死亡率を上げる「人生の選択」|テレビを見る、笑わない、昼寝…それが大問題だ!
年齢を重ねても、できるだけ健康に暮らしていたいと、誰もが願うことだろう。健康長寿のためには何が必要なのだろうか。
「油ものを避けて野菜を多く食べること」「好きなことをしてストレスをためないこと」――長生きする人にワケをたずねても、答えは千差万別。しかし、膨大な人数の統計によるものであれば、話は別だ。古今東西の研究を総合した“最適解”を発表。
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データで知る長生きのための生活習慣
※()は、調査者/調査対象/調査発表年
■水辺に住んでいる人:死亡率、死亡リスク/12~17%ダウン↓
126万人の生存状況を約10年半にわたり、追跡調査。住んでいる地域から250m以内の距離に水辺が存在するか否かと死亡リスクの関係を分析。水辺から250m以内の地域に住む人は、そうではない人に比べて、心臓病・脳卒中・呼吸器疾患・糖尿病・認知症などで死亡するリスクが12~17%低いという結果になった。(カナダの研究グループ/カナダに住む126万人に対する追跡調査/2018年)
■週4回、4時間以上ランニングをする人:死亡率、死亡リスク/1.9倍アップ↑
1098人を対象に、「まったく走らない」「週1時間以下」「週1~2.4時間」「週2.5~4時間」「週4時間以上」などに分けて生存率を調査。もっとも死亡率が高かったのが、「週4回、4時間以上」ランニングをするグループだった。(デンマーク・コペンハーゲン市の心臓研究グループ/アメリカ在住の1098人/2015年)
■サウナに週3~7回入る人:死亡率、死亡リスク/16%ダウン↓
サウナを利用する頻度と心肺機能を調べたのち、26年間にわたり、死亡状況を追跡調査。結果、サウナの利用頻度が高い(週に3~7回)グループは、低い(週2回以下)グループに比べて心血管疾患で死亡するリスクが-26%、総死亡リスクが-16%だった。(東フィンランド大学の研究/フィンランドに住む二千数百人に対する追跡調査/2017年)
■勤務先に有給の病気治養制度がある人:死亡率、死亡リスク/22%ダウン↓
勤労者5万7000人の生存状況を10年間にわたり追跡調査したデータを用いて、病気療養制度の有無と死亡リスクの関係を分析。勤務先に病気療養制度がある場合、制度がない場合に比べて、追跡開始から4.5年目における死亡リスクが-10%、6.5年目だと-14%、11.1年目だと-22%だった。(アメリカ・ノースイースタン大学の研究/アメリカに住む勤労者5万7000人に対する追跡調査/2017年)
■1日5時間以上テレビを見てる人:死亡率、死亡リスク/2.5倍アップ↑
1988年から2年間、日本全国45地域の40~79才の8万6024人を対象にアンケート調査を行い、1日あたりの平均テレビ視聴時間や生活習慣に関する情報を収集。その後20年にわたり3か所の死亡状況を追跡調査した。結果、テレビ視聴時間が1日あたり2.5時間未満の人に比べて、2.5~4.9時間の人は肺塞栓症による死亡リスクが1.7倍。5時間以上では、2.5倍になることがわかった。(大阪大学の研究/日本全国45地域の8万6024人にアンケート調査ののち追跡調査/2016年)
■犬を飼ってる人:死亡率、死亡リスク/20%ダウン↓
スウェーデンに住む40~80才の340万人の12年分のデータをもとに、犬を飼っているかどうかと死亡リスクの関係を調査。犬を飼っている場合には、飼っていない場合に比べて総死亡リスクが-33%、心血管疾患の死亡リスクが-23%という結果に。(スウェーデン・ウプサラ大学の研究/スウェーデンに住む340万人に対する追跡調査/2017年)
■笑わない人:死亡率、死亡リスク/1.95倍アップ↑
山形県内の7つの市に住む40才以上の男女のうち、年1回の健康診断を受けていた人々に参加を呼びかけ、最長8年追跡調査した。笑う頻度と「その後のあらゆる原因による死亡」および「心血管疾患の発症または心血管疾患による死亡」の関係を調べたところ、笑う頻度が月1回未満の人々は、あらゆる原因による死亡リスクが1.95倍であった。(山形大学の研究/山形県内に住む1万7152人に対する追跡調査/2019年)
■かかりつけの歯科医がいる人:死亡率、死亡リスク/1.2倍ダウン↓
都市部に住む65才以上の在宅高齢者約1万6000人を対象に調査。調査開始時から6年後の調査によると、かかりつけ歯科医のいる男性が83.4%の割合で存命しているのに対し、かかりつけ歯科医のいない人は79.3%だった。女性の場合はさらに顕著で、いる人が91%、いない人が79.7%という結果になった。(星旦二さん/日本の都市部に住む在宅高齢者約1万6000人に対する調査/2017年)
■女医にかかる人:死亡率、死亡リスク/死亡率が約4%ダウン↓、再入院率も約5%ダウン↓
2011~2014年にアメリカの急性期病院に入院し、内科の診療を受けた65才以上の高齢者158万3028人を対象に、担当した女性医師と男性医師の間で患者の死亡率と再入院率の違いを分析。調査期間中に死亡した人は128万3621人で女性医師が担当した方が死亡率が約4%低かった。再入院した人は124万9210人で、女性医師が担当した方が再入院率は約5%低かった。(アメリカ・ハーバード大学の研究/アメリカの急性期病院に入院した高齢者158万3028人/2017年)
■1時間以上昼寝する人:死亡率、死亡リスク/32%アップ↑
イギリスに住む40~79才の1万6000人を対象に昼寝習慣に関するアンケートを実施したのち、その後13年にわたって追跡調査を行った。毎日1時間以上の昼寝をしていたグループでは13年間のうちに早死にするリスクが32%増加。昼寝と早死にが直接関係しているかはまだ不明だが、睡眠時無呼吸症候群などの持病のせいで昼寝をする人が多いため、昼寝習慣のある人に早死する人が多いことに結びつくことが考えられる。(イギリス・ケンブリッジ大学の研究/イギリスに住む1万6000人に対する追跡調査/2014年)
■実年齢よりも老けていると思っている人:死亡率、死亡リスク/24%アップ↑
アメリカに住む1万7000人を対象に、主観的な年齢・心身の健康状態・身体活動量などを尋ねたのち、最長で20年間にわたり生存状況を追跡調査した。主観的な年齢が暦年齢に比べて高い場合は、死亡リスクが増加。8才高い場合+18%、11才高い場合+29%、13才高い場合+25%だった。(アメリカ・フロリダ州立大学を中心とした研究グループ/アメリカに住む1万7000人に対する追跡調査/2018年)
■1週間に階段を35階以上のぼる人:死亡率、死亡リスク/18%ダウン↓
ハーバード大学で1916年から1950年に学部生として在籍していた学生8874人を追跡調査。1週間あたりのぼった階数が、10階未満に比較し、10~19階だと、死亡リスクが-9%、20~34階だと-13%、35階以上だと-18%となり、階段をのぼる行為により健康上の利益をもたらすことがわかった。(アメリカ・ハーバード大学同窓会健康調査/ハーバード大学で学部生として在籍していた8874人の学生を追跡調査/2019年)
※女性セブン2019年10月17日号
●朝食を抜く、糖質制限、猫を飼う女性…データで見る死亡リスクを上げる生活習慣