青魚の健康料理術|免疫力アップ、血圧や血糖値の改善レシピ5品紹介
今が旬の青魚は、脳や体にいいとされるDHAやEPAなど栄養の宝庫。血圧の改善や老化防止、免疫力アップなど、生活習慣病を予防・改善してくれる。さらに食材の組み合わせで、健康効果はより高まる。そこで、青魚の調理法・ニオイ対策とともに、ぶりとさんまを使ったプロ直伝の創作料理のレシピをご紹介。
面倒な下処理はお店におまかせ
下処理などが面倒な魚料理は、切り身を買ったり、鮮魚店などでおろしてもらえば問題なし! たとえば今回取材した「魚力 立川ルミネ店」では、魚のプロが3~4人常駐し、無料でおろしてくれる。
選んだ魚をその場でおろしてくれる、スーパーなどの鮮魚売り場の無料サービス。店員さんとのやりとりも楽しい。流れは以下のとおり。
店員さんに本日オススメの魚を聞きながら夕食のメニューと材料の魚を決める。
プロの目利きを参考に魚を選んだら、さばき方をオーダー。わからなければメニューを伝えて相談を。
調理場では、さばきのプロが手早く魚の腹を切り、あっという間に内臓を取り除き、開いていく。
キレイないわしの開きが完成! オーダーメイド感も味わえて、これで無料はうれしい。
混雑時でなければ所要時間は5~10分。手もまな板も汚れずゴミも出ないから、魚料理がぐっと手軽に。
ほかにもこんなおろし方がある。いわしは、つみれなら3枚おろしにして皮をひく。さばは、みそ煮なら2枚おろしで2つ切り。竜田揚げなら3枚おろしに。
気になる生臭さも、ニオイ対策で解決
料理をおいしく仕上げるには、魚の生臭さの元(トリメチルアミン)を抑えて。
■塩を振って20分ほどおきサッと水洗い
浸透圧により脱水させつつニオイ成分も除去。ペーパーでよくふいてから調理する。砂糖でも可。
■牛乳に10分ほど浸しペーパーでふく
牛乳に含まれるカゼインがトリメチルアミンの発生を抑制。加熱調理の場合の下処理向き。
■水カップ1+酒か酢小さじ1にくぐらせる
トリメチルアミンを酸によって中和させる。刺身など生食に適した方法。
■酢、レモン、梅干しなどで調味する
酸性の食材で調味すれば、ニオイの除去だけでなく爽やかな味わいもプラス。
まな板のニオイのとり方
■お湯は×。流水で洗い流す
血や内臓はたんぱく質なのでお湯をかけると凝固して逆効果。まず流水でざっと汚れを落としてから洗剤で洗う。
■ペーパーでニオイをガード
調理は、まな板にキッチンペーパーを3枚ほど重ねた上で。血や内臓が出た場合も、ペーパーごと丸めてポイ!
