プロが教える在宅介護のヒント 在宅で療養する場合|在宅医・鈴木央さん<第3回>
住み慣れた自宅や施設で療養できる「在宅医療」。家族の介護負担が大きいのではないか、通院や入院より余計にお金がかかるのではないかなど、さまざまな疑問も浮かぶ。
在宅で療養する場合のヒントを教えてもらうシリーズ第3回は、在宅医療を受けるに当たって、多くの家族が在宅医に問うという疑問をQ&A方式で、前回に引き続き、在宅療養を支える診療所、鈴木内科医院の鈴木央院長に聞いた。
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家族の疑問あるあるQ&Aで学ぶ 在宅療養「基礎知識編」
入院や通院と比較して、在宅療養は、家族が大変?
Q: 自宅で療養は家族の介護負担が大きい?
A: 患者さんが希望する療養の場所がどこであっても、ご家族の心配や介護の負担は、特別変わらないのではないかと思います。
高齢者の場合、足が痛い、ごはんがしっかり食べられない、意欲がないなど、慢性的なトラブルを含めて、何かしら医療的なケアが必要なことがほとんどです。
一見、軽い症状に見えることでも、それが病気によって起きていたり、別の問題を引き起こすこともあるので、早めに適切な医療を受ける必要があります。
そう考えるとほとんどの介護は、療養支援と重なります。そこで医療と介護は連携して、それぞれの専門職がチームになって療養・介護生活を支えます。
現在は自宅でも、施設でも、チームで支えるのが一般的になり、患者さんだけでなく、ご家族も支援して介護負担が過重にならないように配慮します。ご自宅の場合はとくに、各家庭の事情も考慮されます。
Q: 在宅医療は、通院や入院よりお金がかかる?
A: 在宅に提供される医療は、大がかりな検査などがないこともあって、入院している時期よりかかるということはありません。
休日や夜間も対応するため「在宅総合診療料」などがつきますが、医療は外来診療と同じで「健康保険(医療保険)」の適用になり、自己負担が一定額以上になった場合は「高額療養費制度」の適用になります。
患者さんのいる場所に医療が出向くので、介護タクシーなど交通費はかかりません。
ただし老人ホームに入所する費用や、介護サービスを受ける費用(介護保険利用)などが必要なら、トータルで考えると入院している時期と変わらないケースが多いという印象です。
経済事情は家庭によってまちまちですから、在宅医やケアマネジャーは療養・介護生活が無理なく続けられるよう経済的な負担についても患者さん、ご家族の相談にのります。