猫が母になつきません 第196話「あった」
「うちの壺がネットオークションに出ている」と母が言い出したのはもう何ヶ月も前(第185話_らくさつする)。「何も出品していない」と言うとその時は納得したような受け答えをしますが、しばらくするとまた「出品した壺は…」と始まる。典型的な認知症の「もの盗られ妄想」ですが、ただ「なくなった」とか「盗られた」ではなく「勝手にネットオークションに出された」とは、ネット依存の母は認知症までハイパーに変化しています。しかたないので家中の壺という壺を一箇所に集めることに。焼き物好きの父がいろいろ買っていたのでけっこうな数です。大集合した壺を見ても母が何も言わないので「探してた壺があったかなかったかだけ教えてよ」と聞くと、いやいやながら一言「あった…」と。これで一件落着、と思いきや「この壺の箱がない」とか「汚れがとれない」とか面倒なことを言い出すし、出したものは片付けないといけないし。そしてきっとまた「あの壺は…」(恐)。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。
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