もっと元気になる「ぶり」と「さんま」レシピ
続いて、ぶりとさんまの健康効果をより高めてくれる“相棒”食材との手軽な調理法をご紹介。食べ合わせのコツを押さえればアレンジも可能。青魚料理のレパートリーがさらに広がります。
■ぶりの選び方
切り身の場合、断面の角が鋭く立っている、血合いが黒ずんでおらず鮮やか、身に透明感があるものが新鮮。
■さんまの選び方
口先が黄色く首の付け根が盛り上がったものが新鮮。近年不漁が続くが、旬の青魚としては見逃せない。
※材料はすべて2人分。めんつゆはストレートを使用。
→「いわし」「さば」健康料理術|老化防止、血糖値改善、不眠やうつ対策にレシピ5品
【血圧の改善に】ぶりの手ごね寿司
きゅうりやごまに含まれるカリウムや、ひじき(海藻類)など水溶性食物繊維は血中のナトリウムを排出。酢の酸味は塩分を強調し、減塩の味方に。
(材料)
ぶり(刺身用)…100g きゅうり…1/2本 ひじき(缶詰)…20g ご飯…2杯分 すし酢…大さじ3 錦糸卵・紅しょうが(せん切り)・ごま・青じそ…各適量 <A めんつゆ…大さじ2 砂糖…小さじ1>
(作り方)
【1】ぶりはAに約15分漬ける。きゅうりは1cmの角切りに、青じそはせん切りにする。温かいご飯にすし酢を混ぜ、酢飯を作
【2】酢飯にひじき、ごま、きゅうりを混ぜる。器に盛り、【1】のぶりをのせ、紅しょうが、青じそ、錦糸卵をのせる。
【免疫力アップに】ぶりと根菜のガーリックソテー
ポリフェノールを多く含むにんにくは最強の抗酸化食材。食物繊維の豊富な根菜類で善玉菌を育成することで、腸内環境が整って免疫力がさらに向上。
(材料)
ぶり(切り身)…2切れ れんこん・大根…各80g ごぼう・にんじん…各50g にんにく(薄切り)…1片分 しょうゆ・ごま油…各大さじ1 塩・こしょう・ハーブ…各適量
(作り方)
【1】ぶりは一口大に切り、塩、こしょうする。れんこん、大根、ごぼう、にんじんは乱切りにする。
【2】フライパンにごま油、にんにくを熱し、れんこん、大根、ごぼう、にんじんを入れて炒める。焼き色がついたらぶりを入れ、両面焼いたらふたをして根菜に火が通るまで5~6分蒸し焼きにする。
【3】しょうゆ、塩、こしょうで調味し、好みでハーブを飾る
【血糖値改善に】ぶりのきのこしょうがあんかけ
きのこ類は水溶性、不溶性の両方の食物繊維が豊富で血糖値の上昇を抑えてくれる。白菜も繊維質たっぷり。煮るとかさが減るので無理なくたっぷり食べられる。
(材料)
ぶり(切り身)…2切れ きのこ(しめじ、しいたけ、エリンギ)…合わせて120g 白菜…100g にんじん…30g 片栗粉…大さじ2 <A チューブ入りしょうが…小さじ1 めんつゆ…大さじ3 水…1カップ>
(作り方)
【1】きのこは食べやすい大きさ、白菜は細切りに、にんじんはせん切りにする。
【2】鍋にぶり以外の【1】、Aを入れて火にかけ、野菜に火が通ったら大さじ2の水(分量外)で溶いた片栗粉を入れてとろみをつける。
【3】ぶりをグリルで両面焼いたら皿に盛り、【2】をかける。
【老化防止に】さんまとさつまいもの香草パン粉グリル
食物繊維が豊富なさつまいもは、ポリフェノールの抗酸化作用で体のサビつきを防止。粉チーズなどの乳製品でカルシウム、ビタミンDを補給して骨粗しょう症予防。
(材料)
さんま(3枚おろし)…2尾 トマト…1個 さつまいも…1/2本 <A パン粉…25g 粉チーズ・オリーブオイル…各大さじ2>ドライバジル…小さじ1 塩・こしょう…各適量
(作り方)
【1】さんまは半分に切り、塩・こしょうする。トマトは薄切りにする。さつまいもは5mm厚さに切って水にさらしてから、電子レンジ(600W)で2分加熱する。
【2】耐熱皿にさんま、トマト、さつまいもを重ね、塩、こしょうをし、混ぜたAをのせる。温めたトースターで焼き目がつくまで約10分焼く。
