最も多くの医師が「安らかな死に方」のトップに挙げたのは?眠るように穏やかに最期を迎えることはできるのか
こうした「理想的な死に方」に、最もよく当てはまるのが「老衰」だという。年間100件もの看取りに立ち会う、ちくさ病院総合内科医の近藤千種さんが言う。
「最も穏やかな最期だと思えるのが老衰です。老衰に明確な定義はありませんが、人は老化に伴いゆるやかに身体機能が低下していき、やがて自力で食事を摂ることも難しくなっていく。まるで花が命を終えるように自然に逝くことだと考えています」
近藤さんによれば、老衰死をする人のほとんどが、眠るように穏やかな表情で最期を迎えるという。近藤さんを含め、最も多くの医師が「安らかな死に方」のトップに挙げたのが老衰だった。
「大きな病気に侵されずに呼吸や代謝など体の機能が自然に衰え、生命維持ができなくなる老衰こそが、生物として最も自然な最期の在り方。その証拠に動物は基本的に老衰で死にます」(ハタイクリニック院長の西脇俊二さん)
名医が選ぶ「理想の死に方」4つ
【1】老衰
「多くの看取りに立ち会った経験から、老衰死する人のほとんどが眠るように穏やかな表情で最期を迎えていたため」(近藤さん)
「呼吸や代謝など体の機能が自然に衰えるのは生物として最も自然な最期」(西脇さん)
「なるべく医療や介護のサービスを受けずに生を全うしたいため、闘病せずに息を引き取る老衰が理想」(大西さん)
【2】がん
「がんでいちばんつらいのは痛みだが、それを緩和する専門医療チームのもと苦痛なく過ごせるのならばいい最期の迎え方だと感じる」(岡本さん)
「おおよその余命がわかるため、生前整理や財産分与も充分にできるため」(上さん)
【3】脳出血
「脳出血で意識がなくなってそのまま亡くなるケースは安穏」(森山さん)
【4】心筋梗塞
「現代の死亡理由の3割は心臓発作。時と場合によるが、一瞬で意識を失いあっという間に息を引き取るケースが多い」(西脇さん)
→ピンピンコロリで逝った人がしていた5つのこと|寝たきりにならず最期を迎えるには?
教えてくれた人
岡本健一郎さん/昭和大学病院緩和医療科特任教授・緩和ケアセンター長、上昌広さん/医師・医療ガバナンス研究所理事長、森山紀之さん/医療法人社団進興会理事長、近藤千種さん/ちくさ病院総合内科医、西脇俊二さん/ハタイクリニック院長、大西良佳さん/麻酔科医師
※女性セブン2021年1月1日号
https://josei7.com/
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