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【練馬区】注目の介護付有料老人ホーム【まとめ】

 評判の高い高齢者施設や老人ホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。

 東京23区の北西に位置する練馬区。石神井公園や光が丘公園など大規模な都立公園もあり、緑豊かな環境で暮らせる住宅街が広がっている。高齢者人口比率(65歳以上)は21.7%となっており、今後も増加が見込まれている。そこで今回は、練馬区の介護付有料老人ホームを紹介する。

入居者のための設備が充実した足湯のある介護付有料老人ホーム「グレースメイト練馬桜台」

 練馬駅から徒歩10分。商店街を抜けると「グレースメイト練馬桜台」がある。最初に目に入ってくるのは、建物の入口には「さくらの湯」と名付けられた足湯だ。足湯は癒やしに効果を発揮するだけではなく、入居者の交流の場にもなっているそうだ。首都圏に展開している介護付有料老人ホームの「グレースメイトシリーズ」は入居者の笑顔にこだわり、建物や設備に工夫を凝らしたという。

 1階の食堂兼機能訓練コーナーに面した場所に健康管理室とスタッフルームが作られているので、スタッフルームから食堂にいる入居者の様子を把握することができるという。食欲があるか、会話をしているか、顔色、表情など、食事の様子から多くの情報を得ているそうだ。見学に来た医師から食堂での見守りを可能にする設計を評価されたこともあるという。他にも食堂のそばにトイレを4つ設けて、トイレ待ち・移動による入居者、そしてスタッフのストレスを軽減したという。介護をする側・される側双方にうれしい設計にこだわっているのがわかる。

 食堂や談話コーナーなど共用スペースには「見守りライブカメラ」が設置されており、入居者の家族が自宅などから様子を確認できるようにしているそうだ。遠方に住んでいて会いに行けない家族が様子を知ることができるだけではなく、スタッフが緊張感を持って仕事をする効果もあるようだ。

 エントランスを入ると吹き抜けがあり、大きな窓から光がさしこむロビーラウンジがある。入居者同士や家族との団らんに使われている、明るく開放感のあるスペースだ。入居者が一人で自由な時間を過ごすことも多いそうだ。

 その隣にあるのは緑のカーペットの敷かれた機能訓練コーナー。ロビーラウンジと壁で仕切られていないので、開放的な空間で機能訓練ができる。機能訓練指導員が心のハリにもつながるよう、一人ひとりにあったプログラムを組み立ててくれるそうだ。

 食堂に面している「憩いガーデン」はまるでオープンカフェのような雰囲気。食後のひとときをここで過ごすのも気分が良さそうだ。また、フルフラットのタイル貼りテラスと芝生の庭に出れば、外出気分を味わえる。2つある花壇は車椅子でもガーデニングが楽しめるように配慮された高さにしているそうだ。

 気軽に外出を楽しめるように設けられている週1回の「お散歩くらぶ」では、気分や体調にあわせて散歩ができる。もちろんスタッフが付き添ってくれ、車椅子でも参加可能だ。小学校の元気な子どもたちの声を聞くのを楽しみにしている入居者も多いそうで、外の空気を吸いながらスタッフと会話をかわしていると表情も豊かになるという。

 外出に気分がのらない日は、屋上庭園での日光浴を選ぶこともできるという。憩いガーデンと同じく車椅子でも楽しめる高さの花壇もある。ここは夏の夜空を彩る「いたばし花火大会」の特等席。気分にあわせて日光浴や夕涼みをしながら過ごしているそうだ。

 建物全体が明るく開放感があるグレースメイト練馬桜台。足湯まで用意して笑顔にこだわるその運営姿勢のもと、前向きな気持ちで生活ができそうだ。

→入居者のための設備が充実した足湯のある介護付有料老人ホーム<前編>
→入居者のための設備が充実した足湯のある介護付有料老人ホーム<後編>

贅沢で多様な共用空間を備えた介護付有料老人ホーム「クラーチ・フィエラ鷺ノ宮」

 西武池袋線「中村橋」駅から徒歩10分、西武新宿線「鷺ノ宮」駅から徒歩11分のところにある介護付有料老人ホーム「クラーチ・フィエラ鷺ノ宮」。運営する株式会社クラーチは2001年に設立され、シニア向け住宅の運営で実績を積み重ねてきた。

 同社のコンセプトは「終の住まいとして上質で居心地のよい空間演出」「できるだけ介護を必要とせず、元気であり続けられる健康サービスの提供」「お客様の期待を上回るホスピタリティの追求」の3つ。クラーチ・フィエラ鷺ノ宮の共用スペースを見ていくと、コンセプト通りの質の高さに驚かされる。

 訪れた際にまず驚かされたのが茶室だ。本格的な茶室が独立して、まるで離れのように作られている。これは「贅を尽くす空間であること」という思いから作られたものだという。

 お茶を嗜んでいる入居者も多く、お茶の先生に来てもらっているという。茶器にもこだわっており、本格的な茶室で味わう贅沢な時間は好評のようだ。

 茶室のほかにも、入居者への思いが表れている箇所がいくつもある。ガラス張りで開放感のあるロビーに用意された、リハビリスペースもその一つだ。リハビリ機器は入居者のニーズに合わせて運営開始後に導入したものだという。

