西城秀樹さん闘病中の自宅改修と愛用した暮らしの道具【第4回】
秀樹さんが懸命に取り組んだリハビリのひとつが公園を歩くこと。その相棒は、ファンからもらったスニーカーだったという。
「秀樹さんは介護用のウオーキングシューズでなかなか気に入るものがなく、ある企業と共同で西城秀樹ブランドの健康応援シューズのプロデュースをしたこともあるんです。でも、ファンの方からいただいたadidasのスニーカーも気に入ってよく履いていましたね。長身の割に足のサイズは26.5cmで、そう大きくはないんですよ。背が高いから玄関でかがんで靴を履くのがつらそうでした」
そんな秀樹さんの様子を見て美紀さんは、さりげなく玄関に椅子を置いた。リビングのダイニングテーブルで使っていた、お気に入りの椅子だ。
「どうしたら生活しやすいかなと常に考えていました。秀樹さんにとって、座った姿勢から立ち上がる動作は大変ですし、靴を履くときに“かかとを入れる”、これが結構力がいるんですよ。だから、家の玄関では私の指が靴ベラがわりでしたね。私がかかとに人さし指を入れて、秀樹さんに靴を履いてもらうのです」
秀樹さんが座って靴を履いていた玄関の茶色い椅子はまだそのままにしている。美紀さんは人さし指の感覚を、今でもふとした瞬間に思い出す。
【木本美紀さんの寄り添い方】
・介護保険制度を利用したサービスを活用
・介護用品は、専門家に相談。レンタルという選択肢も
・家の中では、お気に入りの家具を利用しながら快適に過ごせるよう工夫する
次回は、闘病中の秀樹さんが楽しんだ家族旅行について話を伺う。
つづく…(次回は、2月26日公開)
木本美紀
1972年大阪生まれ。近畿大学理工学部土木工学科卒業後、建設コンサルタント会社に就職し、結婚を機に退職。2001年に西城秀樹と入籍し、1女2男と3人の母に。夫秀樹さんとの出会いから闘病生活、看取るまでを克明に綴った著書『蒼い空へ 夫・西城秀樹との18年』(小学館)は10万部を超えるベストセラーに。
撮影/浅野剛 取材・文/介護ポストセブン
●西城秀樹さんの闘病・介護…共に歩んだ妻・美紀さんが明かす家族のこと<第1回>