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連載

「タケノコを巡る母娘のバトル」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第73話

 漫画家で栄養士の資格をもつうえだのぶさんは、慢性膵炎を抱える母と山口県でふたり暮らし。自然豊かな山口は海の幸も山の幸も”口福”な素材が盛りだくさん。5月は”掘り立てのタケノコ”がご近所さんから届くのだが、このタケノコを巡り、母と娘の思いが交錯し――。

母娘のバトル

 毎年恒例の「母娘バトル」の季節がやってきました。お題は「タケノコ」です。

 突然ですが皆さん、モノは「ためる派」ですか?それとも「持たない派」ですか?

 うちは母が前者で、私が後者。そんな二人が一緒に暮らしているもんだから日々小さな争いが絶えません。

 例えば、月1回の「不燃ごみ」。私が捨てようとするものを母が「まだ使える!」とゴミ袋から引きずり出してくるので、ケンカになります。あるいは、「洋服」。衣装ケース12個に「まだ着られる」「いつか着られる」と服をパンパンに詰めている母が、衣替えの度に、「あ~あ、着る服が全然ないっちゃ~」と愚痴るので、「山ほど持っちょるじゃろー!!」とケンカに…(ちなみに私はケース2個です)。

 荷物少なく暮らしたい私から見たら母は「不要なものが多すぎる人」

 何でも取っておきたい母から見たら私は「必要なものまで捨てる人」

 お互いに「自分が正しい」と思っているので議論は常に平行線です。

 そして、「タケノコ」。

 わが家では毎年母の友人やご近所さんから掘りたてのタケノコが届きます。シーズン中はピンポンが鳴ったり、玄関にそっと置いてあったり、勝手口のドアノブに引っかけてあったり…。母は魚をさばいたり、野菜の下処理をしたりするのが好きな人なので、毎年嬉々としてタケノコを茹でております。

 でも、頂くタイミングによっては2人で食べ切れない量になることも。母も私も「もったいない」という気持ちは同じなんです。

私は、もったいないから「食べ切りたい」

母は、もったいないから「保存したい」

 ここで、バトルスタートです。

タケノコを巡るバトル

「食べ切れん分は冷凍保存しようねー」

「保存はええけどさー、今ある水煮を全部冷凍庫に入れるのはやめてね」

「だってせっかく茹でたんじゃけー」

「だから少しだけ冷凍保存して、あとは水煮が欲しい人にあげたらええわーね」

「じゃけど冷凍しちょったら好きな時に使えるわーねー」

「毎年そうやって山ほど冷凍するから使いきれなくて、年末に霜だらけで何がはいっているかわからん謎の保存袋がいっぱい出てくるんじゃー!!」

 と、毎回バトルは平行線です。

 冷凍保存が嫌なわけではないんですよ。私も肉や魚はまとめて買って小分けに冷凍して使っています。

 ただね、母の場合「もったいないから保存しよう♪」と、冷凍庫に入れた時点で満足しちゃうのが問題なんです。「冷凍=永久保存」と思っているフシがあって…。

 保存したものは「食べ切る」までがゴールです。元気にお家の玄関ドアを開けるまでが旅なのと一緒でしょ?と、霜だらけの袋を掲げながら熱弁しますが、わかってもらえません。

 かくして今年もあちこちから新鮮なタケノコが届き、食べ切りたい私は、タケノコご飯、若竹煮、木の芽和え、味噌汁に、炒め物にと、一通り作って堪能。あとは「冷凍保存する」と言い張る母に任せるわ…と思いつつ、一向に手を付ける気配のない様子にイライラ…。おいおい、せっかくのタケノコが駄目になっちゃうでしょー。

 私がブツブツ言いながら冷蔵庫を開けると、「ええから!! 私がやるっちゃ~!!」と、慌てて作業を始めるんですよ。これも毎年恒例の流れです。やれやれ…。

ものが捨てられない母

「何でもためる派」の母ですが、「私は戦中生まれだからものが捨てられんのよ」と言います。確かに母世代(その上の世代も)の皆さんはそうかもしれません。今の世界情勢や自然災害のことを考えると、のんきに「ものを持たない」とか言ってられない気もします。

 でもね、母の年齢を考えると、「残されても困るものは今のうちに処分しといて欲しいなあ」とも思うわけです。

 前述の「12個ある衣装ケース」の中身を確認してみたら、そのうちの4個は「お店の景品や温泉の備品でもらった簡易バッグ(エコバッグ含む)」がみっちみちに詰まっていました。いやこれ絶対使わんやつ~~~!!

 こっそり捨てる? でも気づいたら「なんで捨てたんよー!!」って泣くだろうし、どうにかしてって言えば全部広げて「自宅フリマ開催中」状態になるだろうし(絶対片付かない)。うん、見なかったことにしよう。そっとケースの引き出しを閉める私でした。

 読者の皆さんには私のジレンマ、わかっていただけます…よね。うぅ。

NO老いるMemo「ヘルシーでも味わい深いタケノコの焼き肉のタレ炒め」

「使い切りたい派」の私、タケノコは「木の芽和え」とか「若竹煮」で旬を楽しむのですが、母がせっせと茹でた“水煮”が余った時は、味変してアレンジ料理も作ります。今年よく作ったのが「焼き肉のタレ炒め」。焼き肉のタレって味は濃いですが「ほぼNOオイル」なものが多いんですよ。

 タレでタケノコを炒めるだけでもおいしいですが、焼き肉用なだけに牛肉を入れるとぐっとおいしさが増します。

 慢性膵炎の母は膵臓を労わる「脂質控え目」(脂質1食10g目安)の食事を心がけています。牛肉は脂の少ない赤身を使えば母も安心。味が濃くて汁気も少ないのでお弁当のおかずにもおすすめです。

参照「日本食品成分表2026(八訂)」/医歯薬出版株式会社 編。*焼き肉のタレの脂質は購入した商品の推定値を使用。

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絵と文

漫画家・うえだのぶ

うえだのぶさん

 イラストレーター・漫画家。59才。山口県で83才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。

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