【血圧の改善に】さんまとキャベツのさっぱり煮
キャベツには血中の塩分を排出してくれるカリウムが豊富。お酢の酢酸と合わせてさらに血流をよく! オリーブオイルの不飽和脂肪酸で血管も丈夫に。
(材料)
さんま…2尾 キャベツ…1/4個 にんにく…1片 <A 酢…大さじ2 しょうゆ・砂糖・酒…各大さじ1 塩・こしょう…各少量 水…1/2カップ> 赤唐辛子…2本 オリーブオイル…大さじ1
(作り方)
【1】さんまは内臓をぬき塩を振って10分おいたあと、洗い流してよくふきとり、半分に切る。キャベツはざく切りにする。にんにくはつぶす。
【2】鍋にオリーブオイルとにんにく、赤唐辛子を熱し、香りが立ったら半分に切ったさんまを入れて皮目を色よく焼く。キャベツとAを加え10分煮る。
自宅で作りたい人気店の青魚料理
家庭料理の印象が強い青魚も、プロの手にかかるとバラエティに富んだメニューに。人気の魚料理専門店に教えてもらった、とっておきレシピ。さっそく作ってみたくなるものばかり。
産直青魚専門 渋谷 御厨(みくりや)
青魚専門の料理店。全国から仕入れ、“足のはやい”さばも生や塩辛で食べられるほど鮮度は抜群。
(電話)03・3409・7155
(住所)東京都渋谷区渋谷1-6-8渋谷井上ビルB1
【ぶりのレアカツレツ】
(作り方)
刺身用のぶり200gと塩麹30g、レモンの薄切り1/4個分をポリ袋に入れて1時間以上おく。小麦粉→とき卵→パン粉の順で衣をつけて弱火で揚げる。特製たれ(長ねぎのみじん切り50g、しょうがのみじん切り1片分、薄口しょうゆ45ml、濃口しょうゆ60ml、酢1/2カップ、オリーブオイル75ml、ごま油25ml、玉ねぎのすりおろし100g、塩10g、砂糖80g、黒こしょう小さじ1/2強)をひと煮たちさせ、冷ましておく。カツを切り、白髪ねぎなどとともに盛りつけ、特製たれをかける。
【いわしのなめろう】
(作り方)
さばいたいわし50g、長ねぎみじん切り10g、白みそ10g、おろししょうが少量、しょうゆ・ぽん酢各小さじ1/2強をまな板にのせ、包丁を使ってねっとりするまでたたく。器に青じそ、万能ねぎ、レモン各適量などとともに盛りつける。
【さばとカマンベールのアヒージョ】
(作り方)
小鍋にさばの水煮1/3缶、にんにく薄切り2片分、オリーブオイル1/2カップ、アンチョビ・塩・いしる(魚醤)各10g、ローズマリー1本、玉ねぎの薄切り20gを入れて火にかける。ひと煮たちしたら3つに切ったカマンベールチーズ15gをのせてさらに温める。トマトの角切り適量、ローズマリー1本をのせ、黒こしょうを振る。好みでフリーズドライしょうゆを入れても◎。
海鮮魚力
老舗鮮魚店直営で毎日種類豊富な新鮮な魚が集まる。刺身や揚げものなど料理も多彩。
(電話)042・548・2333
(住所)東京都立川市曙町2-4-6
【さんまの梅しそ揚げ】
(作り方)
刺身用の3枚おろしのさんま2尾は、それぞれ腹から背に包丁を入れてさらに開く。身を上にして青じそ2~3枚、梅肉適量をのせ、頭側から巻いてようじで留める。小麦粉少量をまぶしてから天ぷらの衣をつけ、170℃の油で約10分揚げる。素揚げのししとう、レモンとともに盛りつける。
【さばのおろし煮】
(作り方)
3枚おろしのさば1尾は、それぞれ半分に切り、塩少量を振って10分ほどおいてから水洗いしてペーパーでふく。めんつゆ(ストレート)1/4カップ、水3/4カップを鍋に入れて沸騰させ、さばの皮目を下にして入れる。落としぶたをして中火で10分煮る。おくら4本を加え、さらに10分煮る。大根おろし適量を入れ、ひと煮たちさせ器に盛る。
撮影/キミヒロ、菅井淳子、玉井幹郎 レシピ考案・調理/清水加奈子 イラスト/吉井みい
※女性セブン 2019年11月21日号