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連載

「母、認知症の検査を受ける」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第72話

 慢性膵炎を患う母と暮らす漫画家のうえだのぶさん。栄養士の資格をもつのぶさんは、母のために膵臓を労る「脂質控えめ」の食事づくりに勤しむ日々。そんな中、最近母の様子に、認知症だった亡き祖母の姿が重なって――。

母の食欲が暴走?

 今年の初めに母がお菓子をこっそり食べて、うっすら脂肪肝になった話を書きましたが、最近また同じような事件が起きたんです。

 先日、たまたま2夜続けて会食に出かけることになりました。仕事でバタバタしていたので母の食事の支度をサボり、スーパーで2日分のお総菜を買うことにしました。

「ひとりごはんは寂しかろう」と、母の好物の「ポテトコロッケ」と「餃子」と「鶏皮串」を買ってきて、「これ、今夜と明日の晩のおかずだからね」と冷蔵庫に入れて出かけました。

 帰宅して冷蔵庫を見ました。おかずが全部なくなっていました。

 ――おりゃあああああ~~~!! ちょっとここに座りなさい~~!!(10:00pm)

「2日分のおかずって言ったよね!? なんで一度に食べたん!?」

「2日分って忘れちょったんよー。ちょっと多いかなと思ったけど、残したらあんたに悪いけー頑張って食べたんよー」

「頑張って…」だと?

 ちなみに母が平らげたのは、

小判型の大きめコロッケ2個
焼き餃子5個
鶏皮串2本
ごはんお茶碗1杯
野菜たっぷり味噌汁1杯

 いやいや私でも食べ切らんわ!!

 母の好物ばかり買ってきた私も悪いけど、これだけの量を一気に食べるなんて思わないよ。最近「食べるのがしんどい」とも言っていたのに、おかしくない? これって、もしかして、もしかして…。

認知症だった祖母のこと

 こういう時、いつも頭に亡くなった父方の祖母の顔が浮かぶんです。

 祖母は私が高校生の頃から認知症が始まっていて、ありとあらゆる騒動を起こしてあの世に行ったのですが、「爆食」も祖母の日常の景色でした。

 例えば、おやつは普通サイズのあんぱん5つ一気食いがデフォルト。毎日水を飲むようにサイダーをがぶ飲みし、元気がハツラツになるドリンクも常飲(空き瓶が月に60本!)。食べるのが好きというより目の前にあるものは全て「食べ尽くす」という感じで…。

「さすがにちょっと食べ過ぎたねえ~」と笑う母に、「今度同じことがあったらまた病院で調べてもらうからね~!」と言ってその日は終わりました。

 …ん?「また」?

初めて認知症検査を受けた母

 ええ、そうなんです。実は昨年の春先、母には初めて脳神経外科で認知症の検査をしてもらったんです。転んだり脚が悪くなったりと他のネタに押されて書く機会を逃していました。

 きっかけは、母が「気がつくとボーっとしていて、話をしても聞かずに遠くを見ている」ことでした。祖母はいつもそんな感じでしたし、母の知人で認知症になった人も初期症状が同じだったんです(その時も私だけが「〇〇さん認知症の始まりかも」と熱弁していました)。

 普段は冗談で「もー、病院連れてくからね!」と笑い合うのですが、この時は本当に心配になって「お母さん、一度ちゃんと診てもらおう?」と真顔で促しました。

 すると母が「実は今朝ものすごく頭が痛かったんよ」と言うので、さらに不安になって母の友人が行ったことのある病院を紹介してもらって、速攻で検査をお願いしました。

検査結果は?

 最初に問診があって、脳のCTを撮って、母と一緒に先生のお話を聞きました。

先生「脳の血管に詰まりはなく、過去に脳梗塞が起きた形跡もありませんので安心してください」

「認知症は大丈夫でしょうか?」

先生(脳の画像を指しながら)「ここに“海馬”という部分があって、記憶を司る役目なんですけど、認知症の人はここに空洞ができるんです。お母さんの海馬はしっかり詰まっているので大丈夫ですよ。あ、でも念のために簡単なテストをしましょうね」

 先生はいくつかの質問と手の動きの指示をされました。「これ口外しないでね」と言われたので書きません(パターンが知れ渡るとテストにならないからですよね。私が漫画家ってバレてるわけじゃないですよね、ドキドキ)。

「認知症の検査って、定期的に受けた方がいいですか?」

先生「今はいいお薬もあるので、また様子がおかしいなと思った時に来られたらいいですよ」

「頭がすごく痛かったんですけど、そっちは大丈夫でしょうか?」

先生「何か頭を使う事を長時間されたりしませんでしたか?」

(ハッ!!)

(嫌な予感)

「お友達にお雛様を作ってあげるって言ったので最近ずっとそれを縫ってました…」

先生(爆笑)

(鬼の形相)

 もうね、このパターン何度目? ボーッとしていたのは「針仕事に集中しすぎ」の反動だったんかい!!

 母が何かやらかした時の私の口癖は「病院連れてくからね!!」ですが、「もう病院連れてかないからね!!」に変わりそうです。

 この連載を読んでくださる皆さんから、「お母さんのお世話をしてえらいね」と「心配しすぎじゃない?」と両方のご意見を頂きます。自分でも「そうかもね」と思うことはあります。

 長年、認知症を患った祖母の姿を見てきたので、母のちょっとした変化や行動に「もしかして?」と過敏に反応し過ぎる傾向はあると思います。根底にあるのは「怖さ」なんですよね。

 祖母のエピソードをいくつかご紹介すると、

・弁当が洗濯機の底や洋服ダンスから出てくる
・犬のエサを「おやつだよ食べなさい」と言って持ってくる
・家族の目を盗んで犬の散歩に出かけ、車にはねられる
・ショートステイで泊まった施設を夜中に抜け出し隣のコンビニに籠城

 これ「一部」です。母がこうなったらと思うと怖い。やけに敏感になってしまうんですよ。母にとって祖母は他人(義理母)だけど、私と祖母は「血縁」だし、もしかして自分も…他人事ではないのです。

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絵と文

漫画家・うえだのぶ

うえだのぶさん

 イラストレーター・漫画家。59才。山口県で83才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。

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