【都営大江戸線】注目のサ高住と特養、介護付有料老人ホーム【まとめ】
都営大江戸線「西新宿駅五丁目」駅から徒歩5分のところにある「渋谷区つばめの里・本町東」。比較的古くからある住宅街とオフィスが混在していることと、渋谷区と新宿区、中野区が隣接しているのがこの地域の特徴だ。
こちらは、渋谷区基本構想の福祉分野の未来像である「あらゆる人が自分らしく生きられる街」の実現のために、高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを営めるように整備されたという。施設の持ち主は区で、社会福祉法人カメリア会が運営を委託されているそうだ。
小学校の跡地に建てられた地上5階・地下1階の建物には特別養護老人ホーム(以下、特養)を中心に、グループホーム、ショートステイ、在宅療養支援ショートステイ、デイサービス、トレーニング室、多目的ホール、地域包括支援センターが入っており、地域の高齢者を支える拠点として申し分のない機能が揃っている。
施設の機能の中心となっているのが、定員100人の特別養護老人ホーム(以下、特養)。常時介護が必要で、在宅での生活・介護が困難な人が10人ずつのユニットと呼ばれる単位に分かれて、職員に支えられながら生活している。渋谷区では、特養の入居対象となるのは原則として要介護3~5と認定された人。自治体によって基準が異なるので、特養への入居を希望する場合は事前に確認をしておきたい。
「特養では一人ひとりに合わせた個別ケアを目指していて、何を求めているのか、どのようなケアが必要かを見つけることを意識しています。介護職だけでその方の思いをサポートすることはできないので、多職種が連携するチームケアを実施しています。例えば、車椅子から立ち、歩きたいという気持ちがある方のサポートをするために、機能訓練の担当がリハビリメニューを考え、食事の担当が食事の形態を食べやすいように変えることで摂取できる栄養を増やすといった連携をしています」(施設長の山匠さん。以下、同)
こちらの特養では食事や入浴、排泄などの日常生活の介助や、レクリエーション、健康管理などを受けることができるそうだ。居室のトイレはバリアフリー対応がされ、身体が不自由でも入浴できるように機械浴の設備も整っているので安心だ。
2階のグループホームでは、認知症の高齢者が9人ずつ1つのユニットで暮らしている。家庭的な雰囲気の中で、家事や身の回りのことなど、できることはなるべく自分ですることを目的にしているという。そのことによって、認知症の症状の進行を緩和させ、よりよい日常生活を送ることができるよう支援していくことを目指しているそうだ。
「グループホームでは認知症のご高齢者が共同生活を送っています。食事は朝昼晩、全てここで入居者の皆さまと一緒に作っています。野菜を切ったり、盛り付けをすることが認知症の症状緩和にもつながります。ある程度身の回りのことをご自身でできる方は、グループホームを希望されることが多いですね。生活のスケジュールなど、自由度が高いことも特徴です」
少人数の決まった顔ぶれで生活できるので、職員とも顔なじみになりやすく、認知症の高齢者が周囲の人の入れ替わりによる混乱をしにくいという。また、住み慣れた地域で生活を続けられるので、認知症の症状を悪化させてしまう環境の変化によるストレスも少ないそうだ。訪れたときは昼食後の午後のひととき。穏やかな雰囲気で入居者同士が談笑していた様子が印象的だった。
総合福祉施設として地域の介護ニーズに応える存在として期待の高まる渋谷区つばめの里・本町東。施設の運営を委託されているカメリア会の職員たちは日々、真摯に利用者や入居者、その家族、さらに地域住民と向き合っている。高齢者が毎年増えていくなか、このような施設のニーズは今後ますます増えていきそうだ。
→ワンストップサービスで地域の介護ニーズに応える総合福祉施設<前編>
→多職種が連携してチームケアを実践している総合福祉施設<後編>