精神科医Tomyの元気の出る金言【第26回 心穏やかに年末年始を迎えるために 】
「お疲れさま」を
自分にも、周りにも。
また一年、何とかなるから
ボチボチ行きましょ。
* * *
心配しすぎないで新年を迎えましょう
おはようございます、精神科医のTomyです。この連載もいよいよ最終回。みなさまが心穏やかに年末年始を過ごせるよう、この回をお届けしたいと思います。
さて、アテクシが一貫してお伝えしているメッセージのひとつに、「執着を手放すことが、気持ちをラクにするコツ」というものがあります。「自分は執着なんてしていない」という人も、ストレスのもとには執着が隠れていることが多いのです。
例えば、家族や自分が年を重ねていくと、ちょっとした不安はつきもの。「来年はどうなるのかな?」「どうにもならない事態になったらどうしよう」なんて心配していませんか?
ネガティブになるのは、自分の考えへの執着なんです。「こうじゃなきゃダメ」「自分の思い通りにしたい」と考えているんですね。ところが、人生は明日どうなるかわからないもの。交通事故に遭うかもしれないし。できるだけ健康と事故に気をつけて、毎日楽しみながら暮らすしかないのです。
日々、仕事で診察する中でも、父とパートナーを相次いで失った経験からも、アテクシが辿り着いた答えはというと、平凡ですが「何とかなる」なんです。何周も考えて結局これに辿り着くの。
不安が押し寄せたらこう考えてみてください。「どうにもならないって、どうなること? 今までそんなことあった?」って。大変な思いなんてしたくないけれど、来ちゃうものは止められない。そして、いつもどうにか乗り越えてきたから、今があるのよね。だから、「ネガティブになってもしょうがない!」と心配するのをやめてもいいんですよ。
介護や病気などで、もしリスキーな状況にあるなら、手を打ってくださいね。使えるサービスをどんどん使っていいと思います。周りに頼るのは、執着を手放す一歩だと思いますよ。大切なものを守るためにね。
ところで、「今年一年、大変だったな」って思い返している人もいるかしら? これも執着だと思いますよ。それに、人間ってうれしいことは忘れて、悪いことは覚えているの。恋愛のときめきよりも失恋の痛みのほうが強く心に残るじゃない?
しかし、失恋の痛みは少しずつ癒えて、やがてその人のことを考えなくなっていったんじゃないかしら。記憶が薄れて心は穏やかになっていく。考えないって、悪いことじゃないのよ。
今回お伝えしたいことはね、心配しすぎないで新しい年を迎えられることを喜びましょうっていうことなの。新年も何とかなるから、ボチボチ行きましょ。今を楽しむセンスを忘れずにね。
半年間の連載も最終回です。人生の先輩が多くいらっしゃるこの場所で、温かい応援をたくさんいただき、本当にうれしかったです。みなさま、ありがとうございました。
プロフィール
精神科医Tomyさん/1978年生まれ。国立大学医学部卒業後、精神科クリニックに勤務。診察する中で言葉の力に気づき、自身のつらい経験も生かして温かいアドバイスをツイッターで発信。たちまち話題になり、フォロワー現在、25万人を突破。作家・エッセイストとしても活動しながら、悩み多き人々に寄り添い続けている。近著に『精神科医Tomyが教える 1秒で元気が湧き出る言葉』(ダイヤモンド社)などがある。2022年1月12日(水)発売の新著『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)はTwitter発信のスピンオフとして生まれた、著者初の小説。
ツイッター:『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』 @PdoctorTomy
取材・文/永田玲香