高齢者のための熱中症対策Q&A|応急処置の方法、軽症と重症の違いは?【医師監修】
いよいよ暑い季節がやってきて、熱中症。高齢者はがまん強い人が多いが、それがネックとなる。家族と暮らしていてもひとりで部屋に閉じこもりがちな人は、発見が遅れて重症化するリスクがある。高齢者の家族が知っておきたい熱中症Q&Aを、高齢者の在宅診療を行う医療法人社団ときわの小畑正孝さんに聞いた。
【Q】スポーツドリンクや経口補水液は毎日飲むようにした方がいい?
【A】毎日飲む必要はありません。スポーツドリンクや経口補水液には脱水症予防のために糖分・塩分が配合されていて、糖尿病・高血圧・心不全等の持病がある人は悪化させることもあります。
【Q】熱中症の疑いがある症状は?
【A】熱中症は軽症(I度)、中等症(Ⅱ度)、重症(Ⅲ度)に分類されます。軽症の場合は、涼しい場所で応急処置をして症状が和らげば医療機関を受診する必要はありません。
朦朧としていれば、重症化のリスクが高い、意識障害の恐れがあります。外見は朦朧(もうろう)としているように見えなくても、つじつまの合わないことを言い始めたときなどは要注意です。家族は認知症と勘違いをして見過ごしがちですが、認知症は突然始まることはありませんので、日頃から言動などに注意してください。
【Q】熱中症の症状は? 軽症・中等症・重症をチェック
●Ⅰ度(重症度:軽症)
症状:めまい・失神・立ちくらみ・生あくび・大量の発汗・筋肉痛・こむら返り・手足のしびれ・気分の不快
●Ⅱ度(重症度:中等症)
症状:頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感・集中力や判断力の低下
●Ⅲ度(重症度:重症)
症状:意識障害・けいれん・手足の運動障害・高体温・肝機能障害・腎機能障害・血液凝固異常
※出典/「日本救急医学会分類2015」をもとに作成
【Q】応急処置の方法を教えてください。
【A】涼しい場所に移動させる→仰向けに寝かせる→衣服をゆるめる→首や脇の下、足のつけ根を冷たいもので冷やす、という順で対処します。
保冷剤が理想的ですが、冷蔵庫の缶ビールやペットボトルで代用できます。その後、うちわなどであおいで風を当て、水分補給をさせますが、嘔吐や意識障害があるときは、誤って気道に入る危険性があるため無理に水分を摂らせず、救急車を呼んでください。
教えてくれた人
医師 小畑正孝さん
「医療法人社団ときわ」理事長。専門は内科、総合診療科。2016年に「赤羽在宅クリニック」を開院。翌年、「医療法人社団ときわ」を立ち上げ、理事長就任。2021年「サルスクリニック」を開院。
取材・文/加藤みのり イラスト/ドナ
※女性セブン2021年7月1・8日号
https://josei7.com/