自由な生活に徹底的にこだわった介護付有料老人ホーム<後編>
「本当はもっとスペースを取ることができるんですが、あえて便器を前に持ってきて、車椅子から移っていただくのに適した位置にしています。手すりの位置も通常よりも低い位置に付けています」
実際に便器に腰をかけて、立ち上がる際の手すりの位置感覚を試してみた。確かに手すりをつかんで体を引き上げるよりも、手すりに手をかけて体重を載せながら立ち上がるほうが楽である。これも自立支援型を目指す方針の表れの一つだ。今まで運営してきた施設での知見が十分に活かされているといえる。
また館内は、入居者数に対して、スペースに十分な余裕があると感じられた。基本的な設備も整っており、運営サイドが掲げる自由な生活を快適に送ることができそうだ。
老人ホームを探す際のポイントとは?
老人ホームを探す際は、建物の設備や介護サービスの内容などを比較して検討するが、パンフレットやホームページだけでは分からないこともあるので、実際に足を運んでみることが重要だ。井野さんにアドバイスをもらった。
「見学に行った際、入居されている方の表情を見るといいですね。それと、スタッフの挨拶ですね。食事とお風呂、夜間の態勢も尋ねてみるといいと思います」
どのタイミングで施設に入居の相談をするのかを悩んでいる人も多い。また、本人と家族で意見や気持ちが違ったり、元気なうちに家族で老後の話をするのはなかなか難しいという声も聞く。
「私たちはお元気な状態での入居を歓迎しています。お元気な時からここでの生活に慣れていただきたいです。だんだんと認知症が進んだとしても、こちらは対応できますので、共に過ごしていきましょうという感覚でいます。認知症を患っていて、病院から直接施設にいらっしゃるケースも多いですが、ご本人が自立した生活を送りたいという判断ができる時に来ていただくのも、『たのしい家新宿下落合』には向いています」
井野さんは今後やっていきたいこととして、「体が不自由になったからもう何もできなくなってしまったと思ってしまう方が多いので、ご要望にできる限り対応したいです。そのためにコンシェルジュの人数も増やしていきたいですね」と語る。
昔の映画ポスターの展覧会を施設で行うなど、たのしい家新宿下落合には創意工夫をする意欲を随所に感じた。老後にできるだけ自由な生活を楽しみたいという人にはフィットする可能性が高いので、ぜひ見学をしてみてほしい。
【データ】
施設名:たのしい家「新宿下落合」
公式WEBサイト:http://www.tanoshii-ie.jp/facility-detail/%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%84%E5%AE%B6%E3%80%80%E6%96%B0%E5%AE%BF%E4%B8%8B%E8%90%BD%E5%90%88/
所在地:東京都新宿区中落合2-7-5
最寄駅:西武新宿線「下落合」駅より徒歩3分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:株式会社ケア21
敷地面積:1323.93平方メートル
延床面積:4312.25平方メートル
室数:63室
入居要件:入居時要支援・要介護
構造:鉄筋コンクリート造6階建
開設年月日:2017年4月1日
料金:
【1】入居一時金0円、月額利用料金42万2800円(ベランダタイプ)
【2】入居一時金300万円、月額利用料金37万2800円(ベランダタイプ)
【3】入居一時金720万円、月額利用料金30万2800円(ベランダタイプ)
【4】入居一時金1200円、月額利用料金22万2800円(ベランダタイプ)
※サンルームタイプは、月額利用料金+1万円
※消耗品、介護保険1割または2割負担等は別途必要
撮影/津野貴生
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
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