「排せつ」のトラブル<1>「介護中の便失禁は、便秘が原因の場合も」~プロが教える在宅介護のヒント
高齢者が便秘を起こしている場合、原因は次の通りさまざまです。原因は1つとは限りません。便秘はデリケートな問題で、人にも相談しづらいことから、悩みが深く、さらなる活動低下や、気力低下を招くことが多いです。
いずれの場合も、便秘が続くことによって二次的な健康被害が起こることがあり、病気や悪影響が出るまでの期間が短いこともあります。
【便秘の原因】
1. 生活習慣の変化
2. 食事の変化
3. 水分不足
4. 腸内環境の悪化
5. 食事をとる口の機能の低下(噛めない、義歯が合っていない、歯周病がある)
6. 心配事によって起こる不眠やストレス
7. 運動不足
8. 普段の姿勢(円背などで内臓が本来あるべき位置からずれ、腸がよく動かない)
9. 排便姿勢(排便に適した「考える人」の座位がとりにくい、とれない)
10. 排便機能の廃用(肛門括約筋や肛門挙筋など排便するときに使う筋肉などが低下している)
11. 薬の影響(便秘薬の使いすぎも含む)
12. 病気・治療の影響
13. 経管栄養の影響
14. 手術の影響
原因が1~9である場合は、ご家族も生活を観察するなどで気づくことができるかもしれませんが、10~14を判断するのは難しいでしょう。また、1~9の背景に、10~14が隠れていることもないとは言えません。
そこで、生活を観察していて、一過性ではない便秘に悩んでいると思われる場合、また、次のような変化がご本人に見られる場合、健康のためにとても大切なこととして排便周期を尋ね、在宅医や訪問看護師、ケアマネジャーなどに相談して、原因と対策を考え、専門的なケアを受けましょう。
便秘の訴えがなくても心配な場合も。本人の変化を要確認
本人が便秘の悩みを訴えていなくても、次の場合は専門的なケアが必要です。認知機能の低下などによって訴えられない場合も同じです。
【本人の変化】
元気がなくなる
笑顔がなくなる
外出しない(自室にこもる、何度もトイレに行く、トイレにこもる)
食欲不振、食事や水分摂取を拒む
極端に飲食量が減る
便秘薬を使い続けている
下痢と便秘を交互に繰り返している
吐き気を訴える
お腹が膨らんできた
腹痛を訴える
便失禁がある
リハビリパンツ(紙パンツ)やおむつに絶え間なく下痢が見られる
さらに、例外的に血便が確認されたときは、大腸がんなど重い病気が隠れている可能性があります。吐き気を伴う場合も、腸閉塞の前兆のことがあるので直ちに医療機関を受診してください。