85才現役美容専門家の数分で女性を若返らせる「魔法の手」
外に出て広がる世界。水を得た魚のように働いた。数字を追う一方で、65才で一念発起しエステの資格も取得。
「講習の最終日に講師に“手を見せてごらん”と言われたのです。もう年だから何か言われると思って不安でした」
ところが、意に反して告げられたのは、「あなたは温かくてふくよかな、マッサージに適した“魔法の手”を持っている」という言葉だった。
「形や厚み、熱のこもり方が人とは違ったみたいです。やっぱり私はこの仕事が向いているんだと実感しました」
彼女の“魔法の手”はたった数分で女性を見る見る若返らせる。冒頭の女性のメイクもこのマッサージの後に施したもの。
「マッサージをした後だと、ファンデーションのノリが全然違うんです」
口コミで評判を呼び“魔法の手”を求めて、予約が次々と入るように。アメリカのユナイテッド航空の機内誌でも“魔法の手”を持つ女性として紹介されたこともあった。
「器量や顔立ちに自信が持てなくても、肌をきれいにしていると、見え方がかなり違うんです。これは経験で得た知恵ですね」
洗顔も大切。飯田さんは、入浴時に洗顔クリームをつけて洗い、ぬるま湯で30回すすぐ。朝は水だけで10回。また1週間に1回は、シートパックで肌を休ませて栄養補給。化粧水や乳液もけちらないで、充分な量で行うのがポイント。そして、マッサージに移る。このお手入れを続ければ肌の美しさが、内面の魅力を引き立てるのだという。
ここまできたら、95才まで働きます
「まさかこの年齢まで働いているとは思わなかったわ」と笑う飯田さん。85才になった今も隠居の2文字はない。若いBDに交ざってポーラの商品説明会にも顔を出して、日々美容について研究する。
「ついこの間、元支店長から“飯田さん、辞めるには10年早いよ”と言われました。10年たったら、95才ですよ。ここまできたら、目指しますか(笑い)。ぼーっとしているのはつまらないですから」
生涯現役。働く場所があることは、彼女の生きがいに繋がっている。
※女性セブン2017年9月21日号
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