倉田真由美さん「映画女優のお仕事」くらたまね~&らいふVol.5
漫画家の倉田真由美さんは最近、今後の人生において「心が沸き立つ何か」を探している。政治家秘書、株式投資などお金や暮らしにまつわる新たな誘いが続く中、今度は「女優」として映画に出演する話が舞い込んで――。
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。新たな描きおろし漫画も収録した最新の書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
映画の端役をやることに…
実は先月、偶然2度も映画の端役をやらせていただく機会を得ました。
1度目は夫の友人でもあった河崎実監督の「シャーズ51」というサメ映画です。セリフはざっくり決められているものの、そのまま自分「倉田真由美」の役でした。
「あれ?倉田真由美さんじゃないですか」
と、声をかけられてからのセリフ、挙動はいかにも私っぽく、それほど無理なく演じることができました。衣装も自前の普段着で、普段の私らしさ満載だったと思います。
実際、現実に同じようなことが起きても、この映画に出てくる倉田真由美のように振舞った気がします。
映画の出演に際し、困ったこと
難しかったのは2度目、片嶋一貴監督の映画の役です。
片嶋監督とは飲み会で何度かご一緒していますが、直接やりとりしたことはなかったので、今回は寝耳に水のオファーでした。
「女子高生のお母さん役、ベンツを運転するセレブ妻役をやってほしい」
べ、ベンツ…セレブ妻…。
私の実像とは程遠い役です。
私は運転免許を持っていません。運転できないのに、運転するシーンって大丈夫なのか?ハンドルの握り方なんかもよくわからないんですけど。
そしてセレブ妻。人生で一度も経験したことがない「セレブ」という世界。そして撮影前、さらに無理筋なお願いもされました。
「セレブっぽい服を着てきてください。黒以外、なるべく華やかな感じで」
いやー、セレブっぽい服とは…。
私の服装ラインナップは、主に2種類に大別されます。
一つは普段着。
パーカーやスウェットなど、「着やすくて動きやすい、多少汚れても気にならない服」で、日常主にこちらを身につけています。購入先は「しま◯ら」や「ワークマ◯」などで、黒やグレーなど目立たない色味、ウエストゆったりゴムがお気に入りです。
もう一つは仕事用の服。
テレビ出演や講演会など、仕事として表に出るための服です。私はファッションセンスがなくまた興味も薄いため、「上下コーディネートを考えなくていいワンピース」がメインです。
ただし、新品にこだわらないのでメルカ◯や古着屋で購入しており、常に流行とは相当ズレていると思います。正直なところ、テレビに出るのに私くらいテキトーに服選びをしている女性はいないんじゃないかなと思っているくらいです。実際、今まで共演した女性で、私より服にこだわりがない印象を受けた人は一人もいません。
さて困った。仕事用の服は、セレブ妻が普段に着るようなイメージのものではありません。普段着は論外だし…。
困った挙句、「セレブ街のフリーマーケットで買ったカットソー」の存在を思い出しました。花柄で、ちょっと華やか。よし、これで行こう! 300円だったけど、元値は高いかもしれないし。
まんまとその服でOKが出て、無事に撮影を終えることができました。得難い体験でした。
とはいえ、セリフも普段私が口にする言葉ではなく、とても難しかったのですんなりとはいきませんでしたが…。
思いがけず体験できた女優業、どちらも「夫の友人」「飲み会で会った」という人間関係からのつながりで来た仕事です。いろんな人と関わることの想定外の面白さ、人付き合いの大切さを改めて噛みしめることになりました。
