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《90代までミニスカでダンス》当時平均年齢70歳のシニアチアチームの創設者が語るメンバーのトラブル回避術「冠婚葬祭のやりとりもお土産も年賀状もなし」

 1996年、日本初のシニア向けチアダンスチーム「ジャパンポンポン」を設立した滝野文恵さん(94歳)。55歳以上という入会条件(現在60歳以上)でスタートしたチームは話題となり、メディアからの取材や入会希望者が殺到した。28年間にわたり代表を務め、2024年3月に92歳で惜しまれつつ現役を引退した滝野さんに、初めての自主公演の思い出や女性同士のトラブルを回避するユニークなルール、そして健康を支え続けたチアへの思いを聞いた。【全3回の第2回】

60代で挑戦したチアダンス。すべて自分たちで作り上げる喜び

――ジャパンポンポン結成後、初めて自分たちの発表会を開催されたときの心境を教えてください。

滝野さん:設立7年目、ほとんどのメンバーが6、7曲踊りましたし、ゲストをお招きしての自主公演だったので、とても緊張しました。何から何まで自分たちで手作りする発表会でしたから、準備には手間がかかりました。でも、だいぶ経ってから、年をとってこういうことをするのは、すごくいいことなんじゃないかと思うようになったんです。名簿を作ったり、進行の台本を作ったり、そうした一つひとつの作業が、とてもいい経験になりました。健康にもいいですしね。自分達の楽しみだけでなく、恵まれない人へのチャリティもかねて。

――練習において、最も大切にしていたことは何ですか?

滝野さん:集まって練習するのは週に1回、2時間ほどなのですが、お休みしないことでしょうか。お休みすると、せっかく覚えた振り付けを忘れちゃいますから。できれば家でも練習して、覚えてくるように伝えていました。まあ、かくいう私も忘れちゃうんですけどね(笑い)。

――振り付けを覚えるために、どんな工夫をされていましたか?

滝野さん:とにかく家で何度も練習するしかないです。私は自分が踊る姿を録画して、それを絵に描き起こしていました。絵だけを見て踊るのは無理ですが、動画と一緒に見返すと、思い出すための助けになります。昔はひたすら先生の振りを真似て覚えていましたので、手探りのようなところがありました。今は先生がちゃんと動画でお手本として踊ってくださるので、それを見て覚えられるからだいぶ違いますね。

間違えても「知らんぷり」。笑顔と入念なストレッチで乗り切る

――活動が軌道に乗り、さまざまなイベントに出演される中で、チームとして直面した困難はありましたか?

滝野さん:あったとは思うのですが、もうみんな忘れちゃいました(笑い)。予定通りに進行しなくてハラハラしたことなど色々とありましたけれど、とにかく「楽しかった」という記憶しかありません。

――本番中、メンバーが振り付けを忘れて動けなくなるようなトラブルはありましたか?

滝野さん:ありましたよ。どうしても間違える人が出てくると、動かなくていいところで動いちゃったりして、余計に目立っちゃうんですよね。私の場合は、間違えても知らんぷりしています。笑ってごまかすんです(笑い)。

笑顔については、みんなに口酸っぱく言ってきました。楽しく踊っているように見えるから、できるだけ笑ってくださいと。中には「観客に媚びているみたいで笑いたくない」と言う人もいました。でも、チアダンスですから、私は基本的には笑っている方がいいと思っています。

――高齢になると体が硬くなったり、痛いところが出てきたりすると思いますが、体のケアで心がけていたことはありますか?

滝野さん:最初の柔軟体操やストレッチは、30分くらいかけて全員でしっかりやります。おかげで、長年やっていても大きなけがはあまりなかったですね。

大けがを乗り越えたのはチアのおかげ。28年間続けて得たもの

――長年リーダーとして多くのメンバーをまとめてこられたと思いますが、印象深いエピソードはありますか?

滝野さん:私、まとめてはいないんです。まとめられるような性格じゃなくて、どちらかというと放ったらかし。ただ、私が一番年上でチームを立ち上げた人間だから、周りが勝手にまとまってくれていたみたいです(笑い)。

私が意識してやらなかったのは、仲良しグループを作ることです。練習後にみんなでお食事に行ったり、お花見や山登りに行ったりということは、私は一切しませんでした。女性が何十人も集まると、あっちこっちにグループができて、軋轢が生まれたり、もめ事が起きたりすると思うんです。それを回避したかったので、練習にはTシャツとパンツ姿で行って、そのまま踊って、着替えずに帰っていました。この服装なら寄り道できませんからね。

――他にもチームでの決まりごとはありましたか?

滝野さん:会則を最初に作って、冠婚葬祭などの義理のやり取りは一切なし、と決めました。旅行のお土産もなし、年賀状もなし。それは厳しく言っていました。それでも、どうしてもやりたい人が出てくるんです。ハワイのおみやげでチョコレートを持ってこられた方もいましたが、「私はいらないから持って帰りなさい」と止めました。お返ししなきゃという精神的な負担が生まれると大変ですからね。

――メンバー5人から始まったジャパンポンポンですが、今は何人くらいなのでしょうか?

滝野さん:マスコミに取り上げられてからは何十人も申し込みが殺到したので、オーディション制にしました。一番多いときで27、8人で、現在のメンバーは24人です。

――現在も顧問として関わっていらっしゃいますが、引退を決意された理由は何だったのでしょうか。

滝野さん:自分1人ならヘタでもいくらでも踊れるのですが、録画した画像を見ていると、どうしても動作が遅れ始めているし、動きをごまかしているのが自分でもよくわかったんです。このままではチームの邪魔になってしまうし、先生も私に気を使って、難しい振り付けができなくなってしまうだろうと。残念ではありましたが、それが引退を決めた理由です。

――2024年3月、チアリーディングの全国大会「USA ナショナルズ 2024」のゲスト出演が最後のステージでした。舞台を下りる際のお気持ちをお聞かせください。

滝野さん:意外と未練も寂しいという気持ちもわかなくて、感動というよりは肩の荷が下りたような、28年もやったんだからもういいか、年も年だしって(笑い)。ちょうどいいときにやめたと思っています。

――ジャパンポンポンを続けてきて、心からよかったと思えることは何でしょうか。

滝野さん:長年続けてきたことで、「継続は力なり」という言葉通り、体を鍛えられたことです。実は私、引退してから頭を打って手術をしたんです。1か月入院し、リハビリ病院にも2か月入りました。でも、回復が早かったんです。これは28年間チアを続けてきて、体力がついていたからだと思っています。

あとは、若いお友達がたくさんできたことですね。年をとると同年代の友人は亡くなってしまったり、元気でも外に出られなくなったりします。でも、やめたメンバーも含めて、今でも一緒にランチをしたりできる若いお友達がたくさんいるのは、本当にいいことだと思っています。

◆ジャパンポンポン創設者・滝野文恵

たきの・ふみえ/1932年1月15日、広島県生まれ。大学卒業後、アメリカ留学を経て結婚し、一男一女を育てる。53歳で再びアメリカへ渡り、ノーステキサス大学で老年学修士号を取得。帰国後の1996年、63歳でシニアチアダンスチーム「ジャパンポンポン」を設立。代表として28年間にわたりチームを牽引し、各種メディアで注目を集める。2024年3月、92歳で惜しまれつつ現役を引退した。著書に『女53歳からのアメリカ留学』(ミネルバ書房)、『85歳のチアリーダー』(扶桑社)などがある。

撮影/小山志麻 取材・文/小山内麗香

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