 ロビーにはカフェコーナーも設置されており、入居者はもちろん、入居者の家族や友人が共に時を過ごす場所として活用されているそうだ。

「最初から完成形として提供するのではなく、入居者様の様子を見ながらニーズを捉えて、それに合わせていくようにしています。新しいホームはそうやって歴史を作っているんですね。現場の声を実際に活かしていくことは、スタッフのやる気にもつながっていきます」(株式会社クラーチ代表取締役の鮫島智啓さん)

 コンセプトの一つである「ホスピタリティの追求」に、大きな役割を果たしているのがコンシェルジュ。タクシーの手配や郵便物を預かるなど、日常的な生活の手伝いもしてくれるコンシェルジュだが、ただ受付に座っているだけではないという。ロビーにあるカフェコーナーで入居者と堅苦しくない、温かみのあるコミュニケーションをとるのも大切な業務の一つとして捉えているそうだ。

 入居者が洗練された時間を過ごせるように、クラーチ・フィエラ鷺ノ宮にはアトリエも用意されている。このアトリエは趣味を楽しめる空間で、キッチン設備もある。入居者自身がここで料理を作り、ルーフテラスで味わいながら語らいを楽しんでいるという。

 用意されている調度品や機器に、例外なく上質なものが使われていたことも印象的だった。妥協せずに上質な生活を目指すというコンセプトに魅力を感じる人にはピッタリの環境だろう。

→贅沢で多様な共用空間を備えた介護付有料老人ホーム<前編>
→贅沢で多様な共用空間を備えた介護付有料老人ホーム<後編>

生活リハビリに力を入れた介護付有料老人ホーム「アズハイム光が丘」

 西武池袋線石神井公園駅からバスで6分。最寄りのバス停で降りると目の前に「アズハイム光が丘」がある。近隣には緑豊かな石神井公園、光が丘公園のほか総合病院もあり、住宅地としても人気のエリアだ。

 アズハイム光が丘を運営する株式会社アズパートナーズは、2005年に最初の介護付有料老人ホームをオープン。「施設ではなく、家(ホーム)でありたい」というキャッチフレーズを掲げて、運営施設を増やしながら着実に歩んできた。夫婦で入れる居室も用意されており、自宅に住んでいたときと同じように過ごせるため、人気だという。

 各階にリビングダイニングがあるため、見学者からゆったりとした作りだと褒められることも多いという。1階にはカフェスペースがあり、入居者本人はもちろん、家族や友人との語らいに自由に使うことができるそうだ。

 機械浴の設備も用意されているので、身体が不自由になっても職員の介助のもとで入浴を楽しめる。入浴する人を高いところから下げるのではなく、浴槽自体を上げていくので恐怖心が少なく、安心安全にお風呂を楽しめるそうだ。

 アズハイムはリハビリにも力を入れており、個別機能訓練で予定表はびっしり。生活リハビリにも力を入れていて、歩ける人は廊下を歩く、車椅子利用者は廊下を自走するなどのトレーニングにも取り組んでいるそうだ。スタッフが介助をしたほうが早くて効率的なことも多いが、残っている能力を維持するために日常生活にトレーニングを取り入れているという。

 行政基準よりも手厚い2.5対1以上の人員配置をすることで、生活リハビリに取り組む余裕が生まれているそうだ。スタッフの知識習得、技能向上のために研修に力を入れ、介護福祉士などの資格取得を会社として支援しているという。

 新人スタッフへの教育にも力を入れていて、年の比較的近い先輩をメンターとして配置しているとのこと。聞けば社長も気さくな人柄で、差し入れ片手に現場を訪れては職員とコミュニケーションを取っているという。正しい知識、資格を取得することでスタッフに自信が生まれ、個別ケアを充実させることができるそうだ。

 ピークタイムにパートタイマーのスタッフを入れて介護スタッフの負担軽減を図っているという。そういった施策も功を奏し、定着率が高まり、勤続年数を重ねているスタッフが増えているそうだ。また、社内のサークル活動も活発で、ホームを超えての社内交流もあり、社員全員がいきいきとしている。このようなパートタイマーのスタッフの人数は公表数字から見えにくいが、見逃せないポイントの一つだろう。

→生活リハビリに力を入れた介護付有料老人ホーム<前編>
→生活リハビリに力を入れた介護付有料老人ホーム<後編>

 1947年に東京23区の中で最も新しい区として誕生した練馬区。同じ区内にある介護付有料老人ホームとは言え、特徴も生活環境もそれぞれ違っている。現在住んでいる駅の沿線など、行きやすい施設から見学してみてはいかがだろうか。

撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
※過去の記事を元に再構成しています。サービス内容等が変わっていることもありますので、詳細については各施設にお問合せください。

→このシリーズのバックナンバーを見る

●施設内「感染リスク」の高い危ない老人ホームの見分け方

●新型コロナで要介護認定はどうなる? 要介護申請の流れをおさらい

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