最も多くの医師が「安らかな死に方」のトップに挙げたのは?眠るように穏やかに最期を迎えることはできるのか
どんなに健康に留意しても、最期の迎え方を選ぶことはできない。ならば理想に近づけるべく、努力を重ねるよりほかない。日々、生と死に対峙する名医が選ぶのは、どんな人生の幕切れか。
【目次】
樹木希林さんの最期の言葉とは…
「なんて素敵なFamily」「こんな風に思い出す事が1番の供養ですね」
インスタグラムにアップされた一枚の家族写真に、温かいコメントが次々と寄せられている。
そこに写っているのは、俳優・本木雅弘(54才)と妻の也哉子(44才)、その息子でモデルのUTA(23才)、妹で女優の伽羅(21才)、そして2018年に亡くなった樹木希林さん(享年75)だ。
強烈な個性と自分らしい生き方を貫いた彼女は、三回忌を迎えてなお、私たちの心に鮮明に残り続ける。彼女が最後に残したのは、『死ぬときぐらい好きにさせてよ』という言葉――。
乳がんが全身に転移しながらも、樹木さんは引退することなく女優を続け、自宅で家族に見守られながら息を引き取った。
→浅田美代子流「孤独の生き様」|樹木希林さんに従ったことと背いたこと
樹木さんのように全身にがんを抱えながら安らかな最期を迎える人もいれば、今際のきわまで苦しみ続ける人もいる。できることなら、前者であってほしいと誰もが思うことだろう。では、苦しみから解放された最期をどうすれば迎えられるのか。日々、現場で生死と向き合う名医に聞いた。
医師が考える「理想の死に方」とは
そもそも医師が考える「理想的な死に方」とはどのようなものなのか。緩和ケアセンター長として多くの患者の最期に接してきた昭和大学病院緩和医療科特任教授の岡本健一郎さんはこう語る。
「非常に難しいテーマですが、死後の憂いを残さないように準備が充分にでき、心の整理がつくまでの時間があることが1つの条件だと感じています。加えて家族に多大な負担を強いることなく、身体的にも心理的にも苦痛がなく、眠るように自然な形で息を引き取ることではないでしょうか」