猫が母になつきません 第287話「つきあう」
久々に会う遠方に住む孫たち。そろそろ会っておかないと母が孫たちのことを認識できなくなってしまうんじゃないか?という心配も現実味を帯びて来たし、学校を卒業して就職したら忙しくなってしまうだろうし、ということで弟一家(弟夫婦とその娘二人)がやってきて、にぎやかなお正月になりました。普段年老いてくたびれた娘の顔しか見ていない母は若くてぴかぴかな孫二人を前にご機嫌で「小さいころはあんまり似ていないと思ってたけど、こうしてみるとやっぱり似てるわねー」と。そしてしばらくするとまた今日初めて言ったみたいに「小さいころはあんまり似ていないと思ってたけど、こうしてみるとやっぱり似てるわねー」。さっき言ったことを忘れてまた同じことを言ってしまうのは「あるある」だとしても、お芝居のセリフのように一言一句同じなのは不思議です。母の認知症が進んでいるのはわかっているので最初は孫たちも初めて聞いたみたいに話につきあってくれていましたが、さすがに6回目くらいになると逆にウケる(笑える)らしく爆笑していました。ここ、1対1で毎日だとキレるとこですよ(泣)。私はといえば久々にご馳走をたくさん作り、体はくたくた、お財布はカラカラ。でもどんどん食べてくれて気持ちよくて…作りすぎたかも。ほんとうに何年かぶりのお正月らしいお正月でした
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。