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健康

1日1分!こむら返りを繰り返す体を変える「こむら返りリセット法」と生活習慣の見直しを整形外科医が解説

 急な痛みで悩ませてくる「こむら返り」を予防する方法を考案したのが、『足の名医がついにたどりついたこむら返りと手足のつりリセット法』(アスコム)を上梓した、整形外科医の北城雅照さん。こむら返りが起こりにくくなる「こむら返りリセット法」と、こむら返りリセット法の効果を高める生活習慣について教えてもらった。

教えてくれた人

北城雅照さん/整形外科医

 きたしろ・まさてる。日本整形外科学会認定整形外科専門医、医療法人社団円徳理事長。2009年北里大学医学部卒業、2011年慶應義塾大学医学部整形外科学教室入局、2017年慶應大学院医学部医学科博士号取得。再生医療やリハビリテーションに力を入れ、最新の医療技術を取り入れた治療を提供しているほか、理事長を務める足立慶友整形外科・リウマチ科では、整形外科外来も担当。

全身の血流を改善する「こむら返りリセット法」

 繰り返すこむら返りをおさえる方法として北城さんが提案するのが、全身の血流をよくすることを目的とした「こむら返りリセット法」だ。片足30秒、両足で1分するだけでよく、就寝前のルーティンとして習慣にすれば、こむら返りの悩みを解消してくれることに加え、ストレッチ効果も相まって、質の高い睡眠をもたらしてくれる。

「もちろん、日常的にデスクワーク中やテレビを見ながらなど、空き時間に『ながら』でやっても構いません」(北城さん・以下同)

「こむら返りリセット法」のやり方

《スタートポジション》


・椅子に深く座り、自然な姿勢をとる
・こむら返りがよく起こる足を前に出して、床から少しだけ浮かせる。このとき、足首の角度は90度前後にキープする

《やり方》


【1】つま先を伸ばすようなイメージで、足首をゆっくり「限界」まで寝かせる。
【2】限界に達したら、すぐに【3】へと進む。
【3】ゆっくりと「5秒」数えながら、足首を手前に起こしていく。
【4】つま先を手前側に引き込むイメージで、足首を限界まで曲げる。
【5】限界に達したら、すぐに【6】へと進む。
【6】ゆっくりと「5秒」数えながら、足首を寝かせていく。
【7】つま先を伸ばすようなイメージで、足首を「限界」まで寝かせる。
【8】以降は、【3】~【5】と【6】~【7】を交互に3回繰り返す(これで1セット)。
【9】足を入れ替えて、同様の手順を踏む。

 ポイントは、足首の関節を「可動域の限界(エンドポイント)まで動かす」ことだ。これにより、筋肉の縮み過ぎを感知するセンサーである腱紡錘(けんぼうすい)に刺激を入れ、こむら返りが起こらないようにする。

「文章で解説すると、少し難しく感じるかもしれませんが、要するに『足首を曲げたり伸ばしたりしているだけ』。ポイントさえわかれば、とても簡単です。夜、寝床に就く前や、テレビを見ながら、仕事の合間になど、毎日の習慣に取り入れてみてください」

突然のこむら返りには「かかとプッシュ法」

 「こむら返りリセット法」を続けることで、こむら返りを防ぐことが期待できるが、それでもこむら返りが起きてしまったときは「かかとプッシュ法」がおすすめだ。こむら返りが起こったとき、急いで足を伸ばそうとする人が多いが、実際は「しっかり足首を曲げる」のが正解。「かかとプッシュ法」であれば、足首を曲げることで腱紡錘を刺激でき、脊髄から筋肉に、筋肉を伸ばす指令を出すことができる。

