災害で停電した時、冷蔵庫内の食品をより長持ちさせる方法
大きな災害はいつ発生するかわからない。内閣府の試算では、首都直下地震で想定される停電被害は約1220万軒、南海トラフ巨大地震の場合は約2710万軒となっている。停電すると照明だけでなく、大半の電化製品が使えなくなるわけだが、その中でも特に困るのが冷蔵庫だ。冷蔵庫内の貴重な食品を守るためには、どうすればいいのか?いざというときに迷わないためのノウハウを専門家に教えてもらった。
ドアを開けなければ、冷蔵室は1日程度、冷凍室も3日程度は冷気をキープできる
「冷蔵庫自体が高性能なクーラーボックスなので、停電をしても、ドアを開けなければ、冷蔵室は1日程度、冷凍室も3日程度は冷気をキープできます。ただし、ドアの開閉が多いと冷気が逃げて、庫内の温度が上昇してしまいますので、停電時は、冷蔵庫のドアをなるべく開けないことが鉄則です」
と語るのは、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんだ。
クーラーボックスに移し替えたり、冷蔵室の食品を冷凍室に移動させるのは、おすすめしないという。ドアの開閉によって、冷気が逃げてしまうからだ。
冷蔵庫の開閉はできるだけしないこと
停電が数時間~半日程度なら、冷蔵庫を開閉せずそのまま復旧を待った方がいい。復旧の見通しが立たない場合も、不必要な開閉は避け、冷蔵室→冷凍室の順番で、中の食品を食べていこう。食品を出し入れする際は、なるべく1回にまとめて、素早く行うことが大切だ。
さらに、停電対策として日頃からできることもある。
日頃からペットボトル冷凍室に入れておく
「食品が少なく、庫内に余裕がある場合は、ペットボトルなどの飲料水を入れておくと、冷気を長く維持できます。ただし、冷蔵室に食品を詰め込みすぎると冷気が循環せず、冷却効果が低くなるので、容量の7割程度を目安にしましょう。
一方、冷凍室は凍った食材自体が保冷剤の働きをして冷凍効率を高めるので、冷蔵室とは逆で、隙間なくぎっしり詰めておく方がおすすめです」(高荷さん)
特に、冷凍室に常備しておきたいのが、凍らせたペットボトルの水だ。保冷剤として使えるだけでなく、溶けたら飲み物や料理用など、その後の避難生活にも役立つ。
ただし、水は凍ると体積が約1割増えるため、新品のペットボトルをそのまま凍らせると破裂する危険性がある。凍らせる前に一度開栓し、容量を8~9割に減らして調整しておこう。
まとめ
●できるだけ開閉しなければ、しばらくは冷気はキープできる
●クーラーボックスなどへの入れ替えはおすすめしない
●日頃からペットボトルを入れておくと冷気を長く維持できる
●冷蔵庫の詰め込みすぎは冷却効果を下げる。7割程度に
●冷凍庫はぎっしり詰めておく
●冷凍庫に凍らせたペットボトルを入れておく
●ペットボトルは凍らせる前に8~9割に減らしておく
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2021年4月29日号