「エアコン2027年問題」とは?夏前にお得に買い替えるコツや省エネモデルの進化ポイントを家電の達人が指南
高齢者にとって室温の調整にエアコンは欠かせない。夏を迎える前にお得に買い替える方法はあるだろうか? 電気代に直結する省エネ基準が変わる「エアコン2027年問題」も注目される中、賢い選び方を知っておきたい。最新の省エネモデルもあわせて家電の達人に解説いただいた。
教えてくれた人
田中真紀子さん / 家電ライター
家電ライター/家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。特に白物家電・美容家電に詳しい。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。公式HP https://makiko-beautifullife.com/
「エアコン2027年問題」とは
夏の時期、家庭で使われる電力のうち、エアコンの消費電力量は3割以上を占めるといわれている。特に猛暑の期間は毎日、長時間エアコンを稼働するご家庭もあるだろう。エアコンを買い替えるなら、電気代が抑えられる省エネモデルを選んでおきたい。
そこでまず確認しておきたいのが省エネ性能にまつわる「エアコン2027年問題」だ。
経済産業省では、脱炭素社会の実現に向けて、2027年度から家庭用エアコンに新たな省エネ基準(2027年度基準)を打ち出している。
過去にこの省エネ基準が一気に引き上げられたのが2010年のことだが、これまでより厳しい基準が設けられ、大きな省エネ化が期待される。一方で、新たな省エネ基準への対応に伴い、低価格帯モデルの縮小や製品の高性能化が進むことによる価格上昇などの市場変化が懸念されており、「エアコン2027年問題」と呼ばれている。
エアコンをお得に買い替えるには?
この2027年問題をふまえ、エアコン選びのポイントを田中さんに教えてもらった。
「新基準をクリアする省エネエアコンなら、よりエネルギー効率が高いので、電気代はお得になるといえますが、本体価格もそれなりに高くなることが予想されます。
なお、基準を満たさない(価格を抑えた)モデルが急に販売できなくなるわけではありませんし、ご家庭で使用中のエアコンが使えなくなったり、少なくとも生産終了後10年は、修理に対応できなくなったりすることもありません。
かつては『古いエアコンを使っているなら、買い替えた方が電気代はお得になる』と言われていましたが、2010年以降の商品は、省エネ性能が格段にアップしています。2010年よりも前に購入したモデルを15年以上使っているなら、買い替えによって電気代は大幅にお得になるといえるでしょう。
また、新基準では『14畳タイプ』がもっとも省エネ基準の上がり幅(改善率)が高く設定されています」(田中さん・以下同)
新基準を満たす14畳タイプの場合、現行の基準と比べると光熱費は年間約1万2600円の削減、14年間*で約18万円削減されるという試算も(経済産業省資源エネルギー庁調べ)。本体が高くても長く使うほど元は取れるといえるだろう。
*内閣府の調査によるとエアコンの平均使用年数は14年とされている。
2027年度基準を満たすエアコンの光熱費削減効果(累計)
主に14畳用(4.0kW機)…1年間約1万2600円→14年間で約18万円
主に6畳用(2.2kW機)…1年間約2760円→14年間で約4万円
※参考/経済産業省資源エネルギー庁「27年4月からエアコンの新たな省エネ基準がスタート!エアコンについて知っておくべきポイントは?」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/air_conditioner_2026.html
自治体や条件によっては補助金も活用できる
省エネ家電の「補助金制度」を活用すれば、さらにお得に購入できるケースがある。お住まいの自治体に補助金制度があるかチェックしてみよう。
東京都(東京ゼロエミポイント)の場合、省エネ性能のレベルによって補助金額は異なるが、長期使用家電(製造年から15年以上)からの買い替えの場合、最大7万円相当の値引き、65才以上の人(または障害をもつ人)の場合は8万円相当の値引きになる。
なお、2027年3月31日までの制度で、予算の消化状況により期日が早まる可能性もある。夏になるとエアコンの需要が高まり設置工事にも時間がかかるため、買替えを検討している人は、今のうちに購入するのが得策かもしれない。
店頭では「省エネルギーラベル」(グリーンの「e」マーク)をチェックしよう。星の数やAPF(通年エネルギー消費効率)の値が大きいほど、省エネ性が高い。
※参考/東京ゼロエミポイント
https://www.tz-points.jp/system
最新エアコンの省エネ性能は進化中
最新のエアコンはどのくらい省エネ化が進んでいるのだろうか。
「ここ数年でエアコンの省エネ化が大きく進歩しています。従来は、『設定温度に達するまで運転し、達したら運転を切る』というように、ON・OFFを繰り返していたため、運転(ON)のたびに大きな電力を消費していました。
それに対し、近年は『車のアクセル』のように、運転パワーを微調整できるインバーター※搭載モデルが増えてきました。設定温度に達してもOFFにせず、トロトロ運転を続けることで消費電力を抑えられるだけでなく、『冷房が急に止まって暑く感じる』といった不快感も解消されています。
さらに近年は、インバーターが進化し、トロトロ運転時のパワーを抑えることで長時間使用しても電気代を抑えられる技術も登場しています」
※インバーター/状況に合わせてコンプレッサー(モーター)の回転スピードを細かく制御する技術。
人感センサーの技術がすごい!
センサー技術の向上も省エネに貢献しているという。とくに人感センサーの進化は目覚ましい。
「最新モデルでは、人がいないことを検知すると自動で運転を抑える機能や、人がいる場所を狙って温・冷風を送り、消費電力の無駄を抑えられるようになっています。
冷房時は『涼しい風に当たりたい』人もいれば『風に当たりたくない』人、どちらのニーズにも同時に応えられるわけです。さらにAIにより、外気温の変化にあわせて設定温度を自動で調節するなど、快適さを追求した機能も出てきています」
省エネモデル購入時の注意ポイント
さまざまな省エネ機能が搭載された最新モデルだが、購入の際は注意したいこともあるという。
「省エネ性能を高めるために、コンプレッサーや熱交換器が大型化している機種もあり、本体や室外機が思ったより大きかったということも。また、高機能な分、値段が高くなっているものもありますので、普段あまり使わない部屋に設置する場合は、電気代と本体価格とのバランスを考えましょう」