《かかとプッシュ法 その1のやり方(右足のふくらはぎがこむら返りを起こした場合)》


【1】上体を起こし、右手で右足のひざの下をしっかり抱える。
【2】そのまま右足を浮かせるように持ち上げる。左足は自然な姿勢で伸ばしておく。
【3】左手で、右足のかかとをしっかりと握る。
【4】かかとをぐいっと押し込んで、足首を『曲げる』ように動かす。右足のつま先がすねの方向に動くようにし、かかとを伸ばすことで、かかとにつながっている『腱』の部分を刺激するように意識する。
【5】こむら返りが収まるまで、何度かこの動作を繰り返す。

「この動作でアプローチしているのは、かかととつながっているふくらはぎの『腱』の部分です。かかとをプッシュする動きで、この部位を刺激していきます。この動作を何度かくり返すことで、ふくらはぎの筋肉の収縮が収まって、痛みもやわらいでいくはずです」

手で足の甲をすねに近づける「かかとプッシュ法」

 腱をうまく刺激できなかった場合は、次のかかとプッシュを試してみよう。

《かかとプッシュ法 その2のやり方》


【1】土踏まずを左手で握り、足首の関節をぐいっと手前に『曲げる』ように動かす。足の甲を少しだけすねの方向に近づけるイメージで行う。
【2】こむら返りが治まるまで、何度かこの動作をくり返す。

「こちらの場合も、かかとにつながっている『腱』をしっかり意識するのがコツです。『かかとプッシュ法 その1』と同じく、腱にあるセンサー(腱紡錘)に刺激を送ることで、暴走して収縮しいていたふくらはぎの筋肉がスッと落ち着いていきます」

こむら返りリセット法の効果を高める生活習慣

 こむら返りリセット法を実践するだけでもこむら返りの発生率を大きく下げることができるが、生活習慣を少し変えると、さらに効果は高まるという。

「ほんの少しの工夫や習慣の見直しが、『こむら返りゼロの快適な日々』を手に入れる大きなきっかけとなります」

寝具は体が2~3cm沈み込むくらいの硬さで

 最初に見直したいのが「寝具」だ。特に重要なのは寝返りのしやすさ。人間は寝返りを打つことで、睡眠中の体にかかる負担を分散したり、軽減したりして血流をスムーズに保っている。

 柔らかすぎるマットレスや敷布団を使っている場合、腰からお尻にかけてのゾーンが沈み込んで固定されてしまい、寝返りがしづらく、血流が悪くなってしまうため要注意だ。

「やわらかすぎるよりはマシですが、硬すぎる寝具も体がうまくフィットせず、やはり寝返りを阻害してしまいます。理想の寝具は、『体が2~3cm沈み込むくらいの適度な硬さ』。寝返りを妨げず、血流をスムーズにしてくれる睡眠環境を整えましょう」

入浴は寝る1時間半~2時間前に

 こむら返りの予防には、寝る1時間半~2時間前に入浴するようにするのもおすすめだ。人間の体は、入浴の1時間半~2時間後に体の内部温度が急激に下がり、眠気をもよおす特性があるため、このタイミングで眠るようにすると、質の良い睡眠がとれるうえ、血流も良好になる。

「逆に、熱々のお湯にサッと入る『カラスの行水』は、交感神経が活発になるため、血管が収縮し、かえって血流が悪化。深部体温もじゅうぶんに上がらないので、寝つきも悪くなってしまうでしょう」

水分補給には麦茶を

 入浴すると多くの水分が失われる。個人差もあるが、ぬるめのお湯に15分ほど入るだけでも、平均約800mlもの水分が失われるという。そのため、水分補給をすることも大切だ。

 しかし、汗と一緒に体に必要なミネラルも排出される。そのままでは電解質バランスが崩れてしまうが、ただ水を飲むだけでは電解質を補うことができないため、「理想は、ミネラルが豊富な飲み物を選ぶこと」と北城さん。北城さんが水分補給のためにすすめているのが「麦茶」だ。

「スーパーやコンビニでミネラル豊富な麦茶をいつでも買えるうえに、ノンカフェインなので、寝る前に飲んでも安心。自宅でティーバッグから作ればコスパも抜群と、まさにこむら返り予防の最強ドリンクといえるでしょう」

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