京都のあの超有名社寺の知られざる歴史
防火用の溜池をつくるからと子安塔を移築
たとえば「苔寺」の通称名で知られる西芳寺。「山林の優美なることは古来世人の賞賛するところに御座候なり」という風景美の理由で、境内地が返還されている。
たとえば、京都の名所、清水寺。清水寺による境内編入願いは手が込んでいた。
本堂の裏、現在地主神社があるところに防火用の溜池を作りたい、だから地主神社を門前に移築する、当時門前にあった子安塔は、本堂の向かい側の山手に移築する。そして、子安塔の周囲に新しい伽藍を整備したい……
なんて壮大な計画! でも結局、この部分の溜池の建設は認められなかった。だから地主神社は今もあの場所にある。でもなぜか、子安塔だけは移築される運びとなったのだそうだ。
ところで、清水寺があえて「防火用の溜池」の建設を申請したのには理由があった。
防災のためという申請なら返却された