「25歳の娘が自分を避けて家に帰ってこない」心配を募らせる母の悩みに毒蝮三太夫がアドバイス|「マムちゃんの毒入り相談室」第84回
我が子は、どんどん大人になっていく。しかし、親はいつまでも「子ども」と見てしまいがちだ。25歳になった娘が露骨に自分を避け、どこで何をしているか教えてくれないと不満を抱いている63歳の女性。心配は募るばかりだが、夫はまともに取り合ってくれない。マムシさんは「黙って見守るのが親の役目だよ」とやさしく諭す。(聞き手・石原壮一郎)
今回のお悩み:「25歳の次女と連絡が取れず何をしているかわからなくて心配」
2026年は、オレにも関係がある「60周年」が重なっている。ひとつは『笑点』の60周年。オレは番組を作った立川談志に言われて、初期の頃に二代目の座布団運びをやってた。もうひとつは『ウルトラマン』の60周年だ。今でも「アラシ隊員!」って呼んでくれる人もいる。つくづく、すごい番組だよ。
見てくれた人もいると思うけど、5月17日放送の『笑点』では、ふたつの番組のまさかのコラボが実現した。オレもじっとしちゃいられない。乱入してひと暴れしてきたよ。ハハハ。笑いは平和と幸せの象徴でもある。これからもそれぞれの持ち味を発揮して、地球の平和とお茶の間の幸せを守ってほしいね。シュワッチ!
今回は、25歳の次女との関係に悩んでいる63歳の女性からの相談だ。
「私には、30歳長女、28歳長男、25歳の次女の三人の子どもがいます。長女は結婚して家を出ましたが、長男、次女は同居中です。
なのですが、その次女がまったく家に帰ってきません。仕事はアルバイトを短期でやっているようです。今は、私が連絡してもぜんぜん返信をくれなくて、どこにいるのか誰かと一緒に暮らしているのかなど、心配でたまりません。
私が出かけているときに時々帰宅して、荷物を持ち出しているようです。長女からの連絡には返信があるので、元気にはしている様子です。
昔から次女とは衝突することが多く、私のことが嫌なのはわかっています。家を出るなら出るでいいので、けじめはつけてもらいたいです。夫は『好きにさせておけばいい』と言うだけで、深入りしようとしません。どうすれば、この息苦しい状況を変えられるでしょうか」
回答:「もう25歳なんだから、ほっとけばいい」
なるほどね。こっちがさんざん心配しているのに、連絡しても何も反応がなくて、暖簾に腕押しが続いているわけだ。心配なのはわかるけど、オレも旦那と同じことを言いたいね。もう25歳なんだから、ほっとけばいいんじゃないかな。
あなたはもう、親としてやるべきことはちゃんとやったんだ。家を出て自立しようとしている娘に対して、親ができることはないし、むしろ何もしないほうがいい。黙って見守るのが親の役目だよ。
昔から折り合いが悪かったと書いてあるけど、きっと何らかの理由があるんだろう。どっちが悪いってことじゃなくてね。こっちにとってはささいなことが、相手を苦しめていることもある。だとしても、今さらクヨクヨ思い悩んだところで仕方ない。あなたは親としてせいいっぱい頑張ったし、娘だって自分の人生を懸命に生きようとしているんだ。
「息苦しい状況」って書いてるけど、あなたが「娘の人生なんだから好きにすればいい」と思えたら、たちまち楽になれるんじゃないかな。「心配だ」っていう言葉は、親にとって危険な一面があって、余計なお世話を正当化するために使われることがある。「けじめ」がどうこうって言うのは、思いどおりにならない娘にムキになってるようにも見えるなあ。
たしかに、母親を避けるとか連絡を返さないとか、娘の態度に腹が立つのもわかる。でもね、相手が硬い茶碗だったら、こっちはやわらかい布団になってそっと受け止めなきゃ。こっちも目を吊り上げて硬い茶碗になってたら、たちまち割れてお互いに傷つくことになる。これは親子の関係にかぎらないけどね。
長男だって、結婚するしないはさておき、やがて家を出ていくだろう。むしろ追い出したほうがいい。世の中には、子どもが出ていったら寂しいとか「自分が世話してやらないと」なんて言って、いつまでも子どもを生きがいにしたがる親もいる。子どもにとってはいい迷惑だ。うっかりそうならないように気をつけたほうがいいね。
親の役目は終わったんだから、夫としっかり向き合って、ふたりでどう幸せに過ごしていくかを考えよう。言ってみれば、子ども抜きの第二の人生が始まったわけだ。二人で過ごしたり出かけたりしながら、新しい「夫婦の形」を作っていこうじゃないか。慣れないうちはギクシャクするかもしれないけど、長年連れ添ってるんだからきっと大丈夫だ。
次女も、これから世間の荒波を知ったり、いろんな壁にぶつかったりするかもしれない。この先、悩み相談なり金銭的な援助なり、もし助けを求めてきたら、そのときはあたたかく受け入れてあげよう。「勝手に出ていったくせに」なんて言わないでさ。
今はすれ違っていても、やがてまた和解できる日が来るよ。娘だって親のありがたみに気づくだろうし、あなたも娘が大人になったことを徐々に受け入れられるだろうしね。ともかく、旦那を大事にして、まだまだ長い人生を仲良く楽しく暮らしてくれ!
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毒蝮三太夫(どくまむし・さんだゆう)
1936年東京生まれ(品川生まれ浅草育ち)。俳優・タレント。聖徳大学客員教授。日大芸術学部映画学科卒。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の隊員役など、本名の「石井伊吉」で俳優としてテレビや映画で活躍。「笑点」で座布団運びをしていた1968年に、司会の立川談志の助言で現在の芸名に改名した。1969年10月からパーソナリティを務めているTBSラジオの「ミュージックプレゼント」は、現在『金曜ワイドラジオTOKYO 「えんがわ」』内で毎月最終金曜日の16時から放送中。90歳の現在も、ラジオ、テレビ、講演、大学での講義など精力的に活躍中。この連載をベースにしつつ新しい相談を多数加えた『70歳からの人生相談』(文春新書)が、幅広い世代に大きな反響を呼んでいる。最新刊は玉袋筋太郎と熱く語り合った対談集『愛し、愛され。』(KADOKAWA)。毒蝮の「毒」と玉袋の「粋」が熱く融合し、混迷の時代を生きる私たちに勇気と希望を与えてくれる。
YouTubeの「マムちゃんねる【公式】」(https://www.youtube.com/channel/UCGbaeaUO1ve8ldOXXも、毎回多彩なゲストのとのぶっちゃけトークが大好評! 毎月1日、15日に新しい動画を配信中。

石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」「失礼な一言」など著書多数。新著『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)と『大人のための“名言ケア”』(創元社)が好評発売中。この連載ではマムシさんの言葉を通じて、高齢者に対する大人力とは何かを探求している。