靴底のすり減り方で体の歪みがわかる!改善法と正しい靴の選び方とは
靴のかかとが減ると、修理に出したり断捨離を決意したり、靴のケアにばかり目がいきがちだが、実は靴底のすり減り方に目を留めていただきたい。
そこには、足や腰をはじめ、今のあなたの全身の健康状態が表れているからだ。さぁ、自分の靴底を見て、今の自分の健康を知ることから始めよう。
これまで約2万人以上の足のトラブルを治療してきたという『足のクリニック 表参道』院長の桑原靖さんは、「足に問題を抱えている人が年々増えている」ことを、実感しているという。
「足は少々の痛みや違和感があっても、日常生活に大きな支障がないと、ついつい放置しがちです。
例えば、外反母趾などで足に痛みや違和感があっても、かばいながら歩けば、やり過ごせてしまう場合が多い。しかし、放置していれば、体の歪みはどんどん進行してしまいます」
2016年に“転ぶ”事故でけがをし、救急搬送された高齢者(65才以上)は、約5万1000人(東京消防庁調べ)というが、年をとったから転ぶのではなく、足の筋力の衰えが原因だ。
「靴底の減り具合を見れば、どこの筋肉が衰えているかすぐにわかります。つまずいたり、疲れやすかったり、夜中にふくらはぎがつる、といった症状がある場合は、まず、すり減っていない靴に替えること。そして体の歪みを改善することです」(桑原さん)
自分の靴の減り方を以下の5タイプから選び、改善法で歪みを正そう。
1:中心とかかと(もしくはかかとのみ)が減っている
【原因】
アキレス腱が縮んでいる人に多い減り方。つま先よりかかとが高くなった状態が続くと、アキレス腱が縮んだまま硬くなってしまうため、裸足やかかとの低い靴を履いた時、体が縮んだ腱に引っ張られて後ろに傾き、それを元に戻そうと前かがみ(猫背)になる。そのため姿勢が悪くなり、腰痛にもつながる。
【改善法】
アキレス腱を伸ばす!
(1)両腕をまっすぐに伸ばし、壁に手のひらをつける。
(2)片足を後ろに1歩引き、前方の足のみをゆっくりと曲げていく。両足のつま先はまっすぐ前方に向け、かかとは床につけたままで。
(3)後方の足のアキレス腱、ふくらはぎが突っ張る(痛みを感じる)程度に伸ばし、ゆっくりと呼吸をしながら1分間キープ。逆足も同様に(1日2回)
2:内側がすり減っている
【原因】
長年、足に合わない靴を履いていたり、ジャンプなどをして靴のかかとに強い衝撃を受けると、かかとが傾いてしまう。このように傾いた状態が長く続くと、体の重心が内側に倒れる「回内(かいない)」という状態になることもある。そうすると、土踏まずがなくなり、扁平足や外反母趾の原因になることも。
【改善法】
足を地面にしっかり着ける意識で歩く!
(1)うつむかずに目線はまっすぐ前に向ける。あごをやや引き、前かがみにならないように背筋をピンと伸ばす。
(2)お尻に力を入れて、足と一緒に骨盤が前後に動くように意識しながら、腕を左右バランスよく、やや大きめに振り、少し大股を心がける。
(3)親指側のつま先を意識して蹴り出し、かかとからの着地を心がける。
3:外側が減っている
【原因】
重心が外側に偏っている状態を「回外(かいがい)」という。「回内」とは逆で、かかとが外側に倒れているため、それにともない、膝が外側を向いてしまう。足が正しく地面に着いていないため、接地時に地面からの衝撃を吸収できず、膝や腰に大きな負担がかかり、膝痛や股関節痛の原因になることも多い。
【改善法】
股関節を内側に倒す感じで、膝の位置を正す!
(1)正座をする。
(2)お尻が浮かないように意識しながら、片足の膝下をつま先からゆっくりと外側へ出す。
(3)足の付け根から太ももにかけて突っ張る感覚のある位置で止め、ゆっくりと呼吸をしながら1分間キープ。逆側も同様に。
※正座ができない場合は両膝を立てて座る“体育座り”で片足の膝を内側に倒しても可(左右各1分・1日2回)。
4:つま先とかかとが減っている
【原因】
歩く時にまずかかとから着地し、次に、足裏全体がつき、足首が前に進んで、最後に親指側のつま先でしっかり蹴り出す。そんな、正しい歩き方をしている人の靴底は、この減り方のようになる。
5:左右の減り具合が非対称
【原因】
片足だけ回内している人や、膝から下の足の長さが左右で違う人などは、左右の減り具合が非対称になることが多い。左右のバランスが崩れることで、より歪んでいる足から変形や痛みが表れる。ストレッチなどを行うより、早めに専門医を受診して。
上の5タイプの中で、正しいすり減り方は【4】だけ。正しい歩き方を身につければ、靴の減り方も変わって体の不調も改善していく。