100才まで元気に生きるメソッド6|介護老人予備群かも?15項目を定期的にチェック
「人生100年時代」のこれからを元気に生き抜くためには、老後の備えや予防が大切だ。”介護老人”にならないためにも、定期的に自分の状態をチェックしておきたい。老後問題解決コンサルタントの横手彰太さんに60才を過ぎたら注意しておくべきことを教えてもらった。
老後の大きな問題は認知症とお金
「老後、最もこじれるのが、認知症とお金の問題です」
とは、老後問題解決コンサルタントの横手彰太さんだ。
「人生100年時代といわれるいま、80才で認知症を発症すると、20年間も認知症と向き合うことになります。その間、介護やお金など、さまざまな問題が起き、家族関係もこじれてしまいます。そうならないために『家族信託』を検討するなど、60代から、認知症になってもお金に困らない仕組みを作っておくことが大事です」(横手さん)
もちろん、認知症予防も重要だ。日常の刺激が少ないと認知症になりやすいといわれているので、出無精にならないよう、定期的に外に出る用事を作ったり、前述の脳トレや運動などで鍛えておこう。
60才を過ぎたら「まだ早い」ということはない。気力と体力があるうちから始めよう。
メソッド1:介護老人予備群かを定期的にチェック!
健康な状態と要介護状態の間のことを「フレイル」という。下記の質問が、4つ以上当てはまる人はフレイル、2~3つならフレイル予備群、1つ以下なら問題なし。
「フレイルになっても生活習慣を正すことで改善できます。自分の状態を知り生活を見直すためにも定期的にチェックしてみましょう」(横手さん・以下同)。
<介護老人予備群チェック項目>
□ この1年間に転んだことがある
□ 1㎞ぐらいの距離を不自由なく続けて歩くことができない
□ 目が見えにくい、または見えない (眼鏡を使っても)
□ 家の中でよくつまずいたり、滑ったりする
□ 転ぶことが怖くて外出を控えることがある
□ この1年間に入院したことがある
□ 最近、食欲がない
□ 現在、噛んで食べづらい、または食べられない(入れ歯を使っても)
□ 半年以内に、体重が3kg以上減った
□ この6か月間に、以前と比べて筋肉や脂肪が落ちてきたと思う
□ 一日中家の外に出ず、家の中で過ごすことが多い
□ 2~3日に1回程度も外出しない(庭先のみやゴミ出しなどは含まない)
□ 趣味・楽しみ・好きでやっていることがない
□ 親しく話ができる近所の人がいない
□ 近所の人以外で、親しく行き来するような友達、別居家族または親戚がいない
※ 出所:東京都健康長寿医療センター研究所
メソッド2:セロトニンを分泌しやすい生活を
脳内の神経伝達物質であるセロトニンが不足すると、運動量も低下。認知症の発症リスクも高くなる。
「セロトニンは、睡眠を促すホルモン・メラトニンの原料でもあり、睡眠の質にもかかわってきます。セロトニンは、太陽の光を浴びると分泌量が増すので、できれば1日30分、日光を浴びる習慣を身につけましょう」。
メソッド3:忙しくても睡眠時間は確保
睡眠の質が悪いと病気にかかりやすくなることは、科学的に立証されている。
「認知症は、数十年間にわたる、悪い睡眠習慣によって脳に老廃物がたまることで、引き起こされるといわれています。実際、80代の認知症の人に、これまでどんな生活をしていたか尋ねると、ほとんどの人がストレスで睡眠不足だったと答えます」。
50代は、子育てや育児、家族や親のことなど、何かと忙しいと思うが、睡眠が第一と考えて、最低でも5時間は睡眠時間を確保するようにしよう。
メソッド4:子供よりも配偶者を優先する
老後の暮らしを豊かにするには、家族とのつきあい方も重要。
「多くの相談者と接してきましたが、残念ながら3~4割の家庭はすでに破綻していたり、何かしらの問題を抱えていました。老後は、夫婦での時間が9割。子供が成人していたら、何事においても子供よりも配偶者を優先に考えた方がうまくいきます」。
メソッド5:60才を過ぎたら家族信託を検討する
「親が認知症になり預金がおろせないなど、認知症患者の資産凍結に関する相談が増えています。認知症になり意思能力がなくなると、財産は凍結されて原則本人以外は預金の引き出しや不動産の売却などができなくなります。そうなると、介護資金などは家族が立て替えるしかありません。解決策としておすすめなのが“家族信託”。自分で財産管理をできなくなったときに、家族に管理を託せる仕組みです」。
家族との相談や手続きなどに時間がかかる可能性もあるので、60才を目安に検討し、済ませておこう。
メソッド6:自分の幸せとは何かを考える
前述の通り、年とともに、気力は低下しやすくなり、同時に考える力も衰えるという。そうなる前に、決めるべきことは決めておこう。
「元気なうちに“人生で大事にしていること”や“幸福を感じるような行動や考え方”など、自分自身の価値観について考えてみてください。そうすることで、人生の岐路に立たされたとき、ひとりでも決断しやすくなり、目的のために何をすべきかが見えやすくなります」。
老後はどんな生活をしたいか、具体的な目標を書き留めておくのもおすすめだという。
教えてくれた人
横手彰太さん/老後問題解決コンサルタント
認知症とお金の専門家として1000人以上、のべ79億円の財産管理をサポート。主な著書に『老後の心配まるごと解決ノート』(宝島社)など。
取材・文/上村久留美、鳥居優美 イラスト/たばやん
※女性セブン2022年4月28日号
https://josei7.com/
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