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「老後の医療・介護テクノロジーへの期待に関する調査」で浮き彫りいなった「日常生活の維持」のために期待されるテクノロジーは? <調査レポート>

 AIなどがめざましい進化を遂げ、私たちの日常に浸透している現在。医療・介護分野でもテクノロジーの進化は急速に進み、「介護ロボット」「オンライン診療」など、現場では広く活用され始めている。進化の様子はなんとなく耳にするものの、まだまだ未知の世界でもある。「老後の医療・介護テクノロジーへの期待に関する調査」から、寄せられる期待、そして不安視されていることが浮き彫りになった。

進化する医療・介護テクノロジーに集まる期待と不安

 MR(複合現実)の最先端技術で3D空間での立体的リハビリトレーニングシステム「リハまる」を開発・提供する企業テクリコが、老後の医療・介護テクノロジーへの期待に関する調査を行った。テクノロジーのめざましい進化を耳にすることが増えたが、具体的に知らない人が多いことが明らかに。老後の医療や介護の何に不安を感じ、それらを解消するためにどんなテクノロジーに期待しているのか、また懸念があるのか、集まった声をレポートする。

老後の医療や介護に関する不安要素は「経済面」「身体面での制限」が大きい

 自身の老後の医療や介護に対して不安はあるか、40代以上の男女に聞いたところ「非常に不安を感じる」人が32.2%、「やや不安を感じる」人が47.0%と、合計で約8割のもの人が不安を抱いていることがわかった。

 不安を感じていると回答した約8割の人に、具体的に不安に感じていることを追加で質問したところ、さまざまな声が寄せられた。いずれも6割程度の人が該当するのが「医療費や介護費用など、経済的な負担」「自分自身の身体が不自由になること」「認知症などにより、判断能力が低下すること」の3つ。経済的な不安や、身体の自由が利かなくなることへの不安が強いことがわかる。

 その他は、「家族や周りの人に介護の負担をかけること」53.2%、「十分な医療や介護サービスを受けられるか」33.8%、「1人で孤独に過ごすこと」30.8%、「近くに頼れる家族。親族がいないこと」20.5%と続く。

医療・介護現場でのテクノロジーの活用は、あまり知られていない

 介護・医療の現場の人員不足などの問題点を解決するため、テクノロジーの活用が急速に進んでいる昨今。しかし、その実態について「あまり知らない」人は43.7%、「全く知らない」人は19.6%で6割を超え、「よく知っている」と答えた3.9%は圧倒的少数だった。現場を実際に見る機会がない分、テクノロジーがどのように活用されているのかわかりにくく、認知を広めることも今後の課題のひとつだ。

自立した生活の維持・継続のために、特に注目を集めるのが「介護ロボット」

 テクノロジーの活用の実態を知らない声が多かったが、そんな中で、老後において活用を期待する医療・介護テクノロジーを聞いたところ、1位に挙がったのが「介護ロボット」で45.8%だった。介護ロボットは、介護現場の人員不足や、介護する側による高齢者虐待を解消するツールとして大きな期待が寄せられていることがわかる。2位は「オンライン診療・服薬指導システム」で34.4%。身体が不自由になって外出がしにくくなった際や、認知症で薬の飲み忘れが懸念される際に頼りたい。3位は「スマートセンサーによる見守り」で31.0%。1人暮らしだと、体調の急変や事故などに対して自分で通報できないことが不安だが、その不安を解消してくれる。

 4位は「ロボットによる運動支援」と「アシストスーツによる身体的負担の軽減」でいずれも28.3%。老化による身体能力の衰えをカバーしてくれると期待が集まる。以下、「AIによる健康アドバイス・リスク予測」の22.9%、「ウェアらブルデバイスによる健康データモニタリング」18.4%が続いた。

 医療・介護分野でのテクノロジーとして「介護ロボット」などに高い関心が集まっていることがわかったが、それらのテクノロジーに期待することを尋ねたところ1位が「自立した生活の維持・継続」で53.0%にのぼった。2位以下は僅差で「自分自身の身体的な負担の軽減」が46.7%、「家族の介護負担の軽減」46.1%、「医療・介護費用の削減」43.7%と続く。その他、「医療・介護のサービスの質の維持・向上」38.6%、「生活の質の向上」37.4%、「通院などの時間的・移動負担の軽減」37.1%などが挙がった。

テクノロジーの活用に期待が高まる中、「金銭面」などで不安

 これまで、医療・介護テクノロジーに寄せられる期待を紐解いてきたが、一方で不安に感じることも尋ねたところ、いくつかの懸念が確認された。最も不安に感じる人が多かったのが「導入・運用コストの高騰」で57.2%。この数年でさまざまな価格が高騰しているが、テクノロジーの活用はとても便利な反面、利用し続けるための経済的な不安が心配される。次いで「システム・機器の誤作動や不具合」が43.7%。老化による認知機能の衰えもあり、不具合に自分で対処できるのか、サポートは手厚いのか心配になる。

「地域や経済状況による利用格差」が36.1%、「効果の不確実性や過信」31.0%、「データセキュリティとプライバシー侵害」28.0%、「倫理的・人間的側面への影響」26.8%なども懸念される点として挙がった。

 さまざまな分野でテクノロジーが急速に発展しているここ数年。医療・介護分野においても期待が高まるが、具体的にどのぐらい技術が進化しているのか知らない人はまだまだ多い。そして、よく知らないからこそ、経済的な負担だったり、誤作動や故障への対処、セキュリティの安全性など不安も大きくなっている現状が判明した。

 老後に身体が不自由になっても、認知機能が衰えても、テクノロジーの力を活用して、なるべく自立した生活を維持していきたい。そして、介護する人の負担も減らしたい。さらなるテクノロジーの進化、そしてその情報を気軽に知る機会が増えることが急務である。

【データ】

「老後の医療・介護テクノロジーへの期待に関する調査」

リハまる(MRリハビリテーションシステム)
https://rehamaru.jp/

<調査概要>

調査対象:40代以上の男女・モニター提供先:RCリサーチデータ
有効回答数:332名
調査期間:2025年10月22日~10月24日
調査方法:インターネット調査

※テクリコの発表したプレスリリース(2025年10月19日)を元に記事を作成

図表/テクリコ提供 構成・文/西谷友里加

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