あなたは大丈夫? 認知症の早期発見につながる9つのチェック項目
■認知症チェックリスト■
複数の項目に該当した人は医師の診断を受けることをおすすめします。
□「同じことを何度も言う」とまわりから言われることが多くなった
□ 探し物をしていることが多い
□ 財布や貯金通帳など大切なものがなくなる
□ 約束を忘れたり、待ち合わせの場所にうまく行けなくなった
□ 片づけや料理、車の運転がうまくできなくなった
□ テレビドラマの筋を追うことが面倒くさい
□ 身だしなみに気をつけることが面倒くさくなった
□ 趣味や好きなことに関心がなくなった
□ 何をするのもおっくうになった
自分ではなかなか気がつかない……これが認知症の特徴です。だからこそ若いうちからチェックしておきたいもの。早期発見することで、症状の進行を遅らせたり、対策を取ることができます。ご自身だけでなく、ご家族のチェックにもご利用ください。
具体的には、たとえば、こんなことが多かったら注意が必要です。よく知っている人なのに、「あの人、だれだっけ?」「名前、なんだっけ?」と聞く。よく知っている道なのに、帰り方がわからなくなる。ゴミ出しのルールが守れなくなる。話していて的外れな答えが返ってくることが多い。服を着替えない、汚れたままでも平気にしている、などなどです。
認知症は、まわりの人が「えっ?」「あれ? 変だな」と思うようなことが続いて、初めて気づくことが多いのが特徴です。本人が「最近、変だな?」と思って、自発的に受診することはまれで、家族や親しい友人からの強い勧めで、しぶしぶ受診する人が多いのです。
ですから、上のチェックリストで1つでも該当すれば、認知症の予兆ありということで十分な注意が必要です。また、複数該当した場合は、できるだけ早く医師の診断を受けたり、地域の保健師に相談することをおすすめします。
(ひとくちメモ)◎何人にひとりが認知症になる?
日本の認知症人口は急速に増加しています。「平成28年版高齢社会白書」によると、認知症の人は、2015年で推計約520万人。2020年には約600万人、2025年には約700万人と推計されています。65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるという計算になります。
■監修■伊古田俊夫
いこた・としお 1949年生まれ。1975年北海道大学医学部卒。勤医協中央病院名誉院長。脳科学の立場から認知症を研究する。日本脳神経外科学会専門医、認知症サポート医として認知症予防、認知症の地域支援体制づくりに取り組んでいる。著書に『40歳からの「認知症予防」入門』(講談社)など。
[伊古田先生からのメッセージ]→「認知症予防とは、認知症を『先送り』することです」
認知症を「予防する」ということは、「一生、認知症にならない」ということではありません。認知症の原因は、今もわかっていないからです。確かなことは脳の老化だということ。ですから認知症を100%予防することはできませんが、発症する年を「遅らせる」ことはできます。いわば認知症の先送り。これが予防策をみなさんに広く知ってもらいたいと願う理由です。
文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ
初出:まなナビ