仮眠で眠気をコントロール 1分間からできる昼寝の裏ワザ
日本は平均睡眠時間が短い国の1つといわれているが、睡眠不足による経済損失は年間約3.5兆円との試算もあるほど。特に夏の午後は睡魔に襲われ、作業効率も落ちやすい。そんな悩みを解消するのが、仮眠で眠気をコントロールする方法。1分間からできる、昼寝の裏ワザをご紹介する。
1分でも充分!長く寝ると逆効果に
厚生労働省は「午後の早い時間に30分以内の短い昼寝をすることが眠気による作業効率改善に効果的」としている。昼寝は仕事のパフォーマンスを上げる鍵なのだ。
昼間の睡魔や眠気を克服するのに、「1分間目を閉じるだけでも効果的」と提唱しているのが、『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)の著者で、作業療法士の菅原洋平さんだ(以下「」内同)。
菅原さんによれば、昼寝には2つの効用があるという。
「そもそも、夜眠れないせいで、昼間ウトウトしてしまう人は、昼寝の効果は期待できません。あくまで、昼間起きていられて、かつ夜間まとまった睡眠がとれる人が前提です。そういった人たちが昼寝をすることで、まず睡眠物質を分解させられます。さらに、“睡眠-覚醒リズム”の周期を整える効果も得られます」
人の脳は目覚めた時がいちばん活発で、起きてから時間が経過するほど、脳内に睡眠物質が徐々にたまり、脳の働きが低下していく。しかし、その前に仮眠を取ることで睡眠物質を分解でき、作業効率低下を最小限におさえられることが科学的にも立証されているのだ。
また、人間には“睡眠-覚醒リズム”が備わり、起床から8時間後と22時間後に脳が働かなくなる。つまり、朝6時起床なら14時と朝方4時に脳が働かなくなる。しかし仮眠を取ると、午後の眠気を取って夜間の睡眠を深くするコントロールができるのだ。
そんな昼寝を上手に行うポイントが、以下の4か条だ。
上手な昼寝4か条
●「眠くなる前」に行う
●1~30分で行う
●姿勢は座ったままで頭部を固定する
●「何分後に起きる」と頭の中で3回反復
「昼寝は30分以内で充分。横になる必要もなく、イスの背に寄りかかって頭部を垂直にしたまま目を閉じましょう。ただし、慣れないうちは、頭がガクガクと揺れてしまうので、首枕などでサポートするといいでしょう」
昼寝の時間で効果も違ってくるという。
●1~5分
目を閉じて視界を遮ることで脳を休ませられる。脳内の睡眠物質は減らないが、脳波にα波が現れ、短時間でもスッキリ。
●1~15分
10分以上で蓄積された睡眠物質が分解され、作業効率も上がる。年齢が若い人なら、15分程度が最適な仮眠時間とされる。
●15~30分
15分以上だと、若者は目覚めた後ややボーッとする可能性が。しかし、入眠に時間がかかる50才以上は、15~30分程度が適切。
●30分超
30分以上仮眠すると、深い脳波のデルタ波が発生。これを昼間の仮眠で発生させると、夜の寝付きが悪くなるので要注意。
昼寝の習慣は、暑い国に多い。これは、昼寝が暑さ対策にも有効な証拠だ。日本でも、夏バテ対策に、試してみてはいかがだろう?
※女性セブン2017年8月24・31日号
【関連記事】