ピーターも豪邸を手放し平屋を購入!シニアは2階に寝ないほうがいい3つの理由
高齢になるほど、住み慣れたわが家は危険な場所となる。日常生活で最も多い事故は、「転ぶ」と「落ちる」で、いずれもほとんどが自宅で起きている。
東京消防庁の報告では、2019年に管轄地域内で発生した日常生活における事故(交通事故を除く)によって、約14万5000人が救急搬送されており、そのうちの半数以上が65才以上だ。
同庁が2015年からの5年間に起きた事故の内容を分析したところ、「転ぶ」事故が全体の82.1%を占め、次いで「落ちる」事故が10.5%と続く。いずれも、ほとんどが「住居等居住場所」で起こっている。
1.夜間のトイレに行くときの転倒が最も危険!
バリアフリーの住宅改修を専門とするリフォーム会社・高齢者住環境研究所社長の溝口恵二郎さんはこう指摘する。
「要介護となった人の自宅をリフォームするとき、『無理して2階に上がって、階段で転倒して骨折した』という話はよく聞きます。一時的な入院で治ればいいですが、骨折したことが原因で寝たきりになり、それがきっかけで認知症を発症するなど、歩けなくなることは高齢者の健康にとって大きな障害となります」
とはいえ、長年の習慣を変えるのは難しい。「まだ元気だから」と、若いときから変わらず2階を寝室にしている人は多いだろう。しかし高齢になってくると、夜間にトイレへ行く頻度が増えるなど、自分の気持ちとは無関係に危険に身をさらす機会が増えていく。
「寝室が2階にあるのに、トイレは1階にしかないというのはもってのほか。最も転倒しやすいのは、夜間にトイレへ行くときです。昼間ならなんともない段差でも、寝起きでぼんやりしているときは大きなハードルとなります。
2.ヒートショックの危険性も
また、冬場には、暖かい寝室と寒い階段との温度差によって血圧が激しく変動するヒートショックを起こす危険性もある。もし階段でヒートショックを起こしたら、転落してしまいます。こうした理由から、高齢になってからの住居は寝室とトイレの動線を最短距離にすることが鉄則です」(溝口さん・以下同)
3.60才以降のリフォームは「増築」ではなく「減築」を
老後を自宅で過ごすと決めている場合、将来を見据えたリフォームや部屋の配置換えは、まだ体力があるうちに行った方がいい。介護が始まってからでは、建て替え期間中に過ごす場所の確保など、苦労することが多いからだ。
「60才以降のリフォームは、『増築』ではなく、2階を取り払う『減築』が基本の考え方です。大規模な工事をしなくても、2階は不要な物をしまう物置にして、日常生活は1階で完結するように改装すればいいのです」
教えてくれた人
溝口恵二郎さん/リフォーム会社・高齢者住環境研究所社長
※女性セブン2021年4月29日号