狂犬病ほかペットから人に感染する怖い病気|年間5万人死亡、致死率100%の病気って?
日本国内で14年ぶりとなる狂犬病の症例が報告された。犬や猫から人に感染する恐ろしい病は多い。年間5万人が命を失い、うつると重篤化し、最悪の場合死に至るという実は新型コロナより怖い病も…。ペットの感染症にまつわる最新事情を獣医師に聞いた(2020年5月25日追記)。
高齢者は重篤化しやすいペットの感染症
動物から人に感染する病気のことを“動物由来感染症”と呼ぶ。
「野生犬や野良猫に限らず、室内で飼っているペットから感染することもあります。動物由来感染症は、特に子どもや高齢者は発病すると重症化しやすいので注意が必要です」
こう話すのは、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC顧問の獣医師・佐藤貴紀さんだ。
室内で飼い一度も外に出していなくても、犬や猫が元々保有している菌が原因となる感染症もあり、人が免疫力が弱っていると感染しやすくなるという。
動物由来感染症の数は、世界保健機関(WHO)で把握されているだけでも200種類以上。現在、日本国内では数十種類程度が確認されている。
その中でも特に注意すべき動物由来感染症を佐藤さんに教えてもらった。
新型コロナより怖い? ペットから感染する病気3例
1.ペットの口にいる常在菌が原因「パスツレラ症」
動物由来感染症の中でも、特に近年発生数が増えているのが「パスツレラ症」だ。
犬や猫の口の中にいる“パスツレラ菌”という常在細菌が原因で、咬まれたり、ひっかかれたり、なめられたりすることで人に感染する。特に人の免疫力が低下していると発症しやすいという。
「症状が出るのが早く、咬まれて約30分~数時間後には、咬まれた部位が腫れ、激しい痛みを伴います。
また、気道から感染すると、気管支炎や肺炎、副鼻腔炎などを引き起こすことも。高齢者や免疫機能が低下している人が感染すると、重症化して敗血症や髄膜炎を起こし、死亡した例もあります」(佐藤さん、以下同)
2.猫を飼っている人は注意「猫ひっかき病」
「猫ひっかき病」は、バルトネラヘンセラという細菌が原因。この菌は、ネコノミを介して猫や犬へと感染するもの。猫も犬は無症状だが、菌を持つ猫や犬に咬まれたり、ひっかかれたりすることで感染する。
「猫に咬まれてから1週間前後で、咬まれた部位がぷくっと腫れたり、水泡ができたりします。
その後、リンパ節が腫れ、発熱・頭痛などの症状が現れます」
ペット間の感染を防ぐために定期的にノミの予防をしておくといいだろう。