介護生活にハーブを!<1> 「きのことエキナセアの薬草のすうぷ」レシピ
ハーブティーや香りを楽しむアロマオイルなど、私たちの暮らしの色々なシーンで活躍しているハーブ。
今、介護や緩和医療の現場でも、ハーブの力を積極的に生かしていこうとする風潮が高まっているという。
在宅での介護生活に、どのようにしたらハーブを取り入れられるのか。写真家で、ハーバルセラピストの資格を持つ飯田裕子さんに、介護する人も、受ける人も、ハーブで健かな暮らしを送るヒントをシリーズで提案してもらう。
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ハーブティーを飲まれたことはありますか? もしくはアロマオイルなど香りを楽しまれたり、すでにハーブは私たちの暮らしの色々なシーンで活躍しています。ハーブというと良い香りの植物を連想される方も多いかもしれません。
ハーブの「Herb」という英単語を日本語に直訳すると「薬草」です。そう、ハーブは薬草、もしくは薬効のある成分を含む植物の総称なのです。
植物は動物のように移動ができないので、自らを守るために化学成分を含んでいます。それをフィトケミカルと言います。古くは、紀元前約3000年にも遡りますが、現代医学の父ヒポクラテスがフィトケミカルを体系的に治療に用いて以来、現代の病院などで処方される薬に至るまで、実は植物の力が医学を支えてきたのです。現在では、料理に使われるスパイス的なハーブに対して、病に適切な使い方をするハーブをメディカルハーブと呼びます。
今、介護や緩和医療の現場でもハーブの力を積極的に生かしていこうとする風潮が高まっています。日々の営みの、「衣食住」にさりげなくハーブを取り入れることによって、心身を快適で健康な状態に導き自然治癒力を高めることが期待されているからと言えます。
自然から離れた部屋の中でも、ハーブという天然の存在で生命力を刺激する。これは現代人が命の深いところで求めている事なのかもしれません。
さて、日本でも昔から家庭に取り入れられてきたおばあちゃんの知恵袋的な健康茶も、広い意味ではハーブに入ります。介護の現場でハーブを使うと「ああ、懐かしい」と言った感情や、心の奥に隠れていた幼いころの思い出話がふと出てくるかもしれませんね。
これから、四季それぞれの季節に応じて生じる身体の悩みや辛さに対応するハーブの、日常での優しい使い方をご紹介していきます。ハーブの薬箱を備える事で、介護する方、される方の暮らしの質が向上しますように!
今回は、実際にハーブを使ったレシピをご紹介。ハーバリストの園藤祐子さん主催の「薬草すうぷ屋」から、旬のハーブで日本でも風邪の季節などに人気のあるエキナセアを使った薬草スープレシピをお届けします。
『薬用エキナセア』を使って
学名を『Echinacea purpurea』という薬用のエキナセアは、北米原産のキク科の植物で、ネイティブアメリカンの間で長い間使用されてきました。夏に開花し、薬草として花、葉、茎、根と草の全てを用います。
「『エキナセア』という名前を知っている方はまだ少ないかもしれませんが、園芸の鑑賞花としても近年、日本でも夏に多く目にする機会が増えました。風邪やインフルエンザの予防や治療に、免疫を上げる効果があると言われています。エキナセアのサプリメントやシロップをドイツや英国ではすでに医師が風邪の患者に処方することもあるそうです。
今回は、食物繊維の宝庫でもあるきのこをマッチさせたコクのある風味の『薬草すうぷ』です。