棒を渡し、自分で子宮口の組織を採ってもらったところ、ちゃんと採れたのは10人中たった1人だったという報告がある。やはり医療従事者でないかたが自己流でやるのはリスクが高い。きちんと医療機関に出向くべきです」
また、年齢を重ねれば検診そのものが危険をはらむケースもある。
「たとえば80才以上のかたの大腸内視鏡検査は、医師も非常に慎重になる。高齢になると腸の壁が薄くなり、破れるリスクが高まるからです」(中山先生)
弱るのは内臓ばかりではない。足元が不確かになり、検診バスに乗るときに転んでけがをし、検診する以前に体を痛める高齢者も少なくないという。親や親族など、高齢者の検診は充分に検討したい。
どんな医師が検診するのか見極める
また、検診内容とともに「どんな医師が検診するのか」も見極めが必要だ。
「検診を受ける上で、スタッフの陣容をきちんと見るべきです。たとえば肺がんが心配で来ているのに、消化器内科の医師しかいないのでは発見されない可能性が高くなるのは自明です」(中山先生)
また、検診は受けること自体よりその後こそが重要だ。
医療経済ジャーナリストの室井一辰さんも語る。
「検診のいちばんのデメリットは、受けた後安心して、病気の兆候があるのに見逃すことです。自分の体について知るいい機会ととらえ、定期的に受け続けるようにしましょう」
自分の体は“一生モノ”。愛情を注いでメンテナンスしたい。
※女性セブン2018年10月18日号
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