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健康

「疲れが抜けない」「小さなことでイライラする」疲労肝かも?”肝臓をもんで元気に!

 長い自粛生活による運動不足やストレスで自律神経が乱れ、内臓の機能が落ちている人が増えている。筋肉のように内臓を鍛えることは難しいが、皮膚の上から直接内臓を刺激して内臓を整える健康法があった──。

“肝臓ポンプ”でマイナス15kg

 解毒と代謝を司る、大事な臓器である肝臓。だが、肝臓は不調を抱えていても、自覚症状が出ることは少ない。柔道整復師の高林孝光さんが言う。

「解毒や胆汁の分泌など、肝臓は生きるために重要な役割を500種類以上も担っています。その中でも特に重要なのが代謝。古いものや有害物質、脂肪などを分解して、体にとって必要なものをつくり出す作用です。特に、血流をよくする『ヘパリン』は、肝臓の働きがよくないとつくり出すことができません。肝臓が充分に働きさえすれば、血流がよくなって全身にきれいな血液と酸素が行き渡り、そのほかの臓器の働きもよくなるのです」

 肝臓は、全身で最も代謝が高い臓器。その温度は心臓よりも高い41℃前後で、心臓が占める基礎代謝(活動していなくても消費されるカロリー)が全体の8%、腎臓が10%、筋肉が18%、脳が19%なのに対し、肝臓は27%をも占める。つまり、肝臓の働きがよくなることで基礎代謝が上がれば、やせやすく、太りにくい体になれるということだ。

「筋肉の代謝は全体の18%なので、肝臓の働きをよくすることは、筋トレよりもずっと簡単なダイエット方法だといえます。実際に、マッサージで肝臓の働きを高めたことで、食事制限や運動をしなくても、1か月で3kg減、その後結果的に15kgもの減量に成功したケースもあるほどです」(高林さん・以下同)

 血流や代謝に深くかかわっている肝臓は、眠っている間も絶えず働き続けている。そのため、肝臓は非常に疲れやすく、生活習慣や自律神経の乱れによる影響を受けやすい。

「例えば、夜遅くに食事をすると、その脂肪分を分解するために、肝臓は寝ている間に胆汁を分泌しなければなりません。お酒を飲んだら、アルコールを無毒化するために働きます。

 “これといって理由が見当たらないのに、なぜか疲れが抜けない”“小さなことでイライラする”“お酒がおいしくなくなった”などというときは、肝臓が疲れている可能性が高い。脂肪肝ならぬ“疲労肝”の状態だと、疲れが抜けにくくなるだけでなく、イライラや不眠のほか、男性ならED、女性なら性交痛などの不調が表れることがあります」 

 肝臓は血のかたまりで、全身の血液の10~15%をため込んでいる、いわば“血液のコントロールセンター”でもある。血液をたっぷり含んだ肝臓の働きがよくなれば、当然、血液をサラサラにする効果が期待できる。体温が上昇して冷え症の改善が見込めるほか、肌にうるおいを取り戻したり、白髪が減るなどの美容効果も見込めるという。

「全身の血流がよくなるので、腸や腎臓といった、ほかの臓器の働きも、相乗効果的にアップします。また、肝臓には、クッパー細胞といって、体内に侵入してきた異物を取り込んで処理する免疫細胞があります。腸内環境を整えることは免疫力アップに大いに役立ちますが、実はクッパー細胞は、腸内の免疫細胞よりも先に菌やウイルスを処理する。肝機能を上げることは、免疫力を高める効果もあるのです」

優しくなでるだけで肝臓が目覚める

 肝臓は、上半分は肋骨で隠れてはいるものの、下半分は皮膚の上から直接刺激を与えることができる臓器。優しくマッサージして血流をよくすることで、肝臓の機能を簡単に高めることができる。

 右の肋骨のきわの辺りを片手で優しくさすって肝臓に血液を集める。その後、4本の指でなでるようにマッサージ。最後に、両手をポンプのように組んで、文字通り肝臓をもみほぐす。

 このときに重要なのは、肝臓の位置を正しくとらえること。みぞおちの中央より少し右側を意識して、肋骨から離れすぎないように気をつけてほしい。位置が低すぎると胃や腸を刺激することになり、肝機能を高める効果が得られない。

「肝臓は、ただでさえ疲れやすい臓器なので、決してダメージを与えないよう、力を入れすぎないように注意してください。また、日頃からカイロや温かいシャワー、湯たんぽなどで肝臓を外側から温めることも、肝機能の維持に効果的です」

■全身の臓器が元気になる!「肝臓もみ」

【1】血液を集めて“スイッチオン”!

右の肋骨のきわに手のひらを当てた女性の腹部のイラスト

 右の肋骨のきわに手のひらを当て、20秒間優しくさする。

【2】優しくなでて肝臓を温める

右の肋骨のきわに手のひらを当てて円を描くようになでる女性の腹部イラスト

 指を揃えて同じ場所に添え、人さし指~小指までを使って30秒間、円を描くようになでる(どちら回りでもよい)。

【3】“肝臓ポンプ”で血流アップ

両手を組んで右の肋骨の下半分を挟むように押さえ、マッサージする女性の腹部イラスト

 両手を組んで右の肋骨の下半分を挟むように押さえ、肋骨が少し動くくらいの力でポンプのように10秒間マッサージ。

 朝昼晩、気づいたときにいつでもできるマッサージで、若く健康な体を取り戻そう。

教えてくれた人

高林孝光さん/アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長。著書に『病気を治したいなら肝臓をもみなさい』(マキノ出版)など。

イラスト/飛鳥幸子

※女性セブン2022年3月17日号
https://josei7.com/

●内臓のバランスを整える「チネイザンマッサージ」とは?イライラ対策になる肝臓マッサージのやり方

●沈黙の臓器「肝臓」を知る!飲酒しない女性がかかる肝臓の病気は?恐怖…肝硬変の実例も

●肝臓ケアに海外でブームの「肝臓デトックス」は危険!では、サプリやヨーグルトはOK?医師が回答

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