介護ロボットやICTの導入補助に97億円 介護現場の「働きやすさ」は向上するか
厚生労働省は2025年度の予算に、介護テクノロジー導入支援事業の大幅な拡充策を盛り込んだ。今年6月、介護ロボットの重点分野が改訂され、新たに3分野が追加された。この改訂を受け、2025年度からは補助対象が広がる見込みだ。地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)として、厚労省は97億円の予算を要求している。
具体的な補助要件とは
今回の補助要件には、業務改善支援の強化が盛り込まれている。コンサルティング会社や介護生産性向上総合センターなど、外部の専門機関から支援を受けることが必要となり、施設内での業務改善が期待されている。加えて、研修や相談支援を受けることが必須条件とされ、職員のスキル向上や業務の効率化を図る狙いがある。
また、施設系や短期入所系、居住系サービスでは、利用者の安全確保や介護サービスの質向上、職員の負担軽減を目的とした委員会の設置が義務化される見通しだ。これにより、介護現場でのトラブルや事故の防止、職員の働きやすい環境作りがさらに推進される。
4分の3補助率を得るための条件
補助率が4分の3に引き上げられる要件として、第三者による業務改善支援の導入が必須となる。また、在宅系サービスにおいては、ケアプランデータ連携システムを利用し、事業所間の連携が確認されていることが条件に含まれる。これにより、在宅サービスと他の事業所との連携が一層強化され、利用者に対するサービスの質も向上すると見込まれている。
スタートアップ支援にも注目
今回の拡充策では、介護テクノロジーの開発・実証・普及のプラットフォーム事業として介護分野でのスタートアップ企業に対する支援も強化される(9.2億円)。これまで全国に15カ所設置されていた介護テクノロジー相談窓口は、10カ所に集約される一方で、スタートアップ企業専用の窓口が新設される。この新設窓口では、投資家とのマッチングや、表彰、アドバイスの提供を通じて、新しい介護テクノロジーの開発を支援する体制が整えられる。 介護分野でのイノベーションが期待される中、これらの新たな施策が業界にどのような影響をもたらすか、注目が集まる。
構成・文/介護ポストセブン編集部