兄がボケました~認知症と介護と老後と「第72回 未だできない確定申告!」
認知症を患う兄のサポートや祖父母の家の相続問題などで日々忙しいライターのツガエマナミコさんは、つい自分自身のことを後回しにしてしまいがち。確定申告もまだ済んでいない状況です。税務署も申請方法も様変わりする中、世の中に追いつくのはなかなか骨が折れる模様・・・。そんな近況を綴ってくれました。
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「利用者識別番号」が入力できない珍事発生
今年こそは3月中旬の期限までに終わらせよう、と意気込んでおりましたが、とんでもないことになってしまいました。
確定申告は、やはり3月の声を聞かないとやる気が出ないものです。そこへきて今年は3月にイレギュラーの仕事が入り、後見人事案、兄の検査などもあって結局期限を逃してしまいました。
わたくしの場合、“納税”ではなく“還付金”目的の申告なので、期限が過ぎても問題ないのですが、そもそもいつも届く「確定申告のお知らせ」の葉書が来ていなかったので、いつものようにe-Tax(パソコン上でできる「国税電子申告・納税システム」)で済ませるにしても一度問い合わせをしてみようと思い至りました。
電話をしてみると「納税の方にお送りしておりまして、前年還付申告だった方には今年から葉書を送らないことになったのです」とのこと。そして「還付の方は期限過ぎても大丈夫ですから、まぁゆっくりやってください」と添えられました。
そりゃ、そう。還付金は5年遡って申告できると聞いたことがございます(※編集部註:対象となる年の翌年1月1日から5年間遡って申告が可能)。まして返ってくるお金なのでわざわざ葉書でお知らせしていただくまでもなく、みんな還付申告はするのです。郵便代も馬鹿にならない時代ですから、その省略はもっともだと思いました。
「さて、やるか」と重たい腰を持ち上げたのは4月上旬。わたくしの申告内容はじつに少量で、e-Taxなら1時間ほどで終わるものでございます。
ところが、国税庁のホームページで「確定申告の作成」をポチッとすると、最初の段階である「利用者識別番号」が入力できないという珍事が発生しました。毎年使っている16桁の識別番号なのに4桁までしか入らない。いったいどういうことなのか、意味が分かりませんでした。
何度もトライしました。「作成の手順」も何度も読みました。別の方法の解説も読んではみたものの、スマホでQRコードを読み込んでどーのこーのと長い長い。もう無理だと思い、税務署に行ったほうが早そうだと判断いたしました。
翌日、税務署へ行ってみると、一人も並んでおりません。わたくしの知っている4月の税務署は、少なからず申告のための行列ができていたものですが、誰もいないので「みんなe-Taxでやるようになったんだな」と思っておりました。
受付の方に事情を説明すると、過去なら「2階の〇番窓口へどうぞ」と言われたりしたのですが、今回の第一声は「じつは、事前予約制になりまして」という意外な言葉でございました。「せっかく来ていただいたのですが、こちらの電話番号に問い合わせて予約を取ってください」と……。
たしかに確定申告の行列は長時間立ちっぱなしが当たり前で、年配者や体力のない方には酷なものでございました。事前予約のほうが理にかなっております。
“ちょっと来ない間にいろいろ変わるもんだ”と思いつつ、その場で早速電話をすると、あれこれ本人確認された後、「現在とても混みあっておりまして、一番早くて5月下旬になります」と言われました。
なにやら今はスマホで確定申告するのが推奨されているようで、「当日は必要書類とスマホをお持ちください」と言われました。
ということで確定申告も様変わりし、ツガエの確定申告(還付申告)は、この原稿を書いている40日後となりました。
そして今週も兄の面会に行ってまいりました。
近頃施設で兄の車イスに乗る姿を見てないことが少し気になっておりましたら、スタッフの方にこう言われました。
「最近ベッドばかりなのが気になっているかもしれないですけれど、午前と午後の過ごし方を変えたからなんです。前は午前中にベッドで、午後は車イスで過ごしていただいてたんですが、今は逆にしたので面会にいらっしゃる時間はベッドにいるんです。午前中は車イスでリビングにいらっしゃいますよ」
ほっといたしました。そんなことだろうとは思っておりましたが、ベッドで過ごす時間が長くなっているとしたら心配だったので胸のつかえが取れた思いがしました。
なんて痒いところに手が届くスタッフさまなのでしょう。わたくしが言わずとも、察してくださるなんて神。ありがたやありがたや。
文/ツガエマナミコ
職業ライター。女性63才。両親と独身の兄妹が、2012年にそれぞれの住処を処分して再集合。再び家族でマンション生活を始めたが父が死去、母の認知症が進み、兄妹で介護をしながら暮らしていたが、母も死去。そのころ、兄の若年性認知症がわかる(当時57才、現67才)。通院しながら仕事を続けてきた兄だったが、ついに退職し隠居暮らしを開始。2024年夏から特別養護老人ホームに入所。
イラスト/なとみみわ
