【都営大江戸線】注目のサ高住と特養、介護付有料老人ホーム【まとめ】
都営大江戸線の終点「光が丘」駅から、バスまたはタクシーで5分のところにある「光が丘パークヴィラ」。緑に恵まれた都立光が丘公園に隣接するこちらの施設は、1985年に医師の中村美和さんが自身の理想を追求してつくった介護付有料老人ホームだ。
開業医として地域医療に取り組んでいた中村さんには、高齢者から先々の生活の相談が寄せられるようになっていたそうだ。中村さんは当時、相談を寄せる高齢者のためにいろいろな施設を見てまわったが、納得できるような施設がなかった。それで自分でつくろうと思い立ったのが設立のきっかけだという。
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高齢者のための施設が、終の棲家たりえるかどうかを判断する指標に看取り率がある。看取り率が高ければ高いほど、終の棲家の役割を果たしていることがわかる。まだ介護保険制度もなく、高齢者向けの施設を“姥捨て山”などと揶揄するような声がある時代から試行錯誤を繰り返し、今となっては先駆け的な存在となっている光が丘パークヴィラの看取り率は85%だという。
こちらの施設は、元気な時の自立型住居と、医療や看護などが必要になった際の介護施設であるケアセンターに分かれているという。同じ敷地内にあるケアセンターには、看護師・介護職員が24時間常駐している。また施設内にはクリニックが併設されていて医師が常駐しているので、大抵の心身の変化に対応できるそうだ。
中村さんは自身が作り上げた光が丘パークヴィラを“高年者専用住宅”としてつくったと語る。元気なうちに入居し、年齢を重ねると起こってくることに対処し、看取りまで行うのがコンセプトだという。
「約85%の方をここで看取っています。病院は今、長期入院はできない制度になっているので、亡くなるまで病院にいることはほとんどできません。高機能病院だと平均在院日数は12日くらいですから、どんどん出されてしまいます。治療がなければ帰しますし、慢性化すれば帰すし、もちろん入院が嫌だと言えばすぐに帰します。状態に関わらず退院させますから、治ったから退院というわけではないんです。そういう状況なので、さまよえる老人が多くなってしまいました。そうすると、点々と施設を移るような人が増えてしまいます」(中村さん、以下「」は同)
ここでは元気なうちはマンションに住んでいるかのように生活でき、具合が悪くなれば手伝いをしてくれるという。そしていよいよ状態が悪くなれば、病気によっては病院に行くが、そうでなければケアセンターで最期の看取りまでしてくれるそうだ。どのような状態になっても1か所で対応してくれるので、施設を転々するようなことを心配せずに済む。それこそが、中村さんが開設当初から医療、介護、看護、生活支援を総合的に用意し、安心してもらうことを念頭において取り組んできた成果だ。
中村さんは終の棲家について「元気な時はもちろん、具合が悪くなっても生活できる、自分の家と同様、それ以上に対応できる家、自分の一生を託せる家」だと著書に記している。生涯安心して暮らせる環境を元気なうちに確保したい方は、ぜひ足を運んで確かめてみてはいかがだろうか。
→医師が理想の終の棲家を追求してきた介護付有料老人ホーム<前編>
→医師が理想の終の棲家を追求してきた介護付有料老人ホーム<後編>
1991年の開業以来、年々乗客が増え続け、1日あたりの利用者数が100万人近くに達している都営大江戸線。住み慣れた場所で暮らし続けたい人は、希望の沿線で高齢者向けの施設を探してみるのも良さそうだ。
撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
※過去の記事を元に再構成しています。サービス内容等が変わっていることもありますので、詳細については各施設にお問合せください。
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