1年で15kg痩せて健康を取り戻した医師が実践した“たったひとつのこと”「運動8割、食事2割」「ハードな運動よりも、毎日5分のずぼらな運動」
健康のために「運動しなければ」と思いながらも、なかなか続かない。ウォーキングを始めても、雨の日に休んでそのまま挫折してしまう──。そんな人は少なくないはず。血管・心臓のエキスパートとして国際的に活躍する医師・高橋亮氏も、かつて激しい運動に挫折した一人だ。しかし、ある方法で1年後には健康を取り戻した。その答えとは──。
高橋氏が、血管を広げるメカニズムを解説し、スマホやテレビを見ながら、椅子に座ったままでできる方法をまとめた『血管の名医が薬よりも頼りにしている狭くなった血管を広げるずぼらストレッチ』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
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「ずぼらに5分」でも十分効果はある!
「毎日30分運動しましょう」
健康番組でも、医師の診察室でも、よく聞くアドバイスです。
でも、これが続けられる人は、どれくらいいるのでしょうか。私の経験では、ほとんどいません。
最初の1週間は頑張ります。
「健康のために」と意気込んで、毎日30分のウォーキングに出かける。
でも、雨の日が来ます。
「今日は雨だから、明日やろう」──そう思って休む。
翌日は晴れていても「昨日休んだし、今日もいいか」となります。
3日休めば、もう習慣は途切れています。
そして1週間後には、ウォーキングシューズが玄関の隅で埃をかぶっている……。
だから、とにかく楽にできることを優先しましょう。
「今日は5分だけ」と思えば、気軽に始められます。テレビのコマーシャルの間にストレッチをする。それだけでも「5分」にはなります。
「週30分」が、私が患者さんにすすめている最初の目標です。
「今週はまだ20分しかやってないな」と気づいたら、日曜日に10分追加すればいい。それで目標達成です。
研究によると、週に150分の中程度の運動、または週に75分の強い運動が、健康維持に推奨されています。
でも、運動習慣のない人が、いきなり週150分も運動できるはずがありません。
だから、まずは週30分から始める。
これなら、誰でも「目指すこと」はできそうです。
それに「一気に30分」なんてツラいですから、「ずぼらに5分」で十分です。
「たった5分で効果があるの?」と思われるかもしれません。
あります。大ありです。
NO(一酸化窒素)は、ストレッチを始めてすぐか、遅くとも数分後には分泌され始めます。
5分間のストレッチでも、血管内皮細胞は刺激を受け、NOを放出します。このNOは血液に乗って全身を巡り、血管をやわらかくし始めるのです。
しかも、5分なら「スマホを見ていたら」「テレビを見ていたら」あっという間に過ぎてしまう時間です。
「忙しいからまったく運動できない」という日でも、テレビやスマホを5分くらいは見ているでしょう。
その時間を使って拙著『血管の名医が薬よりも頼りにしている狭くなった血管を広げるずぼらストレッチ』で紹介している、ずぼらストレッチをするだけで良いのです。
変な言い方になりますが、「真面目に考えて、5分間のずぼらストレッチが効果的」だと思っています。
最後に勝つのは毎日5分の「ずぼら運動」
「週1回ハードな運動を30分するよりも、毎日5分だけずぼらな運動をしたほうがずっと良いですよ」
私が患者さんにこんなふうにすすめるようになったのは、自分自身の挫折経験があるからです。
少しだけ、私自身の経験をお話しさせてください。
数年前、私は以前より15kg も太ってしまいました。
毎日忙しく働いていて、自分の体の変化に気づかなかった。
ある日、医師が集まる学術集会に出席しようとスーツを着たら、ボタンが留まらない。
鏡を見て愕然としました、「俺、デブじゃん……」と。
健康診断の数値も最悪でした。
悪玉コレステロール値は200以上。
脂肪肝の診断も受けました。
医師として患者さんに健康指導をしている自分が、こんな状態でいいはずがない。
最初、食事を変えようと試みました。
でも……、続きませんでした。
仕事が忙しくて、昼食は病院の食堂で済ませることが多い。
メニューを選ぶ余裕もなければ、栄養バランスを考える時間もありません。
さらには、運動をしようとしても大いに挫折しました。
かつて私は空手で鍛えていて、大学では「筋肉部」という部活を立ち上げるほどのトレーニング愛好家で、“脳内筋肉”と呼ばれていました。
ですから当時は、100kg以上の重さのバーベルも挙げることができていたのです。
