注目《介護ロボット》は介護現場の人手不足解消に役立つか?在宅介護・施設の運用事例・最新事情をレポート
これからの少子高齢化社会では、介護する人・される人にとって「介護ロボット」が、心強い存在になると期待が高まっている。多様なロボットが登場しているが、活用の仕方によっては注意したほうがいいことも。期待の介護ロボットについて、最新事情をリサーチした。
教えてくれた人
介護ジャーナリスト 小山朝子さん
小学生時代にヤングケアラーとなり、20代からは約10年、祖母の在宅介護に携わる。その経験をいかし、介護ジャーナリストとして取材、執筆や講演を行う。介護福祉士の資格も持ち、介護される側とする側の両側面からのアドバイスに定評。近著『【11の成功例でわかる】自分で自分の介護をする本』(河出書房新社)。
介護ロボットの普及拡大へ
介護を必要とする人たちの自立支援や介護をする人の負担軽減に役立つ「介護ロボット」。介護者の身体負担を軽減するアシストスーツタイプや、高齢者の日々の見守りや話し相手をしてくれるコミュニケーションタイプなど、さまざまな種類がある。
→最旬《介護ロボット》事情「どんな種類があるの?何が便利になる?」注目のアイテム4選
「高齢化が進む日本では、介護人材不足や働く環境の改善などさまざまな課題があります。そこで、国をあげて介護をサポートするロボットの普及を促進しています。
技術開発の支援や資金のサポートを開始しています。北九州市など積極的にロボット事業を支援する自治体もあります」とは、介護ジャーナリストの小山朝子さん。
※厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000209634.html
約10年にわたり、祖母の在宅介護を経験した小山さんは、睡眠障害に悩んだ経験がある。
「現在、介護施設ではスタッフが少ない夜の時間帯に、見守りカメラや離床センサーなどを利用者のケアに活用するところが増えています。
私が在宅介護をしていた当時は昼夜問わず医療的なケアや排泄介助が必要で、介護を終えた現在もなお真夜中に目が覚めてしまうことさえあります。在宅介護の分野においても、介護する側、される側が安心して休むことができる介護ロボットの普及が期待されますね」(小山さん、以下同)
実際、さまざまな企業がロボット開発に参入し、施設でも導入事例が増えてきているという。また、大手・家電量販店のノジマが、東京・品川にロボットショールーム「MIRAI ROBO SQUARE(ミライロボスクウェア)」を2月にオープンしたことも話題を集めた。
このように今、注目の介護ロボットだが、導入・活用するにあたり、安全性の確保やプライバシーへの配慮など注意したい点もあるという。
「高齢化が進む日本では、介護ロボットは今後益々必要不可欠なものになっていくと思われます。ただし、現時点において、介護ロボットはあくまで補助的なツールであり、‘’人‘’が行うことを完全に代行できるものではないという認識が必要でしょう」
介護ロボット活用のメリットと注意点
介護現場でも広まり始めている介護ロボットだが、どんなメリットがあるだろうか。
介護ロボット活用のメリット
・介助を行うときの身体的負荷の軽減
・介助者の精神的負担を軽減
・介護人材不足の解消
・体調や経験値に左右されないサービスの提供
「私も経験がありますが、介護業務は身体的な負担がとても大きいのです。例えば、介護施設の入浴支援におけるロボットの導入は高度化・多様化している印象があります。
介護ロボットを活用することで、負担を減らすことができ、介護従事者の離職を防ぐことにもつながります。
また、介護を受ける人のメンタル面にも、良い効果を期待できます。要介護になっても多くの人は、生活のさまざまなことを『できるだけ自分でやりたい』と思っています。
介護ロボットのサポートによって自力でできることがあれば自尊心を失わず、自立意識の向上にもなると思います」
一方で介護ロボットを導入するにあたり、注意したほうがいいことはどんなことだろうか。
介護ロボット導入で注意すべきこと
・購入費用やランニングコストなどが高いものも
・環境の整備の必要性
・操作を覚えなくてはならない
・スペースの確保
・ロボットに任せることへの抵抗感
「在宅介護の場合は費用や設置スペースの確保などハードルが高い場合もあるかもしれません。また、とくにテクノロジーになじみのない世代の人は不信感や難しそうなイメージを抱く人も少なくないようです」
介護施設等で運用されている注目のロボット
「最近は認知症の人のケアにおいて、ロボットの存在が精神的に安定をもたらしたり、会話を促進する効果が得られたりするケースも見受けられます。
また、介護施設では、体操や歌などのレクリエーションをロボットが実演指導するという事例も。介護ロボットが肩代わりすることで、介護者は空いた時間を有効活用できますよね」
実際に介護シーンで活躍している介護ロボット。編集部が注目するアイテムをピックアップしてご紹介する。
※掲載した商品は編集部が選定したもので、専門家が紹介するものではありません。
利用者の気持ちに寄り添い、対話で介護をサポート
介護施設向けコミュニケーションサポートロボット CoRoMoCo(R)(コロモコ)
自動車部品メーカー・TPRが開発。介護施設向けのコミュニケーションロボットで、生成AIによる対話と感情推定機能を備え、利用者の心理的ケアと介護負担軽減への貢献を目指す。
【データ】
介護施設向けコミュニケーションサポートロボット『CoRoMoCo(R)(コロモコ)』
価格:メーカーにお問合せください。メール:info-coromoco@tpr-global.com
※本製品は介護施設向けのため、個人販売は行っておりません。
メーカー:TPR
https://coromoco.jp/
医療・介護現場の人手不足解消に期待
ヒューマノイドAIロボット『ミロカイ』
『ミロカイ』は、ソフトバンクのロボット『Pepper』を手掛けた開発者による、ヒューマノイドAIロボット。表情を読み取り、人に寄り添いながら、見守り・対話・業務支援・情報連携を通じて現場を支える。
医療・介護現場では、患者の状態を見守りながら、リハビリ支援やバイタル確認の促し、物品の簡易配送や館内回覧などを担い、スタッフの負担軽減とサービス品質の向上に貢献。日本では兼松をはじめとするパートナー企業と連携し、導入が進められている。
【データ】
ミロカイ
価格:導入形態やシステム構成、運用内容に応じて個別に設定(※詳細は要問い合わせ)
提供形態:販売、レンタルに加え、実証実験(PoC)を通じた共同導入にも対応予定
開発:Enchanted Tools(フランス)
販売:兼松(日本)ほか
販売開始:2026年末予定
予約開始:2026年7月以降予定
https://www.kanematsu.co.jp/business/motorvehicles_aerospace/motor_vehicles_parts_no2/humanoid_ai_robot
このほか、兼松では、Intuition Robotics Ltd.と協業し、AIソーシャルコンパニオンロボット『ElliQ』(エリキュー)の日本版開発および国内での販売・サービス提供に向けて始動している。
『ElliQ』は健康管理・未病予防・コミュニケーション・見守り・アクティビティなど、高齢者の日常生活全体を支援するコンパニオンロボット。従来の対話型AI製品が「一問一答型」であったのに対し、『ElliQ』は、利用者の目標に基づいて積極的に関わるもの。会話を記憶して日常活動への参加を効果的に促すことで高齢者の心身の活性化に繋げていくもの。また、服薬リマインダーや健康管理の支援等の機能も提供するという。今後の普及が期待される。
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AIが進化し介護ロボットも多様化している。お試し期間を設けているアイテムもあるので、特性をよく理解して利用者のニーズに合わせたものを選び、介護の負担軽減につながるといい。
取材・文/本上夕貴
