60才過ぎたら”やめるべき”5つの医療習慣|薬、サプリ、病院のはしご…【医師監修】
「60才を過ぎると薬やサプリを習慣としてたくさんのんでいる人が目立つ」と、専門医が指摘する。60代の患者に多い薬やサプリののみすぎによる弊害とは? やめたたほうがいい習慣とは?医療にまつわる「やめるべき」ものを5つのチェックリストで確認しておこう。
60才を過ぎると増えがちな薬やサプリ
平均寿命はますます長くなり、老後を元気で暮らすには、若いときの習慣や新たな挑戦を断ち切る潔さが必要な時代となった。あれもこれもとがんばるのは、年寄りの冷や水。60才以降の人生は、ぬるま湯につかったつもりで心地よく生きたいものだ。
若いときとの大きな違いとして、まず目につくのが「薬」だ。60才になると、日常的に服用する量が増えやすい。血圧やコレステロール値、血糖値の薬など、のみすぎを指摘する声は少なくない。特に、血圧や血糖値は過剰に薬で下げすぎると、めまいなどを起こし、転倒を招く恐れがある。
名古屋学芸大学健康・栄養研究所所長の下方浩史さんは「花粉症など、アレルギー薬には要注意」と話す。
「アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬には、眠くなる成分が入っているものもある。それらのタイプは脳の働きを抑えるため認知症の原因になるといわれ、常用することはおすすめできません。いまは眠くならないタイプの花粉症薬も市販されているので薬剤師に相談するといいでしょう」(下方さん)
薬ののみすぎを防ぐためには、不要に医師にかかることを避けたい。海外と比べ医療費の自己負担が少ない日本では、自分に合う医師を探してはしごする「ドクターショッピング」をいとわない人もいるが、下方さんは否定的だ。
病院を渡り歩くと薬が増える?
「病院をあちこち渡り歩くことは、薬が増えるきっかけになります。医師を変えたことで違う種類の血糖値の薬をもらい、両方のんでいるという人もいますが、明らかにのみすぎです。血糖値の下げすぎは命にかかわることさえあります」
多剤併用のリスクは薬に限らない。サプリメントののみすぎは逆効果となり得る。ちくさ病院の内科医、近藤千種さんが指摘する。
「60代の患者さんは、習慣的にサプリメントをいくつものんでいる人が目立ちます。正直なところ、サプリメントは成分の含有量がしっかり書かれていないものもあって、必ずしも安全とはいえません。なかには、サプリメントの乱用によって、代謝を担う肝臓の機能を悪くする人もいます」
下方さんも「サプリの摂りすぎはよくない」と同意する。
「貧血気味だからといって鉄のサプリを買ってのむ人がいますが、鉄の欠乏による貧血を高齢者が起こすことは少なく、ビタミンやたんぱく質不足で貧血になることがほとんどです。鉄は摂りすぎると老化のもととなる活性酸素をつくり出し、肝臓にも悪い。あくまでも、栄養は食事で摂ることが基本です」(下方さん)
→医療従事者200人の本音|のんでる&絶対のまないサプリメントランキング
60才過ぎたら「やめるべき」医療の習慣5選
【1】高血圧の薬
血圧は年齢とともに上がるのが自然なこと。服薬基準を下回るのに、習慣だからと薬で無理に下げていると脳や心臓に血液が充分に行き渡らなくなり、認知症や心筋梗塞を引き起こす恐れもある。
【2】血糖値を下げる薬
加齢とともに血糖値はその調整能力が衰えるため、上下の振れ幅が大きくなる。少し血糖値が高いからと過剰に薬をのんでいると、低血糖を起こして失神するリスクが。
【3】花粉症、風邪薬、睡眠薬などの常用
眠くなる成分の入っている薬は脳の活動を抑制する働きがあるため、服用を続けていると認知症になる恐れがある。
【4】サプリメント
サプリメントは原材料それぞれの含有量が不明の場合が多く、効果や副作用のリスクの影響が把握できない。肝臓にも負担がかかる。
【5】ドクターショッピング
“病院のはしご”は、薬をもらいすぎる原因となり、多剤併用の危険が高くなる。
※女性セブン2021年4月8日号
https://josei7.com/
教えてくれた人
名古屋学芸大学健康 栄養研究所所長・下方浩史さん、ちくさ病院 内科医・近藤千種さん
●60才を過ぎたら“やめるべき”保険と5つの見直しポイント【FP解説】