兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第18回 引越しは大格闘スペクタクル】
ライターのツガエマナミコさんは若年性認知症の兄と、どこにでもいる熟年夫婦のように…、いえいえ、夫婦と間違われることはあってもれっきとした兄妹として2人暮らしをしている。
これからの生活資金に不安を覚えたツガエさんは、住まいの買い替えを断行。予定よりは出費が多かったものの、新しいマンションを購入したが――。
「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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引越しすることを忘れてしまう兄
春の引越しは、記憶から抹殺したいほど大変でございました。
ずっと放置してきた亡き父母の物に目を通し、要る物と要らない物を仕分けるだけで何日も費やしてしまいました。大量の写真を見始めれば、手が止まってタイムトリップという“片付けあるある”につかまってしまうし、母が大事にしていた古いお箱やお着物を見れば取っておきたい衝動に駆られてしまう。
しかし、引越す先に余計な物が置けるスペースはないのでございます。どなたかが欲しいと言ってくだされば差し上げたいし、売れる物は売りたいし、最後はお金をかけて処分業者に持って行ってもらうしかない。でも名簿や年賀状のような物はシュレッダーにかけなければならないし…とまぁ、毎日遺品との格闘でした。
そんな苦悩を知る由もない兄は、ありがたいことに毎日元